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日ノ本妖魔裂傷戦線
帰りたい故郷
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あの街での旅行の後も、何度かルナは異国の街へと足を踏み入れた。
その度に彼女は思い出を増やし、クラリスやオーギュストとの親交を深めていった。
コンテナの外、視界に広がるいつも異なる風景に、いつも彼女は違った感動をする。
いつの間にか、彼女は悲しみで枕を濡らして眠ることが無くなった。
しかしそれでも、一つの思いだけは変わらず、持ち続けていた。
「日本に行きたいと言ったら……クラリスは、怒るかな?」
この日、二人はルナの部屋でビデオゲームに興じていた。
最新作の対戦格闘ゲーム、ルナのクラリスへの勝率は約九割と言ったところか。
「どうしてそう思うの?」
握力で破壊しかけたコントローラーを手放し、ルナの瞳を見据えてそう問いかけた。
「だって……未練がましく思われるかもだし……。で、でも!家族に会いたいとか、家に帰りたいとか、そういうことじゃないの!でも……」
ルナにとってそれは、勇気の要る告白だったのだろう。
顔を伏せてしまったルナが口を開こうとしたとき、それを遮るようにしてクラリスが答えた。
「いいんじゃない、別に」
「……へぇ?」
予想していなかった答えに、気の抜けたような声で返答してしまう。
「私にだって、捨てられない未練くらいあるし、あなたの気持ちに理解がない訳じゃないの。……何の条件も無しに自由にはさせてあげられないけど、それでもよければ」
クラリスの提示した条件は二つ、家族や友人には会わず、縁もない、かつての自宅からも離れた地域のみに滞在すること、自身の庇護下から離れないことだ。
これには、ルナの精神状態を不安定にさせないための配慮も含まれている。
そしてルナは、この条件を了承した。
「出発は三日後、流石にコンテナには乗せられないから、別の経路……多分、船での移動になる」
「……え、パスポートとか持ってないけど、どうするの?」
クラリスはあっけらかんとした調子で答える。
「密航者にそんなもの要らないでしょ」
ルナは今更ながらに、日本に行きたいと口にしたことを後悔し始めた。
彼女はまさか、自分が違法行為を犯すことになるとは欠片も思っていなかったのである。
その度に彼女は思い出を増やし、クラリスやオーギュストとの親交を深めていった。
コンテナの外、視界に広がるいつも異なる風景に、いつも彼女は違った感動をする。
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しかしそれでも、一つの思いだけは変わらず、持ち続けていた。
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この日、二人はルナの部屋でビデオゲームに興じていた。
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「どうしてそう思うの?」
握力で破壊しかけたコントローラーを手放し、ルナの瞳を見据えてそう問いかけた。
「だって……未練がましく思われるかもだし……。で、でも!家族に会いたいとか、家に帰りたいとか、そういうことじゃないの!でも……」
ルナにとってそれは、勇気の要る告白だったのだろう。
顔を伏せてしまったルナが口を開こうとしたとき、それを遮るようにしてクラリスが答えた。
「いいんじゃない、別に」
「……へぇ?」
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「出発は三日後、流石にコンテナには乗せられないから、別の経路……多分、船での移動になる」
「……え、パスポートとか持ってないけど、どうするの?」
クラリスはあっけらかんとした調子で答える。
「密航者にそんなもの要らないでしょ」
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