アスカラナ

圍 杉菜ひ

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第四話 運命の出会いが訪れました

後編

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 宇佐美さんから指輪を渡されて、意味が分からず首を傾げるしかなかった。

 「何で私に?」

 宇佐美さんは私のことが好きだったの?所謂、一目惚れって奴かしら?
 最初はホームレスと勘違いしたけど、よくよく顔を見れば中々のイケメンであることは確かね。ヒゲを剃って、スーツなんか来てくれれば理想的な人と言えるわ。

 「これは僕の弟からの愛の告白だよ」

 「弟さん?」

 私、弟さんに会っていたかしら?そもそも宇佐美と言う名前の人とあまり接点が無いような。その弟さんが私に一目惚れしたってこと?

 「私、弟さんのこと知らないんですけど...」

 「過去の人間からの贈り物だよ。渡す時が来たから僕が渡したまでだよ」

 ますます何を言っているのか意味が分からなくなってきた。ひょっとして宇佐美さんは厨二病か。
 過去から告白してくるってそもそもどう言うことなのかさっぱり分からん。

 「僕はもう行くよ。その指輪を大切にして欲しいな」

 優しい笑顔で私の頭を撫でて宇佐美さんは去って行った。
 手の平に残された指輪を見つめながら私も帰路に着いた。

 部屋に着くなり、『神様のスマホ』を大葉死神となって部屋を漂う変態神に渡した。

 「待っておったぞー。ワシはこれで元通りじゃ」

 変態神は同じ過ちを繰り返さないために『神様のスマホ』を丁寧に拭いて周囲を確認しながら使用していた。あんなんでも学習してるのね。

 今回はどうやら元の老人の姿にちゃんと戻れたようだ。老いた体で嬉しそうにダンスしてるわ。

 「さて、ワシは帰るとするか。この地球はもうじき隕石が衝突して消滅してしまうからな」

 「・・・」

 「本当に帰っちゃうよ~ワシは」

 「・・・」

 指輪が気になって、変態神の言葉が耳に入ってこない。

 「隕石の衝突から地球を救ってあげるから・・・」
  
 私は一人でモヤモヤするのが嫌だったので宇佐美さんとの話を変態神に全て話した。

 「ようやく地球を救う気になったか。やれやれ、指輪...」

 指輪を見つめ変態神は動きを止めたまま数分...。長いな、おい。

 「おっと寝てしまったわ」

 ぶん殴ったろか?

 「これは、また面白い物をもっとるじゃないか。これなら一気に溜まりそうじゃの~」

 「何々?」

 「パンパカパーン、トラベルトリップクリーム~」
 
 ・・・。

 「説明しよう。トラベルトリップクリームを口に塗り、行きたい過去なり未来なりを言えば瞬間トリップじゃ。取りあえず過去に行ってくるがいい」

 何でいきなり私が過去に行かなきゃならんのよ。もっと手っ取り早く知ること出来るんじゃないの?
 早く行けと言わんばかりの変態神。ったく。

 「これを塗って行きたいところを言えばいいと...」

 では、早速。

 「使った~。ワシも使ったやつを使いおった~。間接キッスじゃ~」

 取りあえず変態神を数回殴打した後。

 「私にこの指輪をくれた人がいる過去へ」

 こんな曖昧な感じで目的の人物がいる過去へ行けるのか?
 そもそもちゃんと帰ってこれるのよね?
 
 
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