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一学期【慈愛園対抗戦】編

上の空で授業

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対抗戦の話が終わって午後の授業。俺は華薇先生の授業を聞き流しながら、対抗戦の内容を脳裏に書き連ねる。


対抗戦のルール

① 一ゲームに二人一組のみ参加可能

② 対抗戦前に提出されたパートナー組み合わせ表と同じ組み合わせでの参加以外は棄権とみなす。

③ ゲーム中は不参加者による妨害を禁止とする。

④ ゲーム中の不正は発覚次第、反則負けとする。

⑤ 大怪我を伴うプレイを行ったプレイヤーは即棄権とする。

⑥ 以上のルールを守って、楽しく対抗戦に挑みましょう。



「はぁ…」

俺は大きな溜息を吐き出す。それも無理はない。ただでさえ、人外と戦うっていうのにルール内にタダの人間が有利になりそうなものは無い。せめて、なんかしら人間専用に防具辺りが欲しいところだ。こんな勝ち目ゼロの戦いになんで俺が…。

「まじ…最悪」

そう呟くと、

「あぁ、そうだな。私は今とても最悪な気分だよ、ケータ」

華薇先生の声がすぐ近くで聞こえてきた。うーむ、なんで俺の近くにいるんだ?おかしい。

「えーと…どうしました?」

とりあえず最悪な気分みたいなので、質問するのは大事だと思うんだ。しかし、どこかおかしいな。なぜ、俺は睨まれてるんだ?? 

「寛大な私がお前にチャンスをくれてやる。今は、なんの時間だ?あァ?」

定規(普通のサイズにしては少し大きい)を肩にのせながら華薇先生が問いかけてくる。その質問に俺は暫し考え込んだ後、めちゃくちゃ至極簡単な答えに辿り着く。

「…授業中」

「半分正解で半分不正解。おい、京治」

「え?あ、はい!?」

急に名前を呼ばれた京治が驚いた声を上げる。そんなアイツに華薇先生はこう尋ねる。

「このバカに本当の正解を教えてやれ」

「えっと、華薇先生のとてもありがたい現国の授業中…です」

「よし、上出来だ」

華薇先生は京治の回答を聞いてご満悦だ。その様子にアイツも安堵したように息を吐く。そして俺に向けて『ドンマイ』って感じのサインを目で送ってきた。だから俺は『秘蔵写真二枚追加で許す』と返し、答えを待たずに華薇先生へと意識を戻す。

「まぁ、そういうわけで、ケータ。お前だけ課題量二倍だ。ありがたく思え」

「……拒否け…はないですよね。はい、わかりました」

めちゃくちゃ睨まれたので発言を即座に訂正する。そしてそのタイミングで授業終了のチャイムが鳴り、華薇先生は『放課後、相談室に来い。逃げたら絞める』とだけ言い残して教室を後にした。
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