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高校生

最終話 俺の家には学校一の美少女がいる!【前編】

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 時は過ぎ、3月1日。
 今日は高校生活最後の登校日にして卒業式。
 思い起こせば、入学前の親父からいきなり女の子とふたり暮らしを言われた時はどうなるかと思ったが、

 「どうにもならなかったなぁ……」

 告白はされたが、俺の優柔不断な性格のせいで幼なじみである亜美と学校一の美少女である六花、どっちと付き合おうか決められなかった。
 あれから1年以上経った今でも2人は俺の事を一途に思っていてくれているから本当に申し訳ない。
 それに途中から水姫にも好意を抱かれてしまったし。
 ――どこでそんなにフラグがたったんだ?
 気がつけば、ハーレムと言っていいほど美少女3人に好かれてる。
 俺の容姿は至って普通。何か特別な事ができるわけでもないのに。
 自分には分からないようなところに惹かれたのだろうか?

 「まぁ、そんなこと考えても仕方ないか」

 「何してるの?早く準備してよ」

 その時、ドアがいきなり開かれ、六花が入ってきた。
 相変わらずだが、人の部屋にノックもせず、勝手に入ってくる。
 もう、そのことは諦めたから気にしてはいないけど。

 「ごめんごめん、いろいろ昔のことを振り返ってた」

 「そうなの?」

 六花はキョトンとした表情で首を傾げた。
 今となっては六花の仕草に慣れた。
 初めて出会った時は全ての仕草が可愛くて、キュン死にを何回したか……ん?慣れたのはキュン死にの方か?

 「そーいえば、初めて出会った時めっちゃ噛んでたよね!」

 「あー。たしかに」

 初めて出会った時の自己紹介は恥ずかしかったな。
 でも、美少女に会えば、誰でも噛みまくるだろ?
 しかも、今後一緒に暮らすんだぜ?つまり同居。
 そりゃあ緊張しますわ。

 「最初の頃はいろいろとお互い大変だったね!」

 「うん、特に俺は……ヤバかった」

 毎日美少女が朝昼晩のご飯を作ってくれる上に学校に行くときはいつも一緒。
 そして、部活も同じで家も同じ。
 クラス中の男子からは付き合ってるんじゃないか説が流れ、たちまち全校生徒までそのウワサが広がった。
 そのウワサのせいで俺は男子からすげぇ睨まれるし、「リア充死ね、爆発しろ」とか言われるし。
 てか、なんで俺だけ?!
 リア充そこら辺にたくさんいるじゃん!
 というか、リア充じゃねぇし!

 「なんか……顔怖いけど、どうしたの?」

 「あ、ああ、なんでもないよ!あはははは」

 長年溜まってた不満を心の中で爆発させていたが、顔にまでそれが出ていたとは……今後気をつけます!

 「ねぇ、もう時間だよ?早く準備して学校行かないと」

 机の上に置いていたスマホを手に取り、画面を見ると、もうそろそろ家を出ないといけない時間帯になっていた。

 「制服に着替えるから部屋の外に出てって」

 「え?なんで出ないといけないの?」

 六花は「ちょっと何言ってるか分からない」みたいな顔をしているが、逆に俺が「ちょっと何言ってるか分からない」なんだが。

 「とりあえず出てって!」

 少し乱暴だが、部屋の外に放り出したのだった。
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