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第7話 二人、転がり落ちていくみたいに

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 気まずさからの仲直り。そのテンションで雰囲気も盛り上がっちゃって、ついに初めてのキスをした私とそらくん。
 …だったのだけれど、初めてのキスの記念日はキスだけでも終わらなかった。
 そしてそれは私の待ち望んでいたことだったけれど、正直…私は心の準備が全然出来ていなくって、もう自分が流されているのかそうじゃないのかもわからなくなっていた。
 坂からボールが転がり落ちて行くのをただただ見ていることしか出来ないみたいに、止まれなくなってしまっていた。勢いしかなかった。
 もしかしたら宙くんも同じだったのかも知れない。

「…んっ…んんっ…、そらくん…、んぅ…」

「センパイ…、センパイっ……」

 暗くなった夜の路上で、私たちは何度も何度もキスをした。
 最初は唇を重ねるだけの軽いものだったけれど、私が何度も繰り返すうちに段々と舌を差し入れ、お互いの口内を貪り合うような深くて、激しいキスへと変わっていった。
 最初こそ躊躇いがちだった宙くんも、段々と私に応えてくれるように…ううん、それ以上に積極的になってくれた。
 熱っぽい吐息に交じって切なげに私を呼ぶ声が、私の脳と理性をドロドロに蕩けさせていく。
 それは「帰りたくない」「帰したくない」とどちらが先に言い出したのかもはっきり思い出せないくらいで、気が付いた時には、私は宙くんの部屋に来ていて、付けっぱなしのパソコン画面からの光だけが灯っている薄暗い部屋で、あれよあれよと言う間にベッドの上で彼に組み敷かれていた。

「すきっ…宙くん、だいすきっ……」

「…センパイ…っ、俺……そんなこと言われたら…もう…」

「んっ、…ぁ、宙くんっ…きてっ…」

 雪崩れ込むようにベッドに倒れ込んでから、何度も何度も、舌を絡め合って、互いの唾液を混ぜ合うような、貪り合うような激しいキスをした。
 私は宙くんの首に自分の腕を回して、ぎゅうっとしがみ付いて、宙くんも私の身体を抱きしめ、背中や腰を優しく撫でてくれて、それだけでもゾクゾクとした快感が私の身体を突き抜けて行く。

(…宙くんが私にキスしてるっ…身体に触ってる…)

 心臓が壊れちゃうくらいにバクバクと激しく脈打っていて、顔や体は火が付いてるんじゃないかと心配になるほど熱い。
 それなのに頭の中はふわふわした夢の中にいるみたいに現実感がない…!
 こんな風になることを望んでいたはずなのに、いざそうなったらもう自分の身に何が起こってるのか理解が追い付かないみたいな感覚だった。
 ただただ気持ち良くて、もっともっとして欲しい・触れて欲しいと言う快楽に身を任せる事しか出来なかった。

 宙くんが躊躇いがちに私の服を捲り上げて、ブラジャーのホックの外し方が分からなくてちょっと手間取ってからブラジャーを外す。
 そうして曝け出されてしまった私の裸を、露になった胸を見た宙くんがごくりと生唾を飲み込む音が聞こえて、私の方までまたドキドキしてしまう。

「…胸、柔らかい…。……すご……」

「…あ、あんまり…言わないで……」

「……だ、だって……」

 最初はそんな風に、間の抜けた会話なんかもしていたのだけれど、慣れない手つきで私の胸に触れていた宙くんの動きが、段々激しくなっていく。
 段々と宙くんも興奮してきたってことなんだと思う。
 次第に口数が少なくなって、薄暗い部屋の中にお互いの息遣いだけがやけに響いて感じた。

「あっ…あ、…ふぁっ……」

「…せんぱ……いっ、せんぱい……」

「あんっ…!」

 ぐにゅぐにゅと私の胸を揉みしだく宙くんの指先が時折胸の先端に触れ、全身にぴりりと甘い刺激が走る。
 思わず恥ずかしい声が出てしまい、慌てて唇を噛んだけれど、そこから宙くんは乳首を集中的に弄り始めてしまった。

「ちょっ…っ、と、あっ、そらく…んっ…待…」

「…ダメ…、またないっ……センパイが…かわいい声出すから、止まらなくなったんだからっ…」

「っん…、あっ、ひぁっ…!」

 もう硬くなってしまっている私の乳首を宙くんは親指と中指で挟んで、コリコリと擦り合わせる。

「ひゃっ、んっ、んぅっ…!…やっ、だめっ…」

 両方の胸を同時に刺激されて、私の口からは自分の声だって信じられないような甘ったるい喘ぎ声があふれ出してしまう。
 熱に浮かされたようにぼんやりとしている頭で、私を見下ろす宙くんの顔を見上げると、普段は前髪で隠れている顔が良く見えて、余計に恥ずかしくなってしまった。
 少し潤んだような熱っぽい瞳が、私が快楽に乱れる姿を見下ろしていると思うと、どんどん身体が熱くなる。

「…ぁ、そらくんっ…あんまり見ちゃ…や…はずかし…」

「…んっ…センパイ…かわいい…いつも俺の事からかってくるのに…こんな風になっちゃうんだ…」

「~~~っっっ……!!!」

 宙くんはそんな風に言って、何処か恍惚とした様子で私を見下ろしていて、何だかやけに嬉しそうですらあった。
 彼が指を動かすだけで、私の身体がビクビクっと大きく跳ね上がって、口からは喘ぎ声が零れ得てしまう。
 それが宙くんの変なスイッチを押してしまったようだった。私が恥ずかしがるのを楽しんでるみたいだ。
 ハァハァと熱っぽい呼吸を零しながら、コリコリクリクリと私の乳首を捏ね繰り回したり、時にきゅっと強く抓ったりと変化をつけて責めたててくる。

「あっ、あぁっ…んっ…!…んんっ…!!!…ゃっ」

「センパイ、センパイっ…!」

 宙くんの余裕のない必死な声が遠く近くに聞こえてくる。
 私はベッドのシーツをぎゅっと強く握り締めながら、与えられる刺激にただただ翻弄され続けるしかなかった。
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