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一学期【中間試験】編

騒がしい食卓

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買い出しを終え、俺は寂しくなった財布の中身を見て、ため息をついて家に戻る。リビングに入ると既に椅子に座って待機しているお腹ぺこぺこ娘こと雫がいた。俺は再度ため息をついて、おにぎりだけ渡し、レンジに唐揚げのパックと焼きそばのパックを入れ温める。そしてそれをしている間に、オムライスを作る。しばらくして温め終わった唐揚げと焼きそばを雫に渡し、今度はレヴィのカルビ弁当を温めつつ、リィンのカップ麺用にお湯を沸かす。

「おい、雫」

「ふぁに? けーふん」

「頬張ったまま話すなと言ってんだろ。まぁ、いい。その口に入ってるもん食べ終えたら、妹華達を呼んできてくれ」

「ふぁーい!」

もきゅもきゅと美味しそうに焼きそばを頬張る雫は元気よく返事をしたあと、あっという間に口の中を空にする。そしてトタトタと2階へと上がって、妹華達を呼びに向かった。

「さて、今のうちに仕上げといくか」

俺はケチャップライスの上に慎重に卵を被せる。少しのミスで崩れてしまう卵を丁寧に載せるのにはかなりの神経を必要とする。雫曰く『美味しければ見た目は気にしない』らしいが俺はそれが許せない。料理は見た目が第一優先だ!たとえ美味しくても見た目が酷ければ食欲は失せるし不快に思うはずだ。自分用ならまだしも人様に出す料理だ。飲食店なんかでやってみろ。クレーム殺到でクビルートまっしぐらだよ。だから見た目は大事なのだ。

「よし、今日も俺の料理は100点満点だな!」

神々しいほどに綺麗で美しいオムライスに俺は満面の笑みで何度も自画自賛する。と、そんな事をしていると、

「ケー君!みんな、呼んできたよ!!」

雫が全員を連れてきてくれたらしい。

「お、ちょうど俺お手製オムライスが完成した所だ。さっさと飯食べて試験勉強の続きするぞ」

「…いや、寝たいんだけど…」

「我も…休みたい…」


振り返って俺が告げると、すんごい疲労しているリィンとレヴィが椅子に座ってぐったりしながら返事をする。

「えっと、どういう事だ?妹華」

「はァ?私が知るわけないでしょ。てか、当たり前のように隣座んなし!バカおにぃ!!」

ゲシッと椅子から落とされる。ちょっとすぐに足出すのやめよ!?

「し、仕方ねえだろ。座れる所がここしかねえんだし、流石に床で食べるのは駄目だろ」

「そう?おにぃは床がお似合いだよ」

妹華はそう言うと俺お手製オムライスを頬張り始める。 え?お兄ちゃんってそんなに床が似合ってるの?え?悲しいよ、お兄ちゃんは…。まさか妹華がお兄ちゃんをそんな風に思ってたなんて!おいおいしくしくと悲しんでいると、

「相変わらず大変ね、あんた」

ズルズルと麺をすするリィンが告げる。あの…せめて同じ視線になってお話してくれませんか?これ、見下ろされる構図だよね?もう俺悲しい…。

「おい!貴様! 伴侶の妹のくせにその偉そうな態度はなんだ!今すぐその態度は改めなければ、我は貴様を許さんぞ!」

先程までぐったりしてたくせにカルビ弁当を食べて元気を取り戻したレヴィが妹に怒鳴る。なんか嫌な予感しかしない件について。

「はァ? なんで部外者のアンタが私とおにぃの問題に介入してくるわけ?てか、伴侶、伴侶って馬鹿の一つ覚えみたいに言ってるけどさ、アンタなんかに私のおにぃは渡さないから!!」

妹華は机をバンっと叩いてそう言葉を返す。

「ふ~ん、私のおにぃねぇ」

カップ麺とサラダを食べ終えたリィンがクスリと笑い呟く。因みに俺はヒロインばりにドキドキトゥンクトゥンクしていた。ちょっとさすがに惚れちゃう。ま、家族として妹ラブなのはどの兄妹も同じだと思うけどね。

「…あ」

遅れて自分の発言に気づいたらしい妹華の顔が真っ赤になる。え?可愛い。やっぱり俺の妹めちゃくちゃ可愛いよ。うん、可愛い。

「い、今のは違うから!私のお兄って言うのは…そ、その、あれだから!サンドバッグって意味で!そ、そんな、す、好きとかそういうのじゃないから!ってか、おにぃはそんな幸せそうな顔すんな! このバカ!アホ!え、えっと、変態!!」

ゲシゲシと俺を蹴りながら真っ赤な顔で言い訳をつらつらと並べる我が妹。うん、天使級の可愛さだ!でも痛い。あ、待って、ほんと痛い!? ちょ、1回落ちt・・・

「…あ」

リィンのそんな声が聞こえた後、俺の意識は途絶えた。
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