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第一章
第40話 近日公開! 『他世界おじさん蹂躙ズ!』
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「どういう意味でしょう?」
――別次元の世界を――蹂躙しにいくッ‼――
その意味を問うや、サブロウの冷や汗は一層加速する。
「そのまんまの意味さ。俺らが魔天籠の管理者を潰した今、この世界で喧嘩できる奴はほとんど残ってない。魔王軍も代行稼業に任せっきりで機能してねえし、裏社会の連中も裏でこそこそやるだけ。【常世の居城】を率いるババアと喧嘩しても、どうせ勝つのは目に見えてるしな。だから行くのさ……新たな地へと」
あまりにも突飛出た内容に普通は狂言かと疑うところだが、相手はあのブリッツ……。『世界最強の男』という肩書が何よりの証拠であり、あらゆる疑念を排除して真実たらしめんとしていた。
「別次元に行くにしても、天界を経由しなければならないはず。でも、ワームホールは天界側からしか開かない。それで、どうやって行くと?」
肩を震わせながら不敵な笑みを零すブリッツ。……まさか⁉
「そう。お前の策を利用させてもらったんだよ――『N』?」
――――ッ⁉
「ついこの前来た勇者の小娘……あれは、お前の差し金だろう?」
………………………………。
「だんまりか……。説明はお前の役目だろうよ? ハッ……まあ、いいか。代わりに俺が説明してやる。『N』は魔天籠ショッピングを利用し、天界の住人に『代行者の剣』を売りつけた。剣の力で洗脳したのか手籠めにしたのかは知らないが、その住人を仲間に引き入れたのち、別次元へと繋がるワームホールを抉じ開けさせたのさ。あとは気に入った奴に剣を渡し、勇者として此方の世界に呼び込んだ。これが、お前の策だ。そうだろ?」
だが、ワームホールは完全に閉じたはず……私は確認を怠らなかったッ!
「別にお前のミスじゃない。ただ、俺が一枚上手だっただけだ」
……どういう意味だ?
「魔天籠ショッピングに『代行者の剣』を出品することは読んでいた。他世界と関わるにはその手しかないだろうし、お前は昔っから小娘同士の話が見たいと言っていたからな。俺はそれを利用しただけ。お前が小娘を引き込むためにワームホールを開いてくれたおかげで、俺はお前のお友達を遠隔洗脳して支配下に置くことができた。つまり俺は、好きな時に天界へ殴り込みに行けるようになったってわけさ」
ぐッ……! 私のミスだ……。このままブリッツを行かせては、天界どころか他世界も滅茶苦茶になってしまう。どうすれば……
「――まだ終わってないよ、『N』」
……サブロウ?
「まだ止めるチャンスはある。だから君は、君の仕事をするんだ。円滑に話を進めるためにね」
未だ拷問椅子に囚われているサブロウは、己が身を顧みず冷静に私を諭す。……わかった。あとは任せるよ……サブロウ。
「俺を止めるだと? 【永獄拷子】に拘束されれば、あとは執行されるかされないかの二択。まあ、お前なら逃げられるだろうが、その先に待ってんのは俺との喧嘩だ。どっちにしろ地獄なら、俺と一緒にイイ夢見ようぜ? 俺と来れば元の世界にだって戻れるし、お前を売った親に復讐することもできる。いい話だろ? なあ?」
ブリッツは尚も余裕の笑みで、敵視するサブロウを勧誘する。
そこに油断なんてものはなく、隙も一切見当たらない。
「そういう感情は、とっくの昔に思春期と共に置いてきたんでね。それにもう、僕はこっちの世界の方が長いんですよ。だから、戻る必要なんてない。ここが僕の居場所です」
「強情だなぁ……。だが、隣の女はどうかな?」
ブリッツは初めてリリスへと視線を移す。――マズいッ! 確かリリスは……!
