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魔物の大軍が現れた!

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 先程まで雑木林だったのに、辺りは一面南国の森に変わっていた。

 森に変わったのもそうだが高いビル群が一つも見えない。

 直感でおかしいのは分かり背筋が凍る。異常事態だ。

 俺は倒れた原チャを立たせると、ハンドルに取り付けたスマホのマップを見る。

 地図は変わらないが圏外になってる、更新したらマップは消えてしまうだろう。

 現代の日本で圏外になるような場所などまず無い。

 とくに千葉県で圏外になるような場所は無いはずだ。東京湾のど真ん中でさえ電波が入るのだから。

 それとこの道路、いや道路というにはまともに整備されていなく砂利道でさえない道。

 脇には見たこともない草や木が繁茂しており、そのありさまがよけいに不安を掻き立てる、背の高い草から何か出てきそうで怖いのだ。

 熊は千葉県にはいないけど、ここが千葉県だと言い切れる確信が無い、備えだけはしておくか。

 俺は軍用リュックからMP5K(クルツ)を取り出し左手に装備した。マガジンは装着しない。
 音で威嚇のために使用するので、攻撃の為ではないからだ。

 千葉県は熊はいないが野生のキョンはいる。

「ただのキョンには興味ありません。以上」

 くだらないおやじギャグで心を落ち着かせる。

 ちなみにキョンは外来種で鹿の小さい奴だと思えばいいだろう。

 しかし、前に進むか後ろに進むか、それが問題だ。

 空を見ると太陽は進行方向六時の方角、つまり後ろにある。

 時間がずれていなければ今は朝の8時太陽のある方が東だ。

 太陽を見ていると後方の道に子供が歩いているのが見えた。

「よかった人がいる。辺境の人がいない場所じゃないようだ」

 俺はここの場所を聞こうと思い、その子供に手を振って近寄ったのだが、その子供には髪はなく緑色の肌で手には短い剣と盾を持っていた。

 それはまるでアニメで見るような怪物のゴブリンだった。

 俺に気が付くと、そいつは剣を振り上げ襲いかかってきた。やばい殺される!

 命の危機を感じ、とっさにマガジンを装填しエアーガンを撃った。少しでもひるんでくれればという思いからだ。

 BB弾はゴブリンの体に当たるとゴブリンと一緒に光となって消滅した。

「BB弾が効くのか……」

 ゴブリンがいた足元には金貨と宝石のようなものがあった。

「なんだこれ」

 魔物がエアーガンで倒せて、しかも倒すとお金とアイテムが手にはいる。

 まるでゲームじゃないか。

 ドドドドドッ

 地面が揺れる地震か? 

 だがそれは地震などではなく大量のゴブリンや大型の魔物がこちらに向かって進んでくる音だったのだ。

 原チャで逃げようとしたが間に合わない。

 俺は魔物にBB弾をフルオートで発射した。

 魔物はみるみる消滅していくが飛距離が短い、有効射程は15m程だ。

 遊びなら十分だが命がかかっている場合は近すぎる。

 この距離じゃ原チャのエンジンをかけて逃げることもできない。

 俺はBB弾を発射しながらリュックからツインドラムマガジンを取り出す。

 巻き上げを開始してカートリッジ交換をした。

 右手は次のマガジンを用意するために空になったマガジンにBB彈を詰め込む。

 ローダー式じゃなくてよかったよ心底思う。

 ローダー式だったら弾切れ即死亡だった。

 よく、バイオBB弾指定の会場にプラスチックBB弾やセミバイオBB弾を持ってくる人がいると聞いて。サバゲ仲間とお近づきになる為に弾を六千発の袋を10袋、6万発分のバイオBB弾を用意していた。

 潤沢に弾を持ってきておいてよかった。まあ、俺がトリガーハッピーなところもあるんだけどね。

 20分程連射しまくって、ようやく魔物は全滅した。いや遠くに一匹逃げていくゴブリンがいた。

 俺はリュックからスナイパー用の銃を取り出すとそのゴブリン目掛け弾を発射した。そのゴブリンは光となって消え足元にアイテムをまき散らした。

「死ぬかと思った」

 マジで怖かった、最後の方に襲ってきたデカ物はかなり焦ったあれは宇宙怪獣だろ。

 その魔物を倒すのには1000発以上使ってしまった、たった一体に1000発だ。
 バッテリーもギリギリだった。
 カスタムして2本分のラジコン用バッテリーを装着しておいた正解だったな。

