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第一章
第45話 可愛いは作れるって言うし、きっと魔法も覚えられる③
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『古本屋・椿』――
「へえ~、こんなところに古本屋さん有ったんだ~! なんか小料理屋さんみたいな名前だけど」
そう掲げられた看板を見上げつつ、明芽は瞳を輝かせる。余程、魔法を覚えられるのが嬉しいようだ。
「非常に趣のある落ち着いた場所ですね。ここに魔導書が?」
ハルフリーダも気心知れた友人と初めてお買い物できるとあってか、感慨深げに目の前に建つ小さな木造の店を見つめていた。
「どうでしょうね……さすがに魔導書ともなると難しいのでは?」
レベッカは顎に手を触れ、真面目な顔で意見を述べる。
いや……お前はさらっと入って来るなよ。マジで怖いんだけど、こいつ。誰かつまみ出せ。
「この本屋は、ここいらじゃ一番の古株なのよ? きっと魔導書くらい、てんこ盛りであるはずだわ! さ、行きましょ!」
だが、三人の反応を見るに隠密魔術のおかげか、レベッカの声は聞こえていない様子。腐ってもその力は騎士団長ということか。
エミリアは鼻息をフフンと鳴らし、何処から溢れてくるのか分からん自信を胸に、古本屋内へと先導していく。
「お嬢様より先を歩くとは……ツイフィンテールにマイナス五十点、と」
何やらメモしてるレベッカはノータッチしつつ、中へと入る御一行。
店内は所狭しと本棚が並んでおり、よく言えば昔ながらで味のある内観だが、悪く言えばメチャクチャ狭っ苦しいといった印象だった。
右手には帳場があり、もはやデフォルトで備わってると言って差し支えないほどの老婆が、首をカクンカクンさせながら居眠りをこいていた。
「こんにちわ、おばちゃま! 魔導書探してるんだけど、どの辺に置いてある?」
置いてある前提で話すエミリアに、老婆は目を閉じたまま右奥へと指を差す。
「あっちじゃー……魔導書関連の本は、あっちじゃー……」
「ありがと、おばちゃま!」
礼を言ったエミリアは他の二人――いや、三人を引き連れ、ズシズシと少々埃っぽい本棚の間を進んでいく。
「ほら! やっぱり有ったじゃない! エミィの言った通りだったでしょ?」
「うん! 結構スムーズに行ったね! てっきり、お米あげないと進めないイベントかと思ったよ」
自信に拍車がかかる柔剣エミィに、明芽が弾きアクションで答えていると、角のコーナへと到着……したのだが……
「随分、こじんまりしたスペースだね……。ゲームの攻略本コーナーみたい」
明芽の言った通り、魔導書関連のスペースは一番上の隅っこに三冊程度あっただけ。探すだけでもかなりの時間を要した。
どうやら他の世界も現代と同じで、攻略本の需要のなさが窺えて少々寂しくもある……って、攻略本の話しちゃった。
「攻略本コーナーとは、こういう感じなのですね……。勉強になります!」
心なしかワクワクしているようにも見えるハルフリーダ。
「さすがはお嬢様! いつでも勉強熱心なお姿、感服いたします! プラス五十点!」
そして、間に割り込んでサムズアップするレベッカ。
お前、仮にも主に向かって点数つけてんじゃねえよ。マイナス五億点。
「ま……まあ、一応あったから結果オーライね! 早く買って魔法の練習よ、練習っ!」
エミリアは先程のてんこ盛り表現と相反する状況に居た堪れなくなったのか、慌てた様子で《魔法初級編~魔法覚えるのに魔術学院通ってるヤツ全員バカ~》という一番まとも?……そうな本を取り、そそくさと老婆の待つ帳場へと持っていった。
その後に続く明芽とハルフリーダ。
レベッカはというと三人の背中を見送り、誰も見ていないのを確認すると、隣にあったもう一冊の本を手に取る。