「そう。お前は確か天界へ下剋上したいんだったよな? 俺と一緒に来れば、その願いも叶う。さあ……どうする?」
先程から沈黙を貫いているリリス。
全員が注目する中、その小さな拳を震わせながら導き出した答えとは――
――別次元の世界を――蹂躙しにいくッ‼――
その意味を問うや、サブロウの冷や汗は一層加速する。
「そのまんまの意味さ。俺らが魔天籠の管理者を潰した今、この世界で喧嘩できる奴はほとんど残ってない。魔王軍も代行稼業に任せっきりで機能してねえし、裏社会の連中も裏でこそこそやるだけ。【常世の居城】を率いるババアと喧嘩しても、どうせ勝つのは目に見えてるしな。だから行くのさ……新たな地へと」
あまりにも突飛出た内容に普通は狂言かと疑うところだが、相手はあのブリッツ……。『世界最強の男』という肩書が何よりの証拠であり、あらゆる疑念を排除して真実たらしめんとしていた。
「別次元に行くにしても、天界を経由しなければならないはず。でも、ワームホールは天界側からしか開かない。それで、どうやって行くと?」
肩を震わせながら不敵な笑みを零すブリッツ。……まさか⁉
「そう。お前の策を利用させてもらったんだよ――『N』?」
――――ッ⁉
「ついこの前来た勇者の小娘……あれは、お前の差し金だろう?」
………………………………。
「だんまりか……。説明はお前の役目だろうよ? ハッ……まあ、いいか。代わりに俺が説明してやる。『N』は魔天籠ショッピングを利用し、天界の住人に『代行者の剣』を売りつけた。剣の力で洗脳したのか手籠めにしたのかは知らないが、その住人を仲間に引き入れたのち、別次元へと繋がるワームホールを抉じ開けさせたのさ。あとは気に入った奴に剣を渡し、勇者として此方の世界に呼び込んだ。これが、お前の策だ。そうだろ?」
だが、ワームホールは完全に閉じたはず……私は確認を怠らなかったッ!
「別にお前のミスじゃない。ただ、俺が一枚上手だっただけだ」
……どういう意味だ?
「魔天籠ショッピングに『代行者の剣』を出品することは読んでいた。他世界と関わるにはその手しかないだろうし、お前は昔っから小娘同士の話が見たいと言っていたからな。俺はそれを利用しただけ。お前が小娘を引き込むためにワームホールを開いてくれたおかげで、俺はお前のお友達を遠隔洗脳して支配下に置くことができた。つまり俺は、好きな時に天界へ殴り込みに行けるようになったってわけさ」
ぐッ……! 私のミスだ……。このままブリッツを行かせては、天界どころか他世界も滅茶苦茶になってしまう。どうすれば……
「――まだ終わってないよ、『N』」
……サブロウ?
「まだ止めるチャンスはある。だから君は、君の仕事をするんだ。円滑に話を進めるためにね」
未だ拷問椅子に囚われているサブロウは、己が身を顧みず冷静に私を諭す。……わかった。あとは任せるよ……サブロウ。
「俺を止めるだと? 【永獄拷子】に拘束されれば、あとは執行されるかされないかの二択。まあ、お前なら逃げられるだろうが、その先に待ってんのは俺との喧嘩だ。どっちにしろ地獄なら、俺と一緒にイイ夢見ようぜ? 俺と来れば元の世界にだって戻れるし、お前を売った親に復讐することもできる。いい話だろ? なあ?」
ブリッツは尚も余裕の笑みで、敵視するサブロウを勧誘する。
そこに油断なんてものはなく、隙も一切見当たらない。
「そういう感情は、とっくの昔に思春期と共に置いてきたんでね。それにもう、僕はこっちの世界の方が長いんですよ。だから、戻る必要なんてない。ここが僕の居場所です」
「強情だなぁ……。だが、隣の女はどうかな?」
ブリッツは初めてリリスへと視線を移す。――マズいッ! 確かリリスは……!
「そう。お前は確か天界へ下剋上したいんだったよな? 俺と一緒に来れば、その願いも叶う。さあ……どうする?」
先程から沈黙を貫いているリリス。
全員が注目する中、その小さな拳を震わせながら導き出した答えとは――
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