1 / 4
第1話
しおりを挟む
妙に喉が渇き目が覚める……興奮しているかあるいは緊張しているようだ。
だって今日は黒能州《こくのうす》高校の入学式だから。
起きるには早いけど準備をすることにした。
ベッドから起き上がり、部屋の明かりをつけた後に勉強机に向かい、アルミフレームの卓上鏡を目の前に置く。
前髪をセットしながら時計を確認した。午前三時か……。
私は鏡に映る自分の姿を毎日とまではいかないけど、ほぼほぼ毎日見続けていて思ったことがある。
私って可愛いい。アイドルや女優さんとまではいかなくても一般人レベルを遥かに超越している可愛さなんだ。
あ、ちょっと待って! 前髪が微妙に長い気がしてきた。
私は慌てて引き出しからハサミを取り出した。
ほぼほぼ毎日見ているからこそ、自らの絶対的に可愛い領域を知っている。
だからこそ入学式などを含めイベントというイベント前には必ず可愛い領域にしておく必要が絶対。
「左斜め一ミリ……」
「みや~び~」
集中して前髪を切ろうとしている私を呼ぶ声がした。
なんとも力のない声を発しているのは母親である。
普段なら「はーい」と元気な返事もできたでしょうけど、今は前髪を切るために集中しているので無視。
チョキ、チョキと寸分の狂いもなく前髪を切っていく。
「雅、生きてるー」
母親の大きな叫び声がドア越しに聞こえた次の瞬間、ノックをすることもなく私の部屋のドアを蹴破ってきた。
プライベート問題もあるので人の部屋に入る時はノックを必ずしなさいと躾けられてきたものですが、その躾を厳しくしてきた母親がドアを蹴破るって……どうなんだ。
普段は瞼が垂れ下がっていて眠そうな表情の母親ではあったが、瞼を限界まで押し上げて眼球が今にも飛び出してしまいそうなほどに見開いる。必死な表情の母親の顔を見て私は開いた口が塞がらない。
なぜですか、なぜそんなに必死なの?
蹴破ったドアは部屋の窓ガラスを割り外まで飛び出してしまった。かなりの近所迷惑だろう。
恐ろしいほどの風圧を受け、部屋中の物がぐちゃぐちゃに汚れてしまった。
「雅、生きてるなら返事してよね。はあ~心配した」
「……」
「あら……ぷぷぷぷ。なに雅? ひょっとして高校デビューていうのそれ」
母親は笑いながら私の顔を見て指を差すので何事かと鏡を見て見れば……。
「ちょ、ちょっと待って。ま、ま、前髪が、私の前髪が無くなってるー」
おでこ全開……私の可愛いの絶対領域はどこへいってしまったの。これでは恥ずかしくて高校デビューどころじゃないよー。
だって今日は黒能州《こくのうす》高校の入学式だから。
起きるには早いけど準備をすることにした。
ベッドから起き上がり、部屋の明かりをつけた後に勉強机に向かい、アルミフレームの卓上鏡を目の前に置く。
前髪をセットしながら時計を確認した。午前三時か……。
私は鏡に映る自分の姿を毎日とまではいかないけど、ほぼほぼ毎日見続けていて思ったことがある。
私って可愛いい。アイドルや女優さんとまではいかなくても一般人レベルを遥かに超越している可愛さなんだ。
あ、ちょっと待って! 前髪が微妙に長い気がしてきた。
私は慌てて引き出しからハサミを取り出した。
ほぼほぼ毎日見ているからこそ、自らの絶対的に可愛い領域を知っている。
だからこそ入学式などを含めイベントというイベント前には必ず可愛い領域にしておく必要が絶対。
「左斜め一ミリ……」
「みや~び~」
集中して前髪を切ろうとしている私を呼ぶ声がした。
なんとも力のない声を発しているのは母親である。
普段なら「はーい」と元気な返事もできたでしょうけど、今は前髪を切るために集中しているので無視。
チョキ、チョキと寸分の狂いもなく前髪を切っていく。
「雅、生きてるー」
母親の大きな叫び声がドア越しに聞こえた次の瞬間、ノックをすることもなく私の部屋のドアを蹴破ってきた。
プライベート問題もあるので人の部屋に入る時はノックを必ずしなさいと躾けられてきたものですが、その躾を厳しくしてきた母親がドアを蹴破るって……どうなんだ。
普段は瞼が垂れ下がっていて眠そうな表情の母親ではあったが、瞼を限界まで押し上げて眼球が今にも飛び出してしまいそうなほどに見開いる。必死な表情の母親の顔を見て私は開いた口が塞がらない。
なぜですか、なぜそんなに必死なの?
蹴破ったドアは部屋の窓ガラスを割り外まで飛び出してしまった。かなりの近所迷惑だろう。
恐ろしいほどの風圧を受け、部屋中の物がぐちゃぐちゃに汚れてしまった。
「雅、生きてるなら返事してよね。はあ~心配した」
「……」
「あら……ぷぷぷぷ。なに雅? ひょっとして高校デビューていうのそれ」
母親は笑いながら私の顔を見て指を差すので何事かと鏡を見て見れば……。
「ちょ、ちょっと待って。ま、ま、前髪が、私の前髪が無くなってるー」
おでこ全開……私の可愛いの絶対領域はどこへいってしまったの。これでは恥ずかしくて高校デビューどころじゃないよー。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
徹夜でレポート間に合わせて寝落ちしたら……
紫藤百零
大衆娯楽
トイレに間に合いませんでしたorz
徹夜で書き上げたレポートを提出し、そのまま眠りについた澪理。目覚めた時には尿意が限界ギリギリに。少しでも動けば漏らしてしまう大ピンチ!
望む場所はすぐ側なのになかなか辿り着けないジレンマ。
刻一刻と高まる尿意と戦う澪理の結末はいかに。
ほどけそうな結び目なのにほどけないね
圍 杉菜ひ
ライト文芸
津賀子さんに迫り来るものとは……
紹介文
津賀子は小学一年生の時以来と思われるソナタさんとトイレで偶然に再会した。この再会により津賀子は大変な目に……。
【完結】【R18百合】女子寮ルームメイトに夜な夜なおっぱいを吸われています。
千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。
風月学園女子寮。
私――舞鶴ミサが夜中に目を覚ますと、ルームメイトの藤咲ひなたが私の胸を…!
R-18ですが、いわゆる本番行為はなく、ひたすらおっぱいばかり攻めるガールズラブ小説です。
おすすめする人
・百合/GL/ガールズラブが好きな人
・ひたすらおっぱいを攻める描写が好きな人
・起きないように寝込みを襲うドキドキが好きな人
※タイトル画像はAI生成ですが、キャラクターデザインのイメージは合っています。
※私の小説に関しては誤字等あったら指摘してもらえると嬉しいです。(他の方の場合はわからないですが)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる