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第一章
第30話 サブ⁉ その隣の女は誰っ⁉ 妾の知らない間に他の女とッ……ムキィィィー‼
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早速サブタイトルが殺意めいているが、そんなことは気にせず【常世の居城】に入場するサブロウとリリス。
内観もその名に恥じぬ暗がりっぷり。
城内はランプが薄く灯ってる程度で、周囲に屯ッている傭兵たちの殺気が、よりその陰鬱さを演出していた。
中央には受付まで続く真っ白……だった血に染まる絨毯が敷かれており、それを挟むように円卓が幾つも置かれていた。
そんなムワァ……と漂う殺気のド真ん中を、平然とした顔で歩いていくサブロウ。
恐る恐る後に続くリリスは、この異様な雰囲気を肌で感じていた。
まあ、それは誰が見ても分かること。だが、本質はそこじゃない。
全員が全員、何故かサブロウに注目しているのだ。それも敬愛の眼差しで。
受付まで歩く道中、待ってましたと言わんばかりに語りかけてきたのは、歴戦の戦士が如き佇まいの錆びついた鎧を身に纏う、髭を存分に蓄えた白髪の老兵だった。
「これはこれはサブロウ殿。お元気そうで何よりです」
「ああ。ウィリアムもね」
歩いたまま軽めの挨拶で済ますサブロウ。
次いですれ違うのは、上下黒のレザーで胸元を大胆に開く、ウェーブがかった茶髪のセクシーその1な女性。
「あら、サブロウ……久しぶり。今度、一緒に仕事しましょう?」
「考えとくよ。カミラ」
ついていけないリリスを余所に、今度は太陽の如き仮面をつけた、ボーっと突っ立っているピエロ風の男が、無言のまま鉤爪のついた手を振ってくる。
「やあ、スレイド。ちゃんと飯食えよ?」
最後の最後は、このような場所に似つかわしくない、薄紫のワンピースを着た金髪の少女。
「ハーイ、サブロウ。会えて嬉しいわ。ティエストも嬉しいって」
ウサギのぬいぐるみをティエストと称し、抱きしめながら手を持って挨拶をしてくる。
「僕も会えて嬉しいよ、マイ。ティエストもね」
さて、サブロウが個性的な連中と挨拶を済ませたところで、先程からツッコミ魂を疼かせるリリスのスタンバイが整ったようだ。
「ねえ? サブロウくんってさあ……」
「うん」
「ひょっとして……結構、凄い人だったりする?」
「いや……僕はただのおじさんさ」
そう笑みを織り交ぜながら振り返るサブロウに、リリスが『そんなわけないやろ!』と明らかに不信感を募らせたところで受付に到着。
そこには先程も見たような気がする、筋肉モリモリマッチョマンがお出迎えなさり、リリスは頭の上にクエスチョンマークを浮かべながら、サブロウと受付を交互に見続けていた。
「オカエリナサイマセ、サブロウサン。マスタールームハ、ミギノホウニアリマス。ゴユックリ……」
「どうも」
礼儀正しく会釈する受付に見送られ、サブロウは右手にある巨大な昇華のもとまで歩いて行く。
後をチョロチョロついていくリリスは、それを見上げつつ顔を歪ませる。
「ちょっとサブロウくん……。まさか、またあの中へ入るの?」
「ああ。あれで最上階まで一っ飛びさ」
軽く言い放つサブロウは多くを語らない。
なので、今回巻き込まれた側あるリリスは、当然この状況に対して疑問を呈す。それが巻き込まれた側の役目。
「それで? 何なのよ、この展開は? まるで主人公のような待遇に胃もたれすら感じる……。説明を要求するわ!」
「何で胃もたれを感じてるのさ? 望んでたんじゃなかったの……こういう展開をさ?」
「いや……私の知らないところで、そういうことされると……何かムカつく……」
「そりゃあ、独特な嫉妬だことで」
膨れっ面を見せるリリスにサブロウは微笑み、二人して背の丈を優に超える昇華の前へと立つ。
「で、どうする? 気に入らないなら帰ってもいいけど?」
「冗談じゃないわ! サブロウくんを主人公にするのは私の役目。一人で勝手なことさせるわけないでしょ?」
「そう。じゃあ、行こうか」
サブロウは穏やかな眼差しで承諾し、その蕾へと手をかざす。
