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第二章
第82話 師匠と兄弟子と、その弟子と②
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「なるほど……つまりサブは、妾のおっぱいを揉みしだきに来たというわけじゃな?」
サブロウは「いや、全然違います」と、ずり落ちた着物を何とか着せつつ、ソフィアの前で正座する。
「では、何しに来たのじゃ? 妾に顔を合わせられる立場じゃなかろうに」
「約束を反故にしたのはすみません。色々、状況が変わりまして……」
ソフィアはベッド横に備え付けられている火鉢から煙管を取り、ゆっくり吸ってはサブロウに煙がかからぬよう真横に吐き出す。
「まさか、一国の姫を弟子に迎えるとはなぁ。我が弟子ながら、あっぱれと褒めるべきなのかなんなのか……」
「いえ……僕は……」
「おまけに一号まで勝手に持っていきよって。随分な女ったらしっぷりじゃのう?」
「すみません……」
「それに謝りに来たかと思えば何ぞ小っこくなっとるし、挙句の果てには余計な馬鹿弟子まで連れてくる始末。のう……ブリッツよ?」
ブリッツは腕を組みながら、ソフィアに負けぬ尊大な態度で闊歩し、己が師の前に立つ。
「久しぶりだな、ババア? 管理者を潰した時以来か」
「ふん、裏社会なんぞに身を寄せおって……。やっと降伏する気にでもなったか?」
「バカ言え。悪者が居ねえと面白くねえだろ? 話も……世界もな? それに、お前ら雑魚共に降伏する理由がない。欲しいもんだねぇ……まだ、一回も味わったことねえからよ?」
「相変わらず、お主は……可愛げがない」
二人の鍔ぜり合う視線にメイドたちはおろか、サブロウもビビり散らしていた。
さすがに上には逆らえないのだろう。……仕方ない。ここは潤滑剤である私が、ぬるっと解決してやるか。
まあまあ、落ち着け二人とも。せっかく、こうして『救世主』が四人集まったんだ。もっと、他に話せることがあるだろう?
「Nか……なら、お主が説明せい。馬鹿と話してると余計な皺が増える……」
ソフィアは再び煙管を吸い、ブリッツを視界に入れぬよう、煙を吐いた。
私はこれまでの経緯を簡潔に説明した。弟子たちのこと、『ZERO計画』のこと、そして――ブリッツとの死闘による淵源中毒のことを。
「なるほど……つまりサブは、妾のおっぱいを吸いに来たというわけじゃな?」
サブロウは「聞いてた? 人の話?」と、着物をずり落そうとするソフィアの手を止める。
「なんじゃ? 揉んだ上に顔まで埋めといて……。別に小さくなったんだから、恥ずかしがることもなかろう?」
「7歳でおっぱいは吸わんでしょうよ……」
「じゃあ、性的な意味で吸ったらいい」
「師匠……こんなこと言える立場じゃないですけど、そろそろ怒りますよ?」
見ての通り、ソフィアはサブロウにかなりご執心だ。おっさんになってもそれは変わらないが、子供状態になった今は、それがより顕著に出ている。普通にドン引き案件だな。
「わかっとるよ、冗談じゃ。だが、戻す必要なんてあるのか? こんなに可愛いというのに……」
そう言うとソフィアは煙管を置き、恍惚な面持ちでサブロウを抱き上げる。
周りのメイドたちも興味津々なのか、ベッド付近に集まっては頬を綻ばせ、サブロウの頬っぺたをツンツンしていた。
「おねぇがいしましゅ、師匠……こにょまま戻りゅわけには……」
「お前なら元に戻す方法を知ってるはずだ。俺が直々に出向いといて、何にもなしが通ると思うなよ?」
ギャルゲーの主人公が如きサブロウの待遇に、ブリッツは少々不機嫌になりつつも、その想いを後押しをする。
「元に戻す……? ハッ……だから、お前たちはまだまだなんじゃ」
ソフィアは抱き上げていたサブロウを下ろし、微々たる嘲笑を二人に浴びせる。
「どういう意味だ?」
と、ブリッツが眉根を寄せて問う。
