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第二章
第67話 前作主人公おじさん、めっちゃ頑張る②
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三か月後……
ダブルチェックも終わり、魔力値の操作段階へと移っている今日この頃。
毎日、画面と睨めっこしては目標をセンターに入れてスイッチする日々……。ただ操作するだけなら楽なのだが、他の魔術とのシナジーも考えて魔力値をいじらなくてはならない。
『あの組み合わせは問題ないが、この組み合わせは危険では?』なーんてものが見つかろうものなら、その都度会議が開かれ、『やはり、これはレベル0に置くべきではない』と決まり次第、また選別作業に戻る。その結果、かつて七万ちょいあった魔術も、今や半分の三万ほどに落ち着いていた。
これで落ち着いていると思ってる時点で精神状態がアレな気もするが、悲しいかな人というのは劣悪な環境でも慣れてしまう生き物で……
「こうやって君と魔天籠に向かい合うのは何年ぶりだろうね、N?」
あぁー……管理者を倒した時以来だから、十五年ちょっとくらいじゃないか?
「そっかぁ……もうそんなに経つのか。あの時もなんだかんだ大変だったけど、結構楽しかったよね?」
まあな……。といっても、最初はブリッツとそりが合わなかったし、お前とも毎回いがみ合ってたけどな。
「あったね~。君は王道のヒーローて感じだったけど、僕は兄貴の下にいたからやさぐれちゃって……。若気の至りだ」
フッ……だが、最後にはソフィアとブリッツ、私とサブロウの四人で管理者の脅威から世界を救った。いい思い出だ。
「そうだね……。でも、その所為で君は……身体を失った」
その話は……もういいだろう……
「管理者が消えたことで、魔天籠に登録されたアカウントの強制シャットダウンが始まる。もし、これが承認されてしまえば人類は滅亡……なんて状況だったね」
いや、あの……ほんともういいから……
「そこで君は己が身を投げうち、精神だけの状態となって魔天籠に侵入。本当の意味で人類を救おうとしたんだ」
ハァ……またこの流れか……
「でも、よくよく考えたら、その時点で代行者権限持ってたから、別にそれを行使すれば問題ないって後々気づいて……ブフッ……君はその……フッ……無駄に体をっ――アッハッハッハッハ‼」
もう、やーめーろーよー! いつまで、そのネタこすり続けんだよ! 味しないだろ⁉ いい加減捨なさいよ、そのガム! ペッ!
「いやぁー、ごめんごめん……。ほんと不謹慎だよねぇー。でも、やっぱあの時はさ。管理者倒してテンション上がってたんだよ。みーんな気付かなかったもん。あの兄貴でさえ、『お前のそういう無鉄砲なところ……今は嫌いじゃないぜ』とか言って、なんか称え合ってたもんね。いやぁー、若い若い」
ハァ……絶対、他のところで言うなよ? 特にあの子たちには。
「明芽くんたち? そうだなぁ……話しのネタに困ったら、言っちゃうかも?」
ほんとやめろよ、マジで? あの子には私の全てである、『代行者の剣』を継がせたんだ。余計なこと言って私の格が下がるのは容認できん。
「もう下がってるでしょ? 女の子たちの話、盗み聞きしてる時点で」
違うッ‼ 私は遠くの方から女の子たちを眺めているだけで何の害も与えていないッ‼ そう! 私は見守っているだけなんだ!
「変態おじさんは、みんなそう言うんです。よかったね~、体なくなってて? 旧友が不審者で捕まるなんていう笑い話、これ以上提供されても困るしさ?」
フン! そんなこと言ってられるのかぁ? お前だって十七歳の女の子たちを家に連れ込んで、無理やり魔法教えてるじゃないか⁉ 今やお前の方が変態おじさんだッ!
「無理やりじゃないでしょうよ? 教えてほしいって言うから教えてるだけだし、それに今教えてるのは僕じゃなくて一号ちゃんでしょ? 君と一緒にしないでくれ」
嘘つけ! 本当は何話していいか分かんないから、メイド一号に任せてるだけだろ! わかってんだよ、こっちは! どんだけの付き合いだと思ってるんだ!
「くっ……否定できない自分が恨めしい……。やっぱ何だかんだ言って、おっさん同士が一番落ち着くんだよね……」
贅沢な悩みだ……。一応、リリスだっているだろうが?
「あれはまあ……ほぼ、おじさんみたいなもんだし? でも、ああいうタイプが一番男にモテるんだよね~」
わかる。リリスって結構、甲斐甲斐しく世話するからな。実はいい女っつーね?
「そうそう! そうなんだよ! ハッハッハッ!」
フッフッフッフッ!
