上 下
36 / 66
一学期【中間試験】編

7人での夕飯

しおりを挟む

一悶着を終え、暫しの休息を取り、試験勉強に明け暮れていた頃。あっという間に時は経ち、窓の外を見やれば太陽が完全に消え、月に入れ替わっていた。明日も試験という事で、リィンもレヴィも集中力を使いすぎたのだろう。

「…すぅ…すぅ」

「…すぴー…すぴー」

腕を枕にして眠りについていた。俺は大きく伸びをした後、押し入れから布団を2枚取りだして、2人にかぶせ、リビングへ向かった。その際に妹華の部屋の扉越しから、

「もう夕方で遅いから、桔梗ちゃんと翠ちゃんも夕飯食べてくか?」

「はーい!ありがたくいただきます!」

「わ、私も…いただきます」

声をかけるとそのように返事が来たのでそのまま階段をおり、リビングに入る。相変わらず2人では広すぎるリビングだが、よく俺の友達や妹華の友達が遊びに来たりするので色々と助かっている。

「んーと、今日は何作るかなぁ」

冷蔵庫の中身を確かめながら、夕飯の献立を考える。大体の材料は揃っている為、基本どのリクエストにも応えることが出来るわけなんだが、栄養の偏ったメニューばかりリクエストされるので応えるのはやめることにした。やはり栄養バランスは大事だ。

「とりあえず今日は疲労回復にもいい酢豚を作るとしますか」

パッパっと冷蔵庫から必要なものを取り出して、料理を始める。両親が海外に仕事に行っており、いつも妹の為に飯を作ってるから、誰かの為に作ってあげるというのが俺の中では一番の幸せだ。俺が作った料理を食べてもらい、『美味しい』と笑顔で言われる時の嬉しさと言ったら、天に昇ってしまう程だ。だから1度も料理に関して苦に思ったことは無い。

「さてさて、もうそろあいつらに声掛けしとくか」

1度、火を消して俺は階段下から

「おーい!もうそろご飯できるから降りてこいよ~!」

そう声をかけてから、料理の仕上げに向かう。まぁ、仕上げと言っても皿に盛り付けるだけだが。

「よっ、と。うん、完璧!」

キラキラと輝いて見えるほどに美味しそうな酢豚の盛られた皿を机の真ん中に置き、米を茶碗に盛る。女性陣しかいないこともあり普段の妹華と同じくらいのちょい少なめにしておく。ちなみに俺はまだまだ若い男子高校生なのでたくさんお米を盛り付ける。

「ふあぁ……ん、おはよ」

「…おはようだ」

リビングのドアがガチャっと開き、寝ぼけ眼を擦るリィンとレヴィが入ってきた。そしてそれに続くように、

「わぁ!美味しそうな匂い!」

「お、お腹すきました…」

「--お腹空いた」

桔梗ちゃん、翠ちゃん、妹華がリビングへと入ってくる。これで全員が揃っ…てないな。珍しく遅い雫。まぁ、冷めちゃうし早く食べるかと、エプロンを外し自分の席につこうとすると--

「いっただっきまーす!!」

そこにいつの間にか雫が座り、手を合わせて元気よくそう叫び、酢豚を頬張り始めた。俺はいきなり現れた雫に呆れてため息を着いた後、別の椅子に座り計7人で夕飯をとり始めた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

保健室の先生に召使にされた僕はお悩み解決を通して学校中の女子たちと仲良くなっていた

結城 刹那
恋愛
 最上 文也(もがみ ふみや)は睡眠に難を抱えていた。  高校の入学式。文也は眠気に勝てず保健室で休むことになる。  保健室に来たが誰もいなかったため、無断でベッドを使わせてもらった。寝転がっている最中、保健室の先生である四宮 悠(しのみや ゆう)がやって来た。彼女は誰もいないと分かると人知れずエロゲを始めたのだった。  文也は美女である四宮先生の秘密を知った。本来なら秘密を知って卑猥なことをする展開だが、それが仇となって彼女の召使にされることとなる。

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

彼氏と親友が思っていた以上に深い仲になっていたようなので縁を切ったら、彼らは別の縁を見つけたようです

珠宮さくら
青春
親の転勤で、引っ越しばかりをしていた佐久間凛。でも、高校の間は転校することはないと約束してくれていたこともあり、凛は友達を作って親友も作り、更には彼氏を作って青春を謳歌していた。 それが、再び転勤することになったと父に言われて現状を見つめるいいきっかけになるとは、凛自身も思ってもいなかった。

男だけど女性Vtuberを演じていたら現実で、メス堕ちしてしまったお話

ボッチなお地蔵さん
BL
中村るいは、今勢いがあるVTuber事務所が2期生を募集しているというツイートを見てすぐに応募をする。無事、合格して気分が上がっている最中に送られてきた自分が使うアバターのイラストを見ると女性のアバターだった。自分は男なのに… 結局、その女性アバターでVTuberを始めるのだが、女性VTuberを演じていたら現実でも影響が出始めて…!?

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~

蒼田
青春
 人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。  目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。  しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。  事故から助けることで始まる活発少女との関係。  愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。  愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。  故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。 *本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。

処理中です...