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高校1年生
第82話
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学校から徒歩五分。
憂鬱な気分でとぼとぼと歩いていたら、いつの間にかニコニコ公園まで目と鼻の先まで辿り着いていた。
これから何が起こるのか全く想像ができない。
正直なところ行きたくないというのが本音。
でも行かなければ、俺たちのギクシャクした関係は終わらないような気がして……。
いずれにしろ決着はいつか付けなければいけないもの。
それが今日この時になっただけだ!
「よし、大丈夫だ!」
覚悟を決めたところでちょうどニコニコ公園に到着した。
決して広くないこの公園。
六花の姿も数秒とかからずにすぐ見つけることができた。
六花はこの公園では一番大きいイチョウの木の下にいる。
「よ、よう」
恐る恐る声をかける。
これだけで相当な冷や汗が背中をつたう。
「……遅い」
六花は少し不機嫌だった。
と言っても、ここ最近はちょー不機嫌だったからまだいい方なのかもしれない。
「悪い、これでも急いで来たつもりだ」
「……なら……許す」
「ありがとな」
あれ?
いつもの六花と様子が違う。
今目の前にいる六花は下を向いて、どこか緊張した雰囲気を漂わせている。
この後、やはり何かあるのか?
「え、えーと……今日呼び出したのは……ちょっと渡したいものがあって……」
「渡したいもの?」
はて?なんだろう?
渡したいもの……時限爆弾とか?
「……はい、これ」
何を渡されるのだろうかといろいろ考えてる中、六花は後ろに隠していた小さい紙袋を少し躊躇いながらも手渡した。
俺はそれを受け取り、中を見ていいか六花に確認をとる。
「い、いいに決まってるでしょ!」
怒られた。
まぁ、当たり前といえば当たり前だな。俺に渡したいものがあるって言ってたし。
「じゃあ、ありがたく中身を拝見させていただきます!」
俺は小さい紙袋の中に入っているリボンの付いた小さい箱を取り出す。
持った感じは軽い。
爆弾でないことは分かった。
じゃあ、俺に渡したいものってなんなんだ?
「……は?」
「何その反応……?」
「い、いや……ちょっと予想外すぎてな」
本当に予想の斜め上をいった。
これはどういうつもりなんだろうか?
全くわからない。六花の考えていることが全然分からない!
俺に……チョコ……なんて……。
「そ、それ……本命」
「え?なんて?」
声が小さすぎて全然聞こえなかった。
「だーかーらー!それ、本命だから!」
「わ、分かったから大声出すな」
びっくりしたじゃねーか。
てか、本命だって?俺に?
罠か何か?
俺は周りをキョロキョロして、ドッキリでよくある隠しカメラとかネタばらしをする人とか探す。
「何してんの?」
その行動を不気味悪そうに見る六花。
……え?ガチのやつ?
「いや……なんでもない」
「そう。返事はすぐにしてね!いい?」
「なんの返事だ?」
そう言われても、なんのことで返事すればいいか……。
って、六花の表情が急に険しくなったんだが……。
「それくらい分かるでしょ!バカ!」
「あ、はい!ご、ごめんなさい!」
つい、謝ってしまった。
要するにたぶんだが、この本命チョコの返事のことだろう。
そういや、今日は二月十四日のバレンタインデーだったか。
すっかり忘れてたぜ!
憂鬱な気分でとぼとぼと歩いていたら、いつの間にかニコニコ公園まで目と鼻の先まで辿り着いていた。
これから何が起こるのか全く想像ができない。
正直なところ行きたくないというのが本音。
でも行かなければ、俺たちのギクシャクした関係は終わらないような気がして……。
いずれにしろ決着はいつか付けなければいけないもの。
それが今日この時になっただけだ!
「よし、大丈夫だ!」
覚悟を決めたところでちょうどニコニコ公園に到着した。
決して広くないこの公園。
六花の姿も数秒とかからずにすぐ見つけることができた。
六花はこの公園では一番大きいイチョウの木の下にいる。
「よ、よう」
恐る恐る声をかける。
これだけで相当な冷や汗が背中をつたう。
「……遅い」
六花は少し不機嫌だった。
と言っても、ここ最近はちょー不機嫌だったからまだいい方なのかもしれない。
「悪い、これでも急いで来たつもりだ」
「……なら……許す」
「ありがとな」
あれ?
いつもの六花と様子が違う。
今目の前にいる六花は下を向いて、どこか緊張した雰囲気を漂わせている。
この後、やはり何かあるのか?
「え、えーと……今日呼び出したのは……ちょっと渡したいものがあって……」
「渡したいもの?」
はて?なんだろう?
渡したいもの……時限爆弾とか?
「……はい、これ」
何を渡されるのだろうかといろいろ考えてる中、六花は後ろに隠していた小さい紙袋を少し躊躇いながらも手渡した。
俺はそれを受け取り、中を見ていいか六花に確認をとる。
「い、いいに決まってるでしょ!」
怒られた。
まぁ、当たり前といえば当たり前だな。俺に渡したいものがあるって言ってたし。
「じゃあ、ありがたく中身を拝見させていただきます!」
俺は小さい紙袋の中に入っているリボンの付いた小さい箱を取り出す。
持った感じは軽い。
爆弾でないことは分かった。
じゃあ、俺に渡したいものってなんなんだ?
「……は?」
「何その反応……?」
「い、いや……ちょっと予想外すぎてな」
本当に予想の斜め上をいった。
これはどういうつもりなんだろうか?
全くわからない。六花の考えていることが全然分からない!
俺に……チョコ……なんて……。
「そ、それ……本命」
「え?なんて?」
声が小さすぎて全然聞こえなかった。
「だーかーらー!それ、本命だから!」
「わ、分かったから大声出すな」
びっくりしたじゃねーか。
てか、本命だって?俺に?
罠か何か?
俺は周りをキョロキョロして、ドッキリでよくある隠しカメラとかネタばらしをする人とか探す。
「何してんの?」
その行動を不気味悪そうに見る六花。
……え?ガチのやつ?
「いや……なんでもない」
「そう。返事はすぐにしてね!いい?」
「なんの返事だ?」
そう言われても、なんのことで返事すればいいか……。
って、六花の表情が急に険しくなったんだが……。
「それくらい分かるでしょ!バカ!」
「あ、はい!ご、ごめんなさい!」
つい、謝ってしまった。
要するにたぶんだが、この本命チョコの返事のことだろう。
そういや、今日は二月十四日のバレンタインデーだったか。
すっかり忘れてたぜ!
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