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波瀾万丈の王都生活
ケガレモノ
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王役を含めたモンスターの数は、およそ10体。
エルが散々殴り倒した兵士よりも、単体の能力は高いだろう。
「エル……大丈夫か?」
「……っべーわー。死ぬわー。ユーマくんに助けてもらわないと死んじゃいますー」
「余裕そうじゃねぇか」
実際、エルの傷は深くはない。
筋肉や内臓には全く達していないのだ。
だが、先ほどまでの大立回りをすれば、傷は間違いなく酷くなる。
「まぁでも、ユーマくん的には良かったでしょ」
「何がだよ」
「だって、相手は人間じゃなくて、人になり代わって人を食らうモンスター。殺す抵抗なんて無いでしょう?」
優馬は剣を抜き、その刀身を燃やす。
「そうだな、エル。いくらなんでも、コイツらに殺生の抵抗は湧かねぇわ」
背後より近づいていた一体の胴を一閃、両断に至らないと気付いた瞬間に、もう一撃を脳天に叩き込む。
臓器や脳を損傷したモンスターは断末魔を上げて倒れ、その死骸は黒い液体へと溶けていく。
「うわっ!?想像以上にキッショッ!」
「気持ち悪がる前にほら!さっさと逃げる!」
開いた包囲の穴から二人は突き進む。
そして城の中を、とにかく走っていた。
「どう逃げりゃいいんだ!?出口は偽物キングが出てきた方向だったよな!?」
「別に、窓から飛び出すとかで十分でしょ。バカ正直に玄関から出ていく必要はないんですから」
恐らく全ての偽物が正体を現したのだろう、城の中はパニック状態であった。
そしてモンスターは、先ほどまで談笑をしていたであろう相手を、もう用済みとばかりに殺し、食らい始めている。
「あ、ユーマくん!?」
別段、優馬は正義感が強いわけでもない。
だが人間として、そのような行為が許せるはずもなく、エルの制止を振り切ってモンスターを斬ってしまった。
手遅れなのは分かっていたが、どうしてもそうしなければならないと思ってしまったのだ。
「……なぁ、エル」
「……なんです?」
「……俺、ちょっとコイツら斬っておきてぇわ」
明らかな怒りを含んだその声に、エルは思わず震え上がる。
こんなに怒れたのか、そう思ってしまった。
以前の鉱山の時とは、怒りの質がまるで違う。
「……お好きにどうぞ。ただ、私は怪我をしてますし、平気で斬れるんだから援護もしませんよ。……このモンスターはケガレモノ、人間と同程度の知能を持って人間に化け……こういうことをします。国盗りしようだなんて例はありませんでしたけどね」
傷を押える手の隙間から、ポタポタと雫が落ちる。
痛くないはずがない。
さっさと脱出して治療したいはずだ。
だがそうしないのは、彼女も少なからず怒りを感じるからだろう。
「不意打ち決めたからって調子に乗らないでくださいね。膂力や耐久力は、まともに訓練されてる兵士よりも五割増しは、最低限持ってますから」
「分かった。敵の位置だけ教えてくれ」
「真後ろ」
「のぅおっ!?」
完全に不意を突かれていたが、ケガレモノ自身もここで反撃を食らうと思っていなかったのだろう。
アゴから顔面にかけて斬擊がクリーンヒット、声一つ上げずにその体が崩れていく。
「そんな調子で勝てるんですか~?無理しなくていいんですよ~?」
「か、勝てるさ……たぶん」
「たぶんじゃ困るんですが」
二人は城内を駆け回り、生存者の捜索とケガレモノの討伐を始めた。
多く感じられたモンスターの数も想像以上に少なかったらしく、生き残った兵士の手によって複数体が既に殺されていた。
だが被害の割合としては、人間側の方がずっと多い。
「お前達など、我々に食われておれば良いのだ!」
「ふざっけんじゃねぇよ!だーれがテメェらみたいなキモさの集合体みたいな奴に食われるか!死ねッ!」
ムカデの鎧と能力のお陰で、優馬の怪我はかすり傷程度で済んでいる。
今も胴を激しく打ち付けられて転倒したがすぐに起き上がり、戯れ言を口にするケガレモノを両断して撃破した。
