25 / 117
序章
第24話 おじさんと少女が邂逅しそうで、しなかったりするお話②
しおりを挟む
さて、こちらは言語に対する謎が一向に解けないガールズチーム。
ハルフリーダは『変な話を振ってしまったのでは……』と、要らぬ心配をしながら慌てたように話題を変える。
「そ、そういえば明芽様たちは、どのようなご用件でサブロウ様を?」
その問いには明芽が答えるようだ。
「え? あぁ……私とエミィちゃん、魔法の知識がからっきしでね。それでサブロウさんって人が魔法に詳しいって聞いたから、教えてもらおうと思って尋ねに行ったの」
「そうだったのですか。私も魔法は少ししか使えないので、ご教授願いたいものです……」
うんうんと頷くエミリアは、危うく聞き逃すところだったハルフリーダの台詞に驚く。
「え⁉ ハルって、魔法使えるの⁉」
「はい。供応魔術を少々」
すると、それを聞いた明芽が「えー! 凄ーい!」と立ち上がり、ぴょんぴょんしながら続ける。
「ねえねえ! どんな感じなのか見せてくれない⁉ 私、まだ見たことなくってさ~」
「え、今ですか? ふふっ……何だか緊張しますね。お友達の前でやるのは初めてで……えへへ……」
頬を両の手で包み、照り焼きチキンの如くデレっデレになるハルフリーダ。
その姿に蘇り始めていた男客たちは再び白き灰となり、受付のお姉さんによってチリトリで掻き集められていた。
「うん。気持ちは分かるけど、早く見せてくれない? エミィも気になるからさ……!」
呆れつつも、うずうずしているエミリアに催促され、ハルフリーダはコホンと息を整える。
「それでは僭越ながら、やらせてただきます。アクセスコード019を申請いたします!」
すると、天から――
《お早う御座います、ハルフリーダ様。今回の申請、有難く承認させていただきます。もしよろしければ、アフタヌーンティーなどもご一緒に如何でしょう? 今ならリラクゼーション機能もお付けいたしますが?》
などと、低音ボイスがめちゃめちゃ下手に出てくる。
「長っ⁉ っていうか、こんな懇切丁寧な承認初めて聞いたんだけど⁉ 何コレ⁉」
「凄ーい! お姫様だと、やっぱり待遇が違うのかな?」
エミリアと明芽が驚く中、ハルフリーダは転輪する緑文字を掌に宿し、
「執行――【千なる愚者の灰狼】」
執行と共に力を解放、その手にドリンク剤を生み出した。
「はい。こちらをどうぞ」
ハルフリーダはそう言いながら、明芽にドリンク剤を手渡す。
「えっとー……これは?」
「栄養ドリンク剤です。飲んでいただくと、力が漲ります!」
想像してた魔法と違った明芽は、目をパチクリさせながらエミリアへと視線を向ける。
エミリアも同感のようで、「と、取りあえず飲んでみなさいよ……」と、恐る恐る勧めてくる。
「じゃあ……いただきます」
明芽は恐縮しながらドリンク剤の蓋を開け、グビッと飲み込む。その後、「ぷはぁ~」と吐息を漏らした。
それを見たエミリアは興味深そうに「ど、どう……?」と尋ねる。
「うん。なんか、ファイトが一発! って感じかな」
「へー……いや、よく分かんないけど……。美味しいってこと?」
「うん。ちょっと、お薬って感じがするけど美味しいよ。なんだか力も湧いてくるし!」
「そ、そう……。エミィはもっとファンタジックなのを想像してたんだけど……。まあ、明芽が気に入ってるならいいわ」
若干不服そうなエミリアに対し、ハルフリーダは満足気に微笑む。
「お気に召したのなら何よりです。他にもお弁当など出せますので、よろしかったら――」
「いや、大丈夫! エミィたち、お腹すいてないから……」
得意気に執行しようとするハルフリーダを、エミリアはそれとなく断った。
ハルフリーダは『変な話を振ってしまったのでは……』と、要らぬ心配をしながら慌てたように話題を変える。
「そ、そういえば明芽様たちは、どのようなご用件でサブロウ様を?」
その問いには明芽が答えるようだ。
「え? あぁ……私とエミィちゃん、魔法の知識がからっきしでね。それでサブロウさんって人が魔法に詳しいって聞いたから、教えてもらおうと思って尋ねに行ったの」
「そうだったのですか。私も魔法は少ししか使えないので、ご教授願いたいものです……」
うんうんと頷くエミリアは、危うく聞き逃すところだったハルフリーダの台詞に驚く。
「え⁉ ハルって、魔法使えるの⁉」
「はい。供応魔術を少々」
すると、それを聞いた明芽が「えー! 凄ーい!」と立ち上がり、ぴょんぴょんしながら続ける。
「ねえねえ! どんな感じなのか見せてくれない⁉ 私、まだ見たことなくってさ~」
「え、今ですか? ふふっ……何だか緊張しますね。お友達の前でやるのは初めてで……えへへ……」
頬を両の手で包み、照り焼きチキンの如くデレっデレになるハルフリーダ。
その姿に蘇り始めていた男客たちは再び白き灰となり、受付のお姉さんによってチリトリで掻き集められていた。
「うん。気持ちは分かるけど、早く見せてくれない? エミィも気になるからさ……!」
呆れつつも、うずうずしているエミリアに催促され、ハルフリーダはコホンと息を整える。
「それでは僭越ながら、やらせてただきます。アクセスコード019を申請いたします!」
すると、天から――
《お早う御座います、ハルフリーダ様。今回の申請、有難く承認させていただきます。もしよろしければ、アフタヌーンティーなどもご一緒に如何でしょう? 今ならリラクゼーション機能もお付けいたしますが?》
などと、低音ボイスがめちゃめちゃ下手に出てくる。
「長っ⁉ っていうか、こんな懇切丁寧な承認初めて聞いたんだけど⁉ 何コレ⁉」
「凄ーい! お姫様だと、やっぱり待遇が違うのかな?」
エミリアと明芽が驚く中、ハルフリーダは転輪する緑文字を掌に宿し、
「執行――【千なる愚者の灰狼】」
執行と共に力を解放、その手にドリンク剤を生み出した。
「はい。こちらをどうぞ」
ハルフリーダはそう言いながら、明芽にドリンク剤を手渡す。
「えっとー……これは?」
「栄養ドリンク剤です。飲んでいただくと、力が漲ります!」
想像してた魔法と違った明芽は、目をパチクリさせながらエミリアへと視線を向ける。
エミリアも同感のようで、「と、取りあえず飲んでみなさいよ……」と、恐る恐る勧めてくる。
「じゃあ……いただきます」
明芽は恐縮しながらドリンク剤の蓋を開け、グビッと飲み込む。その後、「ぷはぁ~」と吐息を漏らした。
それを見たエミリアは興味深そうに「ど、どう……?」と尋ねる。
「うん。なんか、ファイトが一発! って感じかな」
「へー……いや、よく分かんないけど……。美味しいってこと?」
「うん。ちょっと、お薬って感じがするけど美味しいよ。なんだか力も湧いてくるし!」
「そ、そう……。エミィはもっとファンタジックなのを想像してたんだけど……。まあ、明芽が気に入ってるならいいわ」
若干不服そうなエミリアに対し、ハルフリーダは満足気に微笑む。
「お気に召したのなら何よりです。他にもお弁当など出せますので、よろしかったら――」
「いや、大丈夫! エミィたち、お腹すいてないから……」
得意気に執行しようとするハルフリーダを、エミリアはそれとなく断った。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編



【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる