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第7話 キミの手で、キミの熱と吐息で

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 寝ぼけたままのアロルドの手は、優しく私の背中や腰を撫で続けていたが、やがてするりとブラウスの裾から服の中へと入り込んできて、今度は私の背中や腰を直接触れ始めてしまった。
 素肌の上をアロルドの骨張った手が這う感触に、私は思わうずゾクゾクっと背徳的な快感を覚えてしまう。
 くすぐったい様なもどかしい様な不思議な感触に、何だか頭がクラクラする。
 アロルドは寝ぼけているってわかっているのに彼を起こさないまま、彼の手が自分の身体を弄るのを拒絶もせずに身を任せている…そんな自分自身への戸惑いや羞恥も当然あった。

(…でも……、アロルドの手、きもちい…)

 寝ぼけているはずだけれど、アロルドの手の触り方は優しいだけでは無くて何処かいやらしい気もする。
 背中を這うアロルドの手に、私の身体は思わずビクビクと小さく跳ねてしまうのも恥ずかしい…。
 それに、よくよく考えてみれば私はアロルドの上に倒れ込んでしまっているから、自分の胸を彼の胸板に押し付けてしまっている形でもあった。
 この乙女ゲーヒロインの身体は、元の私よりもずっとスタイルが良くて、胸も当然大きかった。だから、アロルドの身体に押し釣られた私の胸は何だかいやらしい感じでぐにゃりと歪んでいて、凄く卑猥なものに見えてきてしまう…。
 さらにアロルドに撫でられる度に、ついぴくっぴくっと身体が跳ねてしまうから、胸も一緒にむにゅむにゅと揺れ動いてしまう。

(…は…恥ずかしい………。…それに…何だか私が悪いことしてるみたいな気持ちになっちゃう……)

 そんな風に羞恥を感じつつも、アロルドにされるがまま、その感触に身を任せ続けていたのだけれど、やがてアロルドがうっすらと目を開けた。

「…あ」

 寝ぼけ眼のアロルドと目が合う。
 私は、これで終わりかって安堵と、少しばかりの残念さを感じていたのだけれど、アロルドの愛撫はそこで終わらなかった。

「…あぁ、……夢か……。…ユラ…生きててくれて、ほんとに良かった……」

 アロルドはふにゃっと子供みたいな笑みを浮かべ、愛おし気に囁いたかと思うと、片手で私の頬を撫で、そのまま顎に手を添えると、くいっと私の顔を上に向かせそのままキスをしてしまった。

「んっ…ぅ!?」

 最初は触れるだけの啄むような軽いキス。
 最初の間は、ちゅっちゅっと何度も何度もそれを繰り返していた。
 けれど、それだけでも終わらない。いつの間にか彼の舌先が私の唇を割り入ってきて、口内へと入り込んできてしまったのだ…!
 情熱的な激しい大人のキス。
 アロルドの舌は、ねっとりと私の歯列を舐めあげた後、私の舌にぬるりと絡みついてきた。逃げようとしても、逃がさないと言う様子で絡みついて来て、私の舌はすぐに囚われてしまう。

「っ…ん、…ぁ……んっ…んぅ…」

 唇が塞がれて、舌まで絡めとられて、上手く息が出来ない。
 顔は燃えるように熱くなってしまって、頭もクラクラして、何も考えられなくなってしまう。
 アロルドが私の口内を弄る、くちゅ…くちゅ…じゅる…と言う唾液の音が自分の耳に入ってくるのも、余計に羞恥を煽った。

(あ、アロルド、寝ぼけてる…?ホントにこれ、寝ぼけてるの…!?)