「元に戻そうとするからダメなんじゃ。魔天籠の時間流を利用しようなんぞリスクが高すぎる。そういう時は別の視点からアプローチせんと……。例えば――【輪廻掌握】とかな?」
サブロウは「いや、全然違います」と、ずり落ちた着物を何とか着せつつ、ソフィアの前で正座する。
「では、何しに来たのじゃ? 妾に顔を合わせられる立場じゃなかろうに」
「約束を反故にしたのはすみません。色々、状況が変わりまして……」
ソフィアはベッド横に備え付けられている火鉢から煙管を取り、ゆっくり吸ってはサブロウに煙がかからぬよう真横に吐き出す。
「まさか、一国の姫を弟子に迎えるとはなぁ。我が弟子ながら、あっぱれと褒めるべきなのかなんなのか……」
「いえ……僕は……」
「おまけに一号まで勝手に持っていきよって。随分な女ったらしっぷりじゃのう?」
「すみません……」
「それに謝りに来たかと思えば何ぞ小っこくなっとるし、挙句の果てには余計な馬鹿弟子まで連れてくる始末。のう……ブリッツよ?」
ブリッツは腕を組みながら、ソフィアに負けぬ尊大な態度で闊歩し、己が師の前に立つ。
「久しぶりだな、ババア? 管理者を潰した時以来か」
「ふん、裏社会なんぞに身を寄せおって……。やっと降伏する気にでもなったか?」
「バカ言え。悪者が居ねえと面白くねえだろ? 話も……世界もな? それに、お前ら雑魚共に降伏する理由がない。欲しいもんだねぇ……まだ、一回も味わったことねえからよ?」
「相変わらず、お主は……可愛げがない」
二人の鍔ぜり合う視線にメイドたちはおろか、サブロウもビビり散らしていた。
さすがに上には逆らえないのだろう。……仕方ない。ここは潤滑剤である私が、ぬるっと解決してやるか。
まあまあ、落ち着け二人とも。せっかく、こうして『救世主』が四人集まったんだ。もっと、他に話せることがあるだろう?
「Nか……なら、お主が説明せい。馬鹿と話してると余計な皺が増える……」
ソフィアは再び煙管を吸い、ブリッツを視界に入れぬよう、煙を吐いた。
私はこれまでの経緯を簡潔に説明した。弟子たちのこと、『ZERO計画』のこと、そして――ブリッツとの死闘による淵源中毒のことを。
「なるほど……つまりサブは、妾のおっぱいを吸いに来たというわけじゃな?」
サブロウは「聞いてた? 人の話?」と、着物をずり落そうとするソフィアの手を止める。
「なんじゃ? 揉んだ上に顔まで埋めといて……。別に小さくなったんだから、恥ずかしがることもなかろう?」
「7歳でおっぱいは吸わんでしょうよ……」
「じゃあ、性的な意味で吸ったらいい」
「師匠……こんなこと言える立場じゃないですけど、そろそろ怒りますよ?」
見ての通り、ソフィアはサブロウにかなりご執心だ。おっさんになってもそれは変わらないが、子供状態になった今は、それがより顕著に出ている。普通にドン引き案件だな。
「わかっとるよ、冗談じゃ。だが、戻す必要なんてあるのか? こんなに可愛いというのに……」
そう言うとソフィアは煙管を置き、恍惚な面持ちでサブロウを抱き上げる。
周りのメイドたちも興味津々なのか、ベッド付近に集まっては頬を綻ばせ、サブロウの頬っぺたをツンツンしていた。
「おねぇがいしましゅ、師匠……こにょまま戻りゅわけには……」
「お前なら元に戻す方法を知ってるはずだ。俺が直々に出向いといて、何にもなしが通ると思うなよ?」
ギャルゲーの主人公が如きサブロウの待遇に、ブリッツは少々不機嫌になりつつも、その想いを後押しをする。
「元に戻す……? ハッ……だから、お前たちはまだまだなんじゃ」
ソフィアは抱き上げていたサブロウを下ろし、微々たる嘲笑を二人に浴びせる。
「どういう意味だ?」
と、ブリッツが眉根を寄せて問う。
「元に戻そうとするからダメなんじゃ。魔天籠の時間流を利用しようなんぞリスクが高すぎる。そういう時は別の視点からアプローチせんと……。例えば――【輪廻掌握】とかな?」
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