上 下
21 / 84
高校1年生

第20話 美少女の悩み

しおりを挟む
 「もうすぐ修学旅行だね」

 「そーいえば、そうだな……」

 もうすぐ10月の半ば。
 俺たちの学校は何故か修学旅行が1年次と2年次でそれぞれ1回ある。3年次は就職や進学などがあるためない。
 

 「六花、準備はできてるのかー?」

 ちなみに今回の修学旅行の行き先は大阪である。2年生は東京らしいが。

 「うん、できてるよ♪」

 いつも以上にご機嫌がよろしいようで全体のオーラがキラキラして見える。

 「美月、お前はもう準備したか?」

 「いや、僕はまだだよ」

 ちなみに僕らは今、部室にいる。

 「そうか、早く準備しとけよー」

 みんなの修学旅行の準備確認を終え、俺たちは部活を始めた。

 「てかさ、最近部活らしいことしてないか?」

 最近の俺たちと言えば、部室には来るものの、それぞれがゲームをしたり本を読んだりで部活らしいことをしていない……まぁ、もともとが部室らしいことをしてないのだが。

 「そう?私はやってるつもりだけど?」

 ……六花さん。あなたが今「やってる」というのはそのお菓子を食っていることですか?

 「僕もやってるよ」

 ……美月くん。あなたが今「やってる」というのはお肌のパックのことですか?

 「って、誰もやってねぇじゃねぇぇぇかあああ!」

 なんでお菓子をバクバク食ってんだよ!それで何袋目だ?ポテチやらチョコにそれから……とにかく相当食ってるよな?それに口いっぱいにお菓子を詰め込んでどうした?ハムスターかお前は?
 美月もなんでお肌の手入れをやってるんだ?男だよな?……え、違うの?
 その他いろいろとツッコミどころが満載なんだが、これ以上やると俺の精神がもたない!
 
 「もぉーうるさいよ?しょーくん」

 「はぁ……」

 六花は本当にうるさそうな顔をして、しかめっ面で俺を見て、その俺はもう……ため息しかでません!
 以前のように変なことをしなくなったのはいいのだが、今の状態もなんだか居心地が悪い。
 今後この部活はどうなっていくのやら……。

 その日の夜、六花が修学旅行の準備をしているときに足りないものがあったらしく、一緒に近所のコンビニに行くことになった。
 道中、六花は少し落ち込んだような仕草で俺に相談してきた。

 「しょーくん、あのね、相談があるんだけど……いいかな?」

 外は暗く街灯の光も少ないので、六花の表情は分からなかった。
 俺は、その相談を促すと寂しげな声で話してくれた。

 「私、おかしいかな?」

 「え?」
 
 いきなりどうしたのだろうか。六花が何を聞きたいのか意図が分からない。俺はなんと言えばいいのだろう。

 「ねぇ、聞いてる?」

 「う、うん……聞いてる」

 はて……俺からの応えを待ってるのだろうか。それ以上六花は何も喋らず、ただひたすら足を前に動かすのみだ。
 うーん……うーん……とりあえず、おかしいよね?

 「お、おおおかしいと思うよ?」

 俺はこの後ボコられるのではないかと恐怖で口がなかなか開かなかったが、勇気を振り絞った。
 その結果……

 「そうだよね……うん……」

 六花の頬あたりには街灯で輝くしずくが流れていた…って、

 「ええええええええ?!」

 つい、驚きのあまりに絶叫してしまった。
 六花は完全に泣いていた……俺、なんか悪いことでも言った?

 「ふふふ……うっそー♪」

 「……は?」

 慌てふためいていた俺を見て笑っている……というか、先ほどの涙はどこに?

 「嘘泣きに決まってるでしょ!」

 「……は?」

 チョットナニイッテルカワカラナイ。
 嘘泣き?なんのために?
 俺は何も言葉がでなかった。
 ……ただ、唯一でた言葉が……

 「やっぱりというか頭おかしいんじゃねーのか?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

美少女幼馴染が火照って喘いでいる

サドラ
恋愛
高校生の主人公。ある日、風でも引いてそうな幼馴染の姿を見るがその後、彼女の家から変な喘ぎ声が聞こえてくるー

家政婦さんは同級生のメイド女子高生

coche
青春
祖母から習った家事で主婦力抜群の女子高生、彩香(さいか)。高校入学と同時に小説家の家で家政婦のアルバイトを始めた。実はその家は・・・彩香たちの成長を描く青春ラブコメです。

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜アソコ編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとエッチなショートショートつめあわせ♡

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

処理中です...