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第5話

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 デート当日。
 俺は待ち合わせ場所として予め決めていたニコニコ公園にいた。
 ここならちょうど俺の家と真涼の家との中間当たりだから、待ち合わせ時間に遅れるようなことも起きないだろう……と、先日の帰り道そう話し合っていたのだが、

 「真涼のやつ……遅ぇな……」
 
 待ち合わせ時間は午前十時だったはず。
 それなのに現在午前十時半を過ぎても、真涼の姿は現れなかった。
 ――俺…………弄ばれたか?
 近くのベンチに座りながらそう思い始めた頃だった。

 「ごめーん、待たせたぁ?」

 真涼がニコニコしながら、のこのこ歩いてきた。
 腕時計の針を確認すると、午前十一時。一時間の遅れである。

 「ああ。めちゃくちゃ待ったぞ。一時間も待ったぞ」

 俺は少しキレ気味でそう言うと思いっきりスネを蹴られた。しかも、先の尖ったハイヒールで。

 「イッタ!…お前何すんだよ!……逆ギレか?」

 「あなたは本当に腐ってるわね。こういう時は『今来たところだよ』って言うのが男として彼氏として当たり前でしょ!」

 「なんで当たり前なんだよ。そこはちゃんと男女平等に扱わないといけないだろ(笑)」

 俺はいつも思う。
 なぜ男女平等って世間では仕事など一般的なのに、こういう場面では平等じゃないのだろうと。
 温泉だってそうだ。
 男女平等に扱うのであれば、日本中の温泉全てを混浴にすればいいのに。世界では混浴とか当たり前だよ。

 「おまわりさーん!こっちです!」

 「な、何してんの?!」

 気がつけば、真涼は近くの交番にいた警察官を手招きして呼んでいた。

 「だって、ここに変態の不審者がいるから」

 「誰が変態だ!てか、俺は不審者でもない!」

 ちゃっかり俺の心を読みやがって……って、本当に警察官が近づいてきたんですが。

 「どうにかなさいましたか?」

 それに、なぜこの警察官は俺を睨みつけているのだろう。…………――その左手に持ってるのはなんスか?手錠スか?なんのために?

◆❖◇◇❖◆

 「お前……それにしても本当にヤバかったぞ」

 俺は全身に汗を流しながら、真涼にそう言った。

 「まさか本当だったとはね……クスクス」

 真涼は笑いを堪えていたが、若干吹き出している。
 俺は先ほどガチで警察官に連れてかれそうになった。
 真涼があまりにも無口だったため、俺が何かして口止めをしているのだと勘違いされた。
 結果的には真涼が「この落とし物を届けに来ただけなのですが……」と言って、事は収まったのだが…

 「あの警察官、俺に対して恨みでもあんのか?」

 「どうかしたの?」

 交番に戻った後もずっと俺のことを見ていた。
 ――もしかしたら俺に惚れたとか?

 「良かったわね。新しい彼女ができて」

 「お前バカにしてんのか?って、何度も俺の心を読むな!」

 この後のデートがもうすでに思いやられる。
 果たして、俺は最後まで真涼の行動についていけるのだろうか。ただ、それだけが心配になった。
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