漆黒の花はお約束の如く、その怪光する花びらを開き始め、二人を闇の中へと引きずり込もうとする。
というわけで皆様、ご唱和ください。
くぱぁ……
「それはもういいよ」
内観もその名に恥じぬ暗がりっぷり。
城内はランプが薄く灯ってる程度で、周囲に屯ッている傭兵たちの殺気が、よりその陰鬱さを演出していた。
中央には受付まで続く真っ白……だった血に染まる絨毯が敷かれており、それを挟むように円卓が幾つも置かれていた。
そんなムワァ……と漂う殺気のド真ん中を、平然とした顔で歩いていくサブロウ。
恐る恐る後に続くリリスは、この異様な雰囲気を肌で感じていた。
まあ、それは誰が見ても分かること。だが、本質はそこじゃない。
全員が全員、何故かサブロウに注目しているのだ。それも敬愛の眼差しで。
受付まで歩く道中、待ってましたと言わんばかりに語りかけてきたのは、歴戦の戦士が如き佇まいの錆びついた鎧を身に纏う、髭を存分に蓄えた白髪の老兵だった。
「これはこれはサブロウ殿。お元気そうで何よりです」
「ああ。ウィリアムもね」
歩いたまま軽めの挨拶で済ますサブロウ。
次いですれ違うのは、上下黒のレザーで胸元を大胆に開く、ウェーブがかった茶髪のセクシーその1な女性。
「あら、サブロウ……久しぶり。今度、一緒に仕事しましょう?」
「考えとくよ。カミラ」
ついていけないリリスを余所に、今度は太陽の如き仮面をつけた、ボーっと突っ立っているピエロ風の男が、無言のまま鉤爪のついた手を振ってくる。
「やあ、スレイド。ちゃんと飯食えよ?」
最後の最後は、このような場所に似つかわしくない、薄紫のワンピースを着た金髪の少女。
「ハーイ、サブロウ。会えて嬉しいわ。ティエストも嬉しいって」
ウサギのぬいぐるみをティエストと称し、抱きしめながら手を持って挨拶をしてくる。
「僕も会えて嬉しいよ、マイ。ティエストもね」
さて、サブロウが個性的な連中と挨拶を済ませたところで、先程からツッコミ魂を疼かせるリリスのスタンバイが整ったようだ。
「ねえ? サブロウくんってさあ……」
「うん」
「ひょっとして……結構、凄い人だったりする?」
「いや……僕はただのおじさんさ」
そう笑みを織り交ぜながら振り返るサブロウに、リリスが『そんなわけないやろ!』と明らかに不信感を募らせたところで受付に到着。
そこには先程も見たような気がする、筋肉モリモリマッチョマンがお出迎えなさり、リリスは頭の上にクエスチョンマークを浮かべながら、サブロウと受付を交互に見続けていた。
「オカエリナサイマセ、サブロウサン。マスタールームハ、ミギノホウニアリマス。ゴユックリ……」
「どうも」
礼儀正しく会釈する受付に見送られ、サブロウは右手にある巨大な昇華のもとまで歩いて行く。
後をチョロチョロついていくリリスは、それを見上げつつ顔を歪ませる。
「ちょっとサブロウくん……。まさか、またあの中へ入るの?」
「ああ。あれで最上階まで一っ飛びさ」
軽く言い放つサブロウは多くを語らない。
なので、今回巻き込まれた側あるリリスは、当然この状況に対して疑問を呈す。それが巻き込まれた側の役目。
「それで? 何なのよ、この展開は? まるで主人公のような待遇に胃もたれすら感じる……。説明を要求するわ!」
「何で胃もたれを感じてるのさ? 望んでたんじゃなかったの……こういう展開をさ?」
「いや……私の知らないところで、そういうことされると……何かムカつく……」
「そりゃあ、独特な嫉妬だことで」
膨れっ面を見せるリリスにサブロウは微笑み、二人して背の丈を優に超える昇華の前へと立つ。
「で、どうする? 気に入らないなら帰ってもいいけど?」
「冗談じゃないわ! サブロウくんを主人公にするのは私の役目。一人で勝手なことさせるわけないでしょ?」
「そう。じゃあ、行こうか」
サブロウは穏やかな眼差しで承諾し、その蕾へと手をかざす。
漆黒の花はお約束の如く、その怪光する花びらを開き始め、二人を闇の中へと引きずり込もうとする。
というわけで皆様、ご唱和ください。
くぱぁ……
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