《魅了魔術~気になる上司を落としちゃえ! 絶対服従計画~》
「…………閃いた!」
閃くな変態。
「へえ~、こんなところに古本屋さん有ったんだ~! なんか小料理屋さんみたいな名前だけど」
そう掲げられた看板を見上げつつ、明芽は瞳を輝かせる。余程、魔法を覚えられるのが嬉しいようだ。
「非常に趣のある落ち着いた場所ですね。ここに魔導書が?」
ハルフリーダも気心知れた友人と初めてお買い物できるとあってか、感慨深げに目の前に建つ小さな木造の店を見つめていた。
「どうでしょうね……さすがに魔導書ともなると難しいのでは?」
レベッカは顎に手を触れ、真面目な顔で意見を述べる。
いや……お前はさらっと入って来るなよ。マジで怖いんだけど、こいつ。誰かつまみ出せ。
「この本屋は、ここいらじゃ一番の古株なのよ? きっと魔導書くらい、てんこ盛りであるはずだわ! さ、行きましょ!」
だが、三人の反応を見るに隠密魔術のおかげか、レベッカの声は聞こえていない様子。腐ってもその力は騎士団長ということか。
エミリアは鼻息をフフンと鳴らし、何処から溢れてくるのか分からん自信を胸に、古本屋内へと先導していく。
「お嬢様より先を歩くとは……ツイフィンテールにマイナス五十点、と」
何やらメモしてるレベッカはノータッチしつつ、中へと入る御一行。
店内は所狭しと本棚が並んでおり、よく言えば昔ながらで味のある内観だが、悪く言えばメチャクチャ狭っ苦しいといった印象だった。
右手には帳場があり、もはやデフォルトで備わってると言って差し支えないほどの老婆が、首をカクンカクンさせながら居眠りをこいていた。
「こんにちわ、おばちゃま! 魔導書探してるんだけど、どの辺に置いてある?」
置いてある前提で話すエミリアに、老婆は目を閉じたまま右奥へと指を差す。
「あっちじゃー……魔導書関連の本は、あっちじゃー……」
「ありがと、おばちゃま!」
礼を言ったエミリアは他の二人――いや、三人を引き連れ、ズシズシと少々埃っぽい本棚の間を進んでいく。
「ほら! やっぱり有ったじゃない! エミィの言った通りだったでしょ?」
「うん! 結構スムーズに行ったね! てっきり、お米あげないと進めないイベントかと思ったよ」
自信に拍車がかかる柔剣エミィに、明芽が弾きアクションで答えていると、角のコーナへと到着……したのだが……
「随分、こじんまりしたスペースだね……。ゲームの攻略本コーナーみたい」
明芽の言った通り、魔導書関連のスペースは一番上の隅っこに三冊程度あっただけ。探すだけでもかなりの時間を要した。
どうやら他の世界も現代と同じで、攻略本の需要のなさが窺えて少々寂しくもある……って、攻略本の話しちゃった。
「攻略本コーナーとは、こういう感じなのですね……。勉強になります!」
心なしかワクワクしているようにも見えるハルフリーダ。
「さすがはお嬢様! いつでも勉強熱心なお姿、感服いたします! プラス五十点!」
そして、間に割り込んでサムズアップするレベッカ。
お前、仮にも主に向かって点数つけてんじゃねえよ。マイナス五億点。
「ま……まあ、一応あったから結果オーライね! 早く買って魔法の練習よ、練習っ!」
エミリアは先程のてんこ盛り表現と相反する状況に居た堪れなくなったのか、慌てた様子で《魔法初級編~魔法覚えるのに魔術学院通ってるヤツ全員バカ~》という一番まとも?……そうな本を取り、そそくさと老婆の待つ帳場へと持っていった。
その後に続く明芽とハルフリーダ。
レベッカはというと三人の背中を見送り、誰も見ていないのを確認すると、隣にあったもう一冊の本を手に取る。
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