 アロルドの片手は私の顔を固定しているし、もう片方の手は私を抱きすくめたまま背中や腰を撫でているから私は身動きも取れない。
 そして背中を撫でていた手は徐々に下半身の方へと降りていき、背中から腰、腰からお尻の方へと降りて行く。
 激しいキスに意識を持っていかれていた私は、その手がウエスト部分からスカートの中へと入り込んで、下着越しのお尻を擦り始めた時に初めてそれに気が付く始末だった。
 最初は背中や腰の時と同様に、さわさわ…すりすり…と優しく撫でさすっていたが、やがてむにむにと掌で揉みしだき始めた。

「…っ、あ……」

「ユラ…可愛いよ…本当は…ずっと触れたかった……」

「…あ、アロルドっ……」

 いつの間にか私は彼に抱きすくめられたまま、態勢を変えられ、ソファの上に押し倒されるような形になっていて、アロルドは私の唇だけでなく、頬や、耳や、額、そしていつの間にかはだけさせられてしまったブラウスから晒された鎖骨や胸元にまでちゅっちゅっと唇を落としていく。
 愛おし気に、優しく、ゆっくりと落とされるキスの雨に、私は身も心も溶かされてしまうんじゃないかと思った。
彼の唇に触れられた部分が熱い…。

「…あ、アロルド、起きてる…よね…?」

 ぷちぷちとブラウスのボタンが外される音が聞える。
 私は羞恥で目を伏せてしまうけれど、抵抗は出来なくて、震えてしまう声でひっしにそれだけの言葉を絞り出す。
 アロルドは私に覆いかぶさるような姿勢になりながら、熱っぽい視線で私の顔や、身体を見つめているのを感じる…。

「……これは夢だって…僕の都合が良い夢だってわかってる ……でも…キミを傷つけたくないから……だから…今だけ……僕のものになってよ、ユラ…」


「…夢って……え……」

 普段私が言ってるようなこと言い出したアロルドに一瞬唖然としてしまう。
 けれど、その間にもアロルドの指先は止まらない。
 ブラウスの前を開けば、細かいレースで縁取られたブラジャーに包まれた私の乳房が曝されてしまう。

「あっ…だめ」

 恥じらいからついそんな風に声を漏らしてしまうが、アロルドの手は私の背中へと回されてぷちんと軽くブラジャーのホックを外されてしまった。
 そのせいで乳房を隠していたブラジャーは簡単にするりとずらされてしまい、私の胸が丸出しにされてしまった…!

「可愛い…ユラ…。それに…綺麗だ」

 アロルドは紅潮した顔で私にそう呟いて、両手で私の胸へと触れ始めた。
 緊張と興奮で…だろうか、少し汗ばんだアロルドの手が、私の乳房を掴み、むにゅむにゅと揉みしだく。
 柔らかい胸の肉に、骨張ったアロルドの長い指先が沈んでは浮かび、沈んでは浮かぶ光景は、何だかとてもいかがわしいものに思えて、私は目を閉じてしまう。

「あっ…あ…ッ……待って、アロルドっ……これ、夢じゃ…」

 私は、この世界自体が私の都合の良い夢の世界だって思いこもうとしていたけれど、目の前のアロルドは今のこの時間が自分の夢だと思い込んでいるようだ。
 これが本当に私の妄想の、私の夢の世界なら、随分複雑と言うか拗らせ妄想過ぎるじゃないか…!

(もしかしてこれっ…本当に、夢じゃないの?…現実なの???)
 
 アロルドは、切なげに表情を歪め、再び私に深いキスをしてくる。
 両の手で私の左右の両方の乳房を優しく…激しく揉みしだきながら、重ねた唇から舌を差し込んで、唾液すら逃がさないとでも言うような、激しく貪るようなキスをするのだ。
 私は、感じたこともないような感触と快楽に、身体が勝手にビクビクと痙攣するみたいに跳ね上がる。
 これが"感じて"しまっていると言うことなのかも知れない。
 私は、そんな姿を相手に見られてしまうのが恥ずかしくて恥ずかしくて仕方なくて、今すぐ逃げ出したい気持ちになったけれど、同時に、もっともっと気持ち良くされてしまったら自分はどうなってしまうんだろう…と言う好奇心も芽生えてきてしまっていた。
 アロルドの指先が私の肌の上を這い、彼の熱い吐息が私の肌を擽る度に、私の身体はどんどん熱くなって行く。
 私は恥ずかしさと気持ち良さで、頭がおかしくなってしまうんじゃないか?と、少し怖いくらいだった。
 

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