エルも援護こそしないが、危機に瀕した人を助ける程度には協力し、何体かのケガレモノを葬っている。
次第に、ケガレモノはその姿を減らしていた。
エルが散々殴り倒した兵士よりも、単体の能力は高いだろう。
「エル……大丈夫か?」
「……っべーわー。死ぬわー。ユーマくんに助けてもらわないと死んじゃいますー」
「余裕そうじゃねぇか」
実際、エルの傷は深くはない。
筋肉や内臓には全く達していないのだ。
だが、先ほどまでの大立回りをすれば、傷は間違いなく酷くなる。
「まぁでも、ユーマくん的には良かったでしょ」
「何がだよ」
「だって、相手は人間じゃなくて、人になり代わって人を食らうモンスター。殺す抵抗なんて無いでしょう?」
優馬は剣を抜き、その刀身を燃やす。
「そうだな、エル。いくらなんでも、コイツらに殺生の抵抗は湧かねぇわ」
背後より近づいていた一体の胴を一閃、両断に至らないと気付いた瞬間に、もう一撃を脳天に叩き込む。
臓器や脳を損傷したモンスターは断末魔を上げて倒れ、その死骸は黒い液体へと溶けていく。
「うわっ!?想像以上にキッショッ!」
「気持ち悪がる前にほら!さっさと逃げる!」
開いた包囲の穴から二人は突き進む。
そして城の中を、とにかく走っていた。
「どう逃げりゃいいんだ!?出口は偽物キングが出てきた方向だったよな!?」
「別に、窓から飛び出すとかで十分でしょ。バカ正直に玄関から出ていく必要はないんですから」
恐らく全ての偽物が正体を現したのだろう、城の中はパニック状態であった。
そしてモンスターは、先ほどまで談笑をしていたであろう相手を、もう用済みとばかりに殺し、食らい始めている。
「あ、ユーマくん!?」
別段、優馬は正義感が強いわけでもない。
だが人間として、そのような行為が許せるはずもなく、エルの制止を振り切ってモンスターを斬ってしまった。
手遅れなのは分かっていたが、どうしてもそうしなければならないと思ってしまったのだ。
「……なぁ、エル」
「……なんです?」
「……俺、ちょっとコイツら斬っておきてぇわ」
明らかな怒りを含んだその声に、エルは思わず震え上がる。
こんなに怒れたのか、そう思ってしまった。
以前の鉱山の時とは、怒りの質がまるで違う。
「……お好きにどうぞ。ただ、私は怪我をしてますし、平気で斬れるんだから援護もしませんよ。……このモンスターはケガレモノ、人間と同程度の知能を持って人間に化け……こういうことをします。国盗りしようだなんて例はありませんでしたけどね」
傷を押える手の隙間から、ポタポタと雫が落ちる。
痛くないはずがない。
さっさと脱出して治療したいはずだ。
だがそうしないのは、彼女も少なからず怒りを感じるからだろう。
「不意打ち決めたからって調子に乗らないでくださいね。膂力や耐久力は、まともに訓練されてる兵士よりも五割増しは、最低限持ってますから」
「分かった。敵の位置だけ教えてくれ」
「真後ろ」
「のぅおっ!?」
完全に不意を突かれていたが、ケガレモノ自身もここで反撃を食らうと思っていなかったのだろう。
アゴから顔面にかけて斬擊がクリーンヒット、声一つ上げずにその体が崩れていく。
「そんな調子で勝てるんですか~?無理しなくていいんですよ~?」
「か、勝てるさ……たぶん」
「たぶんじゃ困るんですが」
二人は城内を駆け回り、生存者の捜索とケガレモノの討伐を始めた。
多く感じられたモンスターの数も想像以上に少なかったらしく、生き残った兵士の手によって複数体が既に殺されていた。
だが被害の割合としては、人間側の方がずっと多い。
「お前達など、我々に食われておれば良いのだ!」
「ふざっけんじゃねぇよ!だーれがテメェらみたいなキモさの集合体みたいな奴に食われるか!死ねッ!」
ムカデの鎧と能力のお陰で、優馬の怪我はかすり傷程度で済んでいる。
今も胴を激しく打ち付けられて転倒したがすぐに起き上がり、戯れ言を口にするケガレモノを両断して撃破した。
エルも援護こそしないが、危機に瀕した人を助ける程度には協力し、何体かのケガレモノを葬っている。
次第に、ケガレモノはその姿を減らしていた。
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