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第二章
第76話 前作主人公おじさん、さすがに死ぬ②
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――サブロウ! サブロウ! くそッ……! ブリッツ! このままじゃ、サブロウが……!――
――わかってる! ったく、馬鹿弟子が! 手間かけさせやがって……!――
――……どうだ? 助かりそうか?――
――チッ……思ったより淵源中毒の進行が酷い……。強制シャットダウンが始まってる……――
――じゃあ、サブロウは……⁉――
――死なせはしない……! 魔天籠へ運ぶぞ! 話はそれからだ!――
――あ……ああ!――
◆
サブロウ……サブロウ……
「ん……うぅ……N……?」
起きろ、サブロウ……もう充分、寝たはずだ……
「うぅ……ここは……?」
やっとこさ開眼へと至るサブロウ。
視界には見覚えのない木造の天井が広がり、自分がベッドに寝ていたことに気付くと、次いで花の香りが鼻腔をくすぐる。
「知らない天上だ……」
おめでとう、サブロウ。新世紀へようこそ。
「僕は……いったい……」
そう言いながらサブロウは、辺りを見回す。
室内は木造で、間取りもサブロウの家によく似ている。せいぜい違うところがあるとすれば、ワンルームかつ家具が少々変わっている事と、生けてある【昇華】の数が少ないことくらいだ。
小綺麗でどこか女子を感じさせる室内に、違和感を覚え始めるサブロウ。
ふと眠気眼のまま隣へ視線を移すと――
「スゥ……スゥ……スゥ……」
そこには可愛らしい寝息を立てている一号くんの姿があった。
布団から露わになる華奢な肩、そこから伸びる白く細い手が、サブロウの胸元に置かれている。
「え? 何? なんなの、この状況? なんで一号くんが横に……」
ゆうべはお楽しみでしたね。
「いや……僕、お姫様を宿屋に連れ込んだ憶えないんだけど……。っていうか、大丈夫だよね? 何もされてないよね?」
……いや、わからん。
「な、なんだよ……わからないって……」
一応、邪魔しちゃ悪いかと思って……見てない。
「何、変な気回してんだよ、気持ち悪い! と、取りあえず起きないと……!」
サブロウは己が手を動かし、一号くんの手を退かそうと試みる……が、何故か妙に重いことに気付く。
寝すぎていたため、身体が鈍っていた……勿論それも間違いではないだろう。
だが、それよりも確たる違和感が、サブロウの目には映っていた。
「あれ……なんで僕の手……こんなに小さいんだ……?」
徐々に緊迫してくる鼓動。
サブロウはすぐさま両手を使い、一号くんの手を退かす。
「――うわっ⁉」
しかし、退かした反動からか、サブロウは勢いよく顔面からベッド横に落ちてしまう。
「イテテテテ……って、ん? な、なんだコレ……?」
起き上がりつつ痛みの走る顔を摩っていると、更なる違和感が妙な感触として手の平に伝ってくる。
「なんで僕の顔……こんなプニプニなんだ……?」
さすがにサブロウも四十手前。ようやく美容の一つにでも目覚めたか……と言えばそうでもない。信じられるのは素肌だけではないのだ。例えばそう……そこにある姿見とか。
サブロウはドタドタと視界の隅に入った姿見へ走り出す。
その時点で恐らく気付いていたことだろう。……自分の背が明らかに縮んでいたことに。
だが、サブロウはその足を止めなかった。
せめて自分の目で見るまでは信じない……いや、信じられないと言った方が正しいか。
さあ、といったところで、そろそろご対面の時間。
サブロウは姿見の前に立つと、己が姿を漸く確認する。
「な……なんで僕……七歳に戻ってるの……?」
おめでとう、サブロウ。ニューヒーローの誕生だ。
――わかってる! ったく、馬鹿弟子が! 手間かけさせやがって……!――
――……どうだ? 助かりそうか?――
――チッ……思ったより淵源中毒の進行が酷い……。強制シャットダウンが始まってる……――
――じゃあ、サブロウは……⁉――
――死なせはしない……! 魔天籠へ運ぶぞ! 話はそれからだ!――
――あ……ああ!――
◆
サブロウ……サブロウ……
「ん……うぅ……N……?」
起きろ、サブロウ……もう充分、寝たはずだ……
「うぅ……ここは……?」
やっとこさ開眼へと至るサブロウ。
視界には見覚えのない木造の天井が広がり、自分がベッドに寝ていたことに気付くと、次いで花の香りが鼻腔をくすぐる。
「知らない天上だ……」
おめでとう、サブロウ。新世紀へようこそ。
「僕は……いったい……」
そう言いながらサブロウは、辺りを見回す。
室内は木造で、間取りもサブロウの家によく似ている。せいぜい違うところがあるとすれば、ワンルームかつ家具が少々変わっている事と、生けてある【昇華】の数が少ないことくらいだ。
小綺麗でどこか女子を感じさせる室内に、違和感を覚え始めるサブロウ。
ふと眠気眼のまま隣へ視線を移すと――
「スゥ……スゥ……スゥ……」
そこには可愛らしい寝息を立てている一号くんの姿があった。
布団から露わになる華奢な肩、そこから伸びる白く細い手が、サブロウの胸元に置かれている。
「え? 何? なんなの、この状況? なんで一号くんが横に……」
ゆうべはお楽しみでしたね。
「いや……僕、お姫様を宿屋に連れ込んだ憶えないんだけど……。っていうか、大丈夫だよね? 何もされてないよね?」
……いや、わからん。
「な、なんだよ……わからないって……」
一応、邪魔しちゃ悪いかと思って……見てない。
「何、変な気回してんだよ、気持ち悪い! と、取りあえず起きないと……!」
サブロウは己が手を動かし、一号くんの手を退かそうと試みる……が、何故か妙に重いことに気付く。
寝すぎていたため、身体が鈍っていた……勿論それも間違いではないだろう。
だが、それよりも確たる違和感が、サブロウの目には映っていた。
「あれ……なんで僕の手……こんなに小さいんだ……?」
徐々に緊迫してくる鼓動。
サブロウはすぐさま両手を使い、一号くんの手を退かす。
「――うわっ⁉」
しかし、退かした反動からか、サブロウは勢いよく顔面からベッド横に落ちてしまう。
「イテテテテ……って、ん? な、なんだコレ……?」
起き上がりつつ痛みの走る顔を摩っていると、更なる違和感が妙な感触として手の平に伝ってくる。
「なんで僕の顔……こんなプニプニなんだ……?」
さすがにサブロウも四十手前。ようやく美容の一つにでも目覚めたか……と言えばそうでもない。信じられるのは素肌だけではないのだ。例えばそう……そこにある姿見とか。
サブロウはドタドタと視界の隅に入った姿見へ走り出す。
その時点で恐らく気付いていたことだろう。……自分の背が明らかに縮んでいたことに。
だが、サブロウはその足を止めなかった。
せめて自分の目で見るまでは信じない……いや、信じられないと言った方が正しいか。
さあ、といったところで、そろそろご対面の時間。
サブロウは姿見の前に立つと、己が姿を漸く確認する。
「な……なんで僕……七歳に戻ってるの……?」
おめでとう、サブロウ。ニューヒーローの誕生だ。
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