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第一章
第34話 お前さぁ……。人が気にしてることをさぁ、あのさぁ……。あんま、ポンポン言うんじゃねえよ? やっぱ、お前……来なくていいわ。
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さて、サブロウは意気消沈しているサブタイなんかに構うつもりはなく、リリスから受けたドストレートなツッコミの処理を優先していく。
「え? そりゃそうでしょ? 君のことなんてこれっぽっちも心配してない。ちょうど0さ」
「ちょうど0って……心配しなさいよ、私ヒロインなんだから! ちょっとくらい心配しなさいよぉ~!」
リリスはサブロウの胸倉へと掴みかかり、ぶんぶん振り回す。まるで切り捨てられた都合のいい女みたいだ。
「だから、違うって言ってるでしょ? ただのおじさんにヒロインは必要ない。つまり、貴女は最初っからヒロインじゃないの。いい加減、目覚めなさい」
「何よそれっ⁉ サブロウくんの教室ってか⁉ ふざけんな‼ そこまで言われちゃあ、ヒロインとして引き下がる訳にはいかにゃい! 絶対、私もついていくからッ‼ もう~、プンプン‼」
辛うじてヒロイン力を保とうとするリリス。だが、スーツがおしゃかになったかの如き鬼気迫る表情が、全てを台無しにしていた。
「分かった分かった。ついて来てもいいけど、兄貴の前で粗相しないようにね。女の子相手だから殺されはしないだろうけど、平気で拷問とかするおっかない人だからさ」
「どの口が言ってんの⁉ それ、サブロウくんもでしょうが⁉」
そんな怒りの収まらないリリスを宥めつつ、サブロウたちは再び昇華で転移する。
この世界で最強と呼ばれる男の下へ……
◆
「――ぶへぇあッ⁉」
吐き出されるや否や、もはや伝統芸能と化した顔面ダイブを見せるリリス。
大地へと熱い接吻をかますその様は、この星の視点から見ればヒロインと言えなくもないこともない。
「相変わらず、ここは空気が澄んでる……。兄貴さえいなければ最高の場所なんだけどなぁ……」
こちらはこちらで、もう心配すらしていないサブロウ。
ヒロイン(仮)に見向きもしないその様は、サイコパスの視点から見れば抜群の主人公っぷりと言えなくもないこともない。
「イテテテテ……って、あれ? 痛くない……? 私のカワユイお顔が無事だわ……」
己が顔の美しき造形に打ち震えていたリリスは、此度飛ばされた場所は何処ぞと辺りを見回し始める。
目に入ってきた光景……それはまさに緑生い茂る広大なジャングル。
視界の至る所にはビルほどの大きさを持つ、色とりどりの巨大な花たちが点在しており、実はリリスたちが居た場所も、その巨大な花の上であった。
ふわりとした感触と圧巻の景色に戸惑う中、特に異彩を放っていたのは眼前に浮かぶ輝く巨大な球体。
目の前の存在からは『絶大な力』、そして『圧倒的な知識』が感じられ、リリスは暫しの間、その叡智の結晶に見惚れてしまっていた。
「何なのよ、これ……?」
「あれこそが、この世界の中心にして魔力の根源……『魔天籠』さ」
リリスからの問いにサブロウは何処か哀愁に満ちた面持ちで答え、その気の抜けた腕を取って立ち上がらせる。
「あれが……魔天籠……」
「さ、もう充分見たでしょ。そろそろ行こうか? 向こうも、お待ちのようだしね」
サブロウたちの向かう先……花びらの中央には革張りの椅子に座る一人の人物。
その場所へ先導しようと歩き出すサブロウ。
魔天籠に見惚れながらも、リリスも黙ってその後に続いていく。
しかし、徐々にその兄貴分とやらへ近づくにつれ、リリスの面持ちは怪訝なものへと変わっていった。何故なら――
「久しぶりだね、サブロウおじさん? 元気だった?」
そこには聞いていた人物像とかけ離れた、執事服の可愛らしい……男? が待ち構えていたからだ。
「え? そりゃそうでしょ? 君のことなんてこれっぽっちも心配してない。ちょうど0さ」
「ちょうど0って……心配しなさいよ、私ヒロインなんだから! ちょっとくらい心配しなさいよぉ~!」
リリスはサブロウの胸倉へと掴みかかり、ぶんぶん振り回す。まるで切り捨てられた都合のいい女みたいだ。
「だから、違うって言ってるでしょ? ただのおじさんにヒロインは必要ない。つまり、貴女は最初っからヒロインじゃないの。いい加減、目覚めなさい」
「何よそれっ⁉ サブロウくんの教室ってか⁉ ふざけんな‼ そこまで言われちゃあ、ヒロインとして引き下がる訳にはいかにゃい! 絶対、私もついていくからッ‼ もう~、プンプン‼」
辛うじてヒロイン力を保とうとするリリス。だが、スーツがおしゃかになったかの如き鬼気迫る表情が、全てを台無しにしていた。
「分かった分かった。ついて来てもいいけど、兄貴の前で粗相しないようにね。女の子相手だから殺されはしないだろうけど、平気で拷問とかするおっかない人だからさ」
「どの口が言ってんの⁉ それ、サブロウくんもでしょうが⁉」
そんな怒りの収まらないリリスを宥めつつ、サブロウたちは再び昇華で転移する。
この世界で最強と呼ばれる男の下へ……
◆
「――ぶへぇあッ⁉」
吐き出されるや否や、もはや伝統芸能と化した顔面ダイブを見せるリリス。
大地へと熱い接吻をかますその様は、この星の視点から見ればヒロインと言えなくもないこともない。
「相変わらず、ここは空気が澄んでる……。兄貴さえいなければ最高の場所なんだけどなぁ……」
こちらはこちらで、もう心配すらしていないサブロウ。
ヒロイン(仮)に見向きもしないその様は、サイコパスの視点から見れば抜群の主人公っぷりと言えなくもないこともない。
「イテテテテ……って、あれ? 痛くない……? 私のカワユイお顔が無事だわ……」
己が顔の美しき造形に打ち震えていたリリスは、此度飛ばされた場所は何処ぞと辺りを見回し始める。
目に入ってきた光景……それはまさに緑生い茂る広大なジャングル。
視界の至る所にはビルほどの大きさを持つ、色とりどりの巨大な花たちが点在しており、実はリリスたちが居た場所も、その巨大な花の上であった。
ふわりとした感触と圧巻の景色に戸惑う中、特に異彩を放っていたのは眼前に浮かぶ輝く巨大な球体。
目の前の存在からは『絶大な力』、そして『圧倒的な知識』が感じられ、リリスは暫しの間、その叡智の結晶に見惚れてしまっていた。
「何なのよ、これ……?」
「あれこそが、この世界の中心にして魔力の根源……『魔天籠』さ」
リリスからの問いにサブロウは何処か哀愁に満ちた面持ちで答え、その気の抜けた腕を取って立ち上がらせる。
「あれが……魔天籠……」
「さ、もう充分見たでしょ。そろそろ行こうか? 向こうも、お待ちのようだしね」
サブロウたちの向かう先……花びらの中央には革張りの椅子に座る一人の人物。
その場所へ先導しようと歩き出すサブロウ。
魔天籠に見惚れながらも、リリスも黙ってその後に続いていく。
しかし、徐々にその兄貴分とやらへ近づくにつれ、リリスの面持ちは怪訝なものへと変わっていった。何故なら――
「久しぶりだね、サブロウおじさん? 元気だった?」
そこには聞いていた人物像とかけ離れた、執事服の可愛らしい……男? が待ち構えていたからだ。
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