 しかし、これ、どうすればいいんだ。

 そこには、大量のアイテムと金貨が山積みになっていた。

 取り合えず詰められるだけの金貨をリュックにしまった。

 これどう見ても100kg超えてるよな。

 リュックの持とうとしたが重くて無理だった。

 俺はレスラーや重量挙げの選手じゃない、ただの高校生に100kgの重量をあげるのは無理だ。

 しかし、あんな化け物がいるとなると、ここは異世界なのか。

 異世界ならステータスとか見れればいいのに。

 そう考えたとたん、俺の目の前に色々な情報が現れた。

名前:カズヤ
年齢:40
性別:男
職業:未設定
LV:0
残りポイント:45620

 アイテム
  一覧
  回収
  分解
 装備
  一覧
 スキル
  アサルト 100

 0G

 ステータスって、これだけ?

 あれだけの魔物倒したのにLV0なの?

 力とか賢さとか素早さって無いの?

 ありえないわ、完全に倒し損。

 まあ、この残ポイントってのが何なのかってことだよな。

 アイテムの一覧は空っぽだ、なにも入れてないリュックみたいなものか。

 回収をクリックしたら目の前のお宝たちが消えた。

 アイテム一覧を見ると武器や素材が色々と入っていた。

 そして所持金も一気に増えた。

 95,292,283G20C 

 仮に一円換算なら大金持ちだ。

 まあ、十分の一位だろうな。

 それでも100万円近くあるのか、金はあるに越したこと無いからな。

 とは言え使える場所がなきゃ意味がないんだが。

 分解はよく分からないから落ち着ける場所についてから調べよう。

スキル アサルト

 (常に最前線で戦うとステータス×10の力を得る)

 なにこのチート。
 と言うか、その10倍になるステータス自体が見当たらないんですが?

 0の十倍は0だよ?

 そして装備は今装備しているものだろう。

ヘルメット
 レア:SS
 物理耐性:SSS
 全ての状態異常を防ぐ。

迷彩服
 レア:SSS
 物理耐性:A
 特殊効果:インビジブルを発動させることができる。

ブーツ
 レア:SS
 物理耐性:SS
 常にバランスを保てる。

プロテクター
 物理耐性:SSS
 レア:SS
 装備全体の防御力をアップさせる。

防刃シャツ長袖
 物理耐性:SSS
 レア:SS
 完全に刃を通さない。

MP5k×2
 レア:SS
  不思議な樹脂作られた武器、神気を帯ているため壊れることがない、BB弾を飛ばす。

G18C
 レア:SS
  不思議な樹脂作られた武器、神気を帯ているため壊れることがない、BB弾を飛ばす。

バイオBB弾 32402発
 レア:SSS
 生物を分解する力をもつ。

樹脂ナイフ
 レア:SS
 不思議な樹脂作られたナイフ、神気を帯ており魔物を容易く切り裂く、その固さはオリハルコン以上。

NSー1 ネイキッドバイク
 レア:SSS
 凄い速い、悪路も走れる。

スマートフォン
 レア:SSS
 異世界の通信機器

自衛隊レーション×5
 レア:S
 すごくうまい。

カロリー加工食品(チーズ味)×10
 レア:SS
 超うまい。

うまか水×1
 レア:SS
 神の水、傷の治癒、体力、魔力回復の効果あり。

 大体こんなものか。

 バイオBB弾に魔物を分解する力なんて無い、まあ現実世界に魔物なんかいないからわからないけど。
 もしかしてバイオBB弾の生分解が強化されたってことなのか。
 生を分解する見たいな感じで異世界さん勘違いしちゃいましたか?

 でもそれなら俺の体はなんで消滅しないんだ?
 素手でBB弾を触ったぞ。

 俺の体は元の世界の常識のままなのだろうか。

 ただ俺以外の装備は全部強化されてる。

 うむ、分からん。

 まずは何はともあれ落ち着ける場所を探さないとな。

 魔物が来た方角は確実にやばい気がする。

 つまり、魔物が行こうとした方向に人間の町があると思っていいだろう。

 よし、そうと決まれば善はいそげだ。

 俺は原チャにまたがるとエンジンを始動させ、一路西と思われる方角に走り出した。
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