アスカラナ

圍 杉菜ひ

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第三話 小さな事からコツコツと

前編

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 日曜日の朝早くから私はショッピングモールに来ていた。ここなら困っている人がすぐ見つかりそうなので『神様のスマホ』をいじりながら歩く。

 取りあえず服を見たり、アクセサリーを見たりした。
 
 (飛鳥、何をやってるんじゃ。さっさと神様を元の姿に戻すために幸せパワーをGETせよ)

 鬱陶しい事に変態神様は現在の姿が灰色宇宙人に変身していることによってテレパシー的な電波がよく届くらしく積極的に私の脳に話しかけてきやがる。

 「はいはい、すぐ見つけるから。少しくらいは私の時間を与えなさいよ」

 ぶつぶつと小言がずっと聞こえているのが不愉快でしかないわね。マップ上で赤く点滅してる場所はCDショップ辺り。ここに不幸な人がいるのね...私がCDショップに入ろうとした時だった。

 「ああ、札場さん。君も来てたんだ」 

 「大場くん」

 大場成くん(おおば・なる)は私と同じクラス。私が密かに思いを寄せている相手でもありますよ。CDショップでの買い物を終えて、ちょうど出てきたところのようね...あれ?この『神様のスマホ』が差している不幸な人って大場くんなの?

 (誰じゃ、飛鳥の彼氏か?)

 「ちょっと待って、大場くんとはまだ彼氏とかそういう関係じゃないわよ。いずれはそういう関係になるかもだけど...」

 (お主、口に出して喋るのはよくないぞ。心で念じれば神様に伝わるから気を付けるがよい)

 「さっさと言いなさいよ変態神」

 「ど、どうしたの?」

 「あはは、ゴメンね大場くん。独り言、気にしないで。ところで、大場くんってCDを買うタイプの人なんだね」

 「まあね、好きなアーティストのは絶対買うんだ」

 「私は購入しないな~。ところで大場くんの好きなアーティストって誰?」

 「・・・」

 何?急に大場くんの表情が変化した気がしたわ。今の今まで笑顔でいてくれたのに無表情に近い...。禁句、ひょっとして聞いちゃいけないアーティストなの?
 そもそも聞いちゃいけないアーティストって何。

 ...そうか、アイドルか、アイドルグループのCDを購入しているのね。確かに大場くんは爽やかさと優等生で学校では知られている存在だからアイドルのCDを購入しているなんて知られたら恥ずかしいのかもしれないわね。

 「・・・もう、帰るね」

 「うん」

 大場くんは私から逃げるように猛ダッシュで去って行った。

 (飛鳥よ、足元に成が落としていったレシートがあるぞよ)

 レシートを拾い上げ、悪いとは思うが購入したCDのタイトルを確認させてもらった。予想通りアイドルのCDだった。握手券目的なのかしら同じCDを8枚も購入している...。

 好きなアイドルのCDを購入して幸せそうだけど、それでも大場くんが不幸ってこと?

 
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