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第二章
第57話 前作主人公おじさん、勇者の女の子に魔法を教える③
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「まず、魔法を習得する為には『タスク』をこなさなければならない」
サブロウからの説明に、明芽たちは三人揃って「「「タスク?」」」と首を傾げる。
「要は課題をこなしなさいということさ。『戦闘で一定の経験を得なさい』とか『特定の行動をしなさい』だとか、それこそ人の指紋と同じで請け負うタスクと習得難度は千差万別。その理由は、魔法にも人によって得意不得意があるからだとされてるんだ」
「つまり、習得する魔法が得意なものであればタスクは簡単に。不得意であれば難度は上がる。自分がどの型に当てはまるかの指標となるのですね?」
と、ハルフリーダは補足しつつ問う。
「そういうこと。昨日、明芽くんが魔法を習得できたのは、恐らく召喚魔術と相性が良かったからだろう。だから明芽くんは、そっち方面を覚えていくのがいいんじゃないかな?」
サブロウが視線を移すと、明芽は嬉しそうに顔を綻ばせる。
「そっか~! 私、召喚魔術が得意なんだ~! でも、タスクを達成した覚えはないんですよね~。なんででしょう?」
「知らぬ間に達成してた、なんて話も珍しくないし、君は勇者だからね。人助けがタスクに組み込まれててもおかしくはない。もしかしたら他にも達成済みのタスクがあるかもしれないから、あとでそこの魔導書でも読んでみるといいよ」
サブロウはそう言いながら、奥にある本棚を指差す。
「はい! ありがとうございます! 師匠!」
敬礼する明芽に対しサブロウは、「はい、どうも」と軽めに流し、次の話題に進める。どう絡んだらいいか分からないおじさんの図である。
「さて、次にやるべきことは魔力保有量を知ることだ」
サブロウからの説明に、明芽たちは三人揃って「「「魔力保有量?」」」と首を傾げる。
「魔力保有量は簡単に言うと、どれだけ魔法を唱えられるかを数値化したもので、これが多ければ多いほど強力な魔法を習得、執行することができるというものだ。逆に言えば魔力保有量以上の魔法は覚えることができない。だから魔法を行使する者は、この数値を上げるため、日夜修行をしているというわけさ」
その解説を受けたエミリアは、詰め込まれた言葉を整理するかのように呟き始める。
「魔力保有量が多ければ強い魔法が使えるのよね? つまりそれって、その人にとっての戦闘力みたいなものなのかしら?」
「必ずしもそうとは限らない。魔法は使っても当たらなきゃ意味ないし、どっちかっていうと、そこまでのプロセスの方が大事だと僕は思うな」
サブロウの言うプロセスとは、【黙令眼】や【廻天之理】を行使して相手の戦意を喪失させたり、リリスを切り札として兄弟子を追い詰めたり、騎士相手に激情を誘って思考を短絡化させたりすること。要は魔法を使う前の戦略が勝敗を分けると言いたいわけだ。
サブロウは私の補足に満足したように頷きつつ、さらに続ける。
「ま、なんにしても経験を積んだ方がいいってことだね。ちなみに魔力保有量は魔天籠に開示申請すれば、申請者の瞳にいつでも映し出されるようになってる。プライバシーは守られるから、まずはそこから始めてみようか?」
サブロウにやり方を教わった『TBA』は、明芽、ハルフリーダ、エミリアの順で開示申請を行う。
「アクセスコード007を開示申請!」
「アクセスコード019を開示申請!」
「アクセスコード573を開示申請!」
それぞれの瞳に映る数字……それにいち早く反応したのは明芽だった。
「128……って、どうなんですかね?」
「……来たばっかりで100超えてるのは凄いと思うよ。十分才能あるんじゃない?」
サブロウは少々ガッカリした様子で答える。
流石は私が選んだ子だが、もうちょい話は聞いといた方がいいな。
「本当ですか⁉ やったぁ~! ハルちゃんはどうだった?」
両手でガッツポーズを繰り出しつつ問う明芽。
「私は、152でした……」
それに対しハルフリーダは、若干照れ笑いで答えた。
「すっご~い! さすがハルちゃん! 魔法の先輩だけあるね! エミィちゃんはどうだった?」
当然の流れと言うべきか、明芽はエミリアにも同様の問いを投げかける。
しかし、それは時として無邪気な刃にもなってしまうわけで……
「……ご」
「え……?」