というわけで、リリスの知らぬところで若干好感度が上がりつつ、意外と談笑しながら作業を続ける私とサブロウであった。
ダブルチェックも終わり、魔力値の操作段階へと移っている今日この頃。
毎日、画面と睨めっこしては目標をセンターに入れてスイッチする日々……。ただ操作するだけなら楽なのだが、他の魔術とのシナジーも考えて魔力値をいじらなくてはならない。
『あの組み合わせは問題ないが、この組み合わせは危険では?』なーんてものが見つかろうものなら、その都度会議が開かれ、『やはり、これはレベル0に置くべきではない』と決まり次第、また選別作業に戻る。その結果、かつて七万ちょいあった魔術も、今や半分の三万ほどに落ち着いていた。
これで落ち着いていると思ってる時点で精神状態がアレな気もするが、悲しいかな人というのは劣悪な環境でも慣れてしまう生き物で……
「こうやって君と魔天籠に向かい合うのは何年ぶりだろうね、N?」
あぁー……管理者を倒した時以来だから、十五年ちょっとくらいじゃないか?
「そっかぁ……もうそんなに経つのか。あの時もなんだかんだ大変だったけど、結構楽しかったよね?」
まあな……。といっても、最初はブリッツとそりが合わなかったし、お前とも毎回いがみ合ってたけどな。
「あったね~。君は王道のヒーローて感じだったけど、僕は兄貴の下にいたからやさぐれちゃって……。若気の至りだ」
フッ……だが、最後にはソフィアとブリッツ、私とサブロウの四人で管理者の脅威から世界を救った。いい思い出だ。
「そうだね……。でも、その所為で君は……身体を失った」
その話は……もういいだろう……
「管理者が消えたことで、魔天籠に登録されたアカウントの強制シャットダウンが始まる。もし、これが承認されてしまえば人類は滅亡……なんて状況だったね」
いや、あの……ほんともういいから……
「そこで君は己が身を投げうち、精神だけの状態となって魔天籠に侵入。本当の意味で人類を救おうとしたんだ」
ハァ……またこの流れか……
「でも、よくよく考えたら、その時点で代行者権限持ってたから、別にそれを行使すれば問題ないって後々気づいて……ブフッ……君はその……フッ……無駄に体をっ――アッハッハッハッハ‼」
もう、やーめーろーよー! いつまで、そのネタこすり続けんだよ! 味しないだろ⁉ いい加減捨なさいよ、そのガム! ペッ!
「いやぁー、ごめんごめん……。ほんと不謹慎だよねぇー。でも、やっぱあの時はさ。管理者倒してテンション上がってたんだよ。みーんな気付かなかったもん。あの兄貴でさえ、『お前のそういう無鉄砲なところ……今は嫌いじゃないぜ』とか言って、なんか称え合ってたもんね。いやぁー、若い若い」
ハァ……絶対、他のところで言うなよ? 特にあの子たちには。
「明芽くんたち? そうだなぁ……話しのネタに困ったら、言っちゃうかも?」
ほんとやめろよ、マジで? あの子には私の全てである、『代行者の剣』を継がせたんだ。余計なこと言って私の格が下がるのは容認できん。
「もう下がってるでしょ? 女の子たちの話、盗み聞きしてる時点で」
違うッ‼ 私は遠くの方から女の子たちを眺めているだけで何の害も与えていないッ‼ そう! 私は見守っているだけなんだ!
「変態おじさんは、みんなそう言うんです。よかったね~、体なくなってて? 旧友が不審者で捕まるなんていう笑い話、これ以上提供されても困るしさ?」
フン! そんなこと言ってられるのかぁ? お前だって十七歳の女の子たちを家に連れ込んで、無理やり魔法教えてるじゃないか⁉ 今やお前の方が変態おじさんだッ!
「無理やりじゃないでしょうよ? 教えてほしいって言うから教えてるだけだし、それに今教えてるのは僕じゃなくて一号ちゃんでしょ? 君と一緒にしないでくれ」
嘘つけ! 本当は何話していいか分かんないから、メイド一号に任せてるだけだろ! わかってんだよ、こっちは! どんだけの付き合いだと思ってるんだ!
「くっ……否定できない自分が恨めしい……。やっぱ何だかんだ言って、おっさん同士が一番落ち着くんだよね……」
贅沢な悩みだ……。一応、リリスだっているだろうが?
「あれはまあ……ほぼ、おじさんみたいなもんだし? でも、ああいうタイプが一番男にモテるんだよね~」
わかる。リリスって結構、甲斐甲斐しく世話するからな。実はいい女っつーね?
「そうそう! そうなんだよ! ハッハッハッ!」
フッフッフッフッ!
というわけで、リリスの知らぬところで若干好感度が上がりつつ、意外と談笑しながら作業を続ける私とサブロウであった。
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