よく聞き取れなかった明芽が、覗き込みながら再度問うと……
「5しか……にゃかったぁ……」
エミリアの涙腺が決壊。衝撃の一桁に鼻水がターザンをキメていた。
サブロウからの説明に、明芽たちは三人揃って「「「タスク?」」」と首を傾げる。
「要は課題をこなしなさいということさ。『戦闘で一定の経験を得なさい』とか『特定の行動をしなさい』だとか、それこそ人の指紋と同じで請け負うタスクと習得難度は千差万別。その理由は、魔法にも人によって得意不得意があるからだとされてるんだ」
「つまり、習得する魔法が得意なものであればタスクは簡単に。不得意であれば難度は上がる。自分がどの型に当てはまるかの指標となるのですね?」
と、ハルフリーダは補足しつつ問う。
「そういうこと。昨日、明芽くんが魔法を習得できたのは、恐らく召喚魔術と相性が良かったからだろう。だから明芽くんは、そっち方面を覚えていくのがいいんじゃないかな?」
サブロウが視線を移すと、明芽は嬉しそうに顔を綻ばせる。
「そっか~! 私、召喚魔術が得意なんだ~! でも、タスクを達成した覚えはないんですよね~。なんででしょう?」
「知らぬ間に達成してた、なんて話も珍しくないし、君は勇者だからね。人助けがタスクに組み込まれててもおかしくはない。もしかしたら他にも達成済みのタスクがあるかもしれないから、あとでそこの魔導書でも読んでみるといいよ」
サブロウはそう言いながら、奥にある本棚を指差す。
「はい! ありがとうございます! 師匠!」
敬礼する明芽に対しサブロウは、「はい、どうも」と軽めに流し、次の話題に進める。どう絡んだらいいか分からないおじさんの図である。
「さて、次にやるべきことは魔力保有量を知ることだ」
サブロウからの説明に、明芽たちは三人揃って「「「魔力保有量?」」」と首を傾げる。
「魔力保有量は簡単に言うと、どれだけ魔法を唱えられるかを数値化したもので、これが多ければ多いほど強力な魔法を習得、執行することができるというものだ。逆に言えば魔力保有量以上の魔法は覚えることができない。だから魔法を行使する者は、この数値を上げるため、日夜修行をしているというわけさ」
その解説を受けたエミリアは、詰め込まれた言葉を整理するかのように呟き始める。
「魔力保有量が多ければ強い魔法が使えるのよね? つまりそれって、その人にとっての戦闘力みたいなものなのかしら?」
「必ずしもそうとは限らない。魔法は使っても当たらなきゃ意味ないし、どっちかっていうと、そこまでのプロセスの方が大事だと僕は思うな」
サブロウの言うプロセスとは、【黙令眼】や【廻天之理】を行使して相手の戦意を喪失させたり、リリスを切り札として兄弟子を追い詰めたり、騎士相手に激情を誘って思考を短絡化させたりすること。要は魔法を使う前の戦略が勝敗を分けると言いたいわけだ。
サブロウは私の補足に満足したように頷きつつ、さらに続ける。
「ま、なんにしても経験を積んだ方がいいってことだね。ちなみに魔力保有量は魔天籠に開示申請すれば、申請者の瞳にいつでも映し出されるようになってる。プライバシーは守られるから、まずはそこから始めてみようか?」
サブロウにやり方を教わった『TBA』は、明芽、ハルフリーダ、エミリアの順で開示申請を行う。
「アクセスコード007を開示申請!」
「アクセスコード019を開示申請!」
「アクセスコード573を開示申請!」
それぞれの瞳に映る数字……それにいち早く反応したのは明芽だった。
「128……って、どうなんですかね?」
「……来たばっかりで100超えてるのは凄いと思うよ。十分才能あるんじゃない?」
サブロウは少々ガッカリした様子で答える。
流石は私が選んだ子だが、もうちょい話は聞いといた方がいいな。
「本当ですか⁉ やったぁ~! ハルちゃんはどうだった?」
両手でガッツポーズを繰り出しつつ問う明芽。
「私は、152でした……」
それに対しハルフリーダは、若干照れ笑いで答えた。
「すっご~い! さすがハルちゃん! 魔法の先輩だけあるね! エミィちゃんはどうだった?」
当然の流れと言うべきか、明芽はエミリアにも同様の問いを投げかける。
しかし、それは時として無邪気な刃にもなってしまうわけで……
「……ご」
「え……?」
よく聞き取れなかった明芽が、覗き込みながら再度問うと……
「5しか……にゃかったぁ……」
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