21 / 33
第21話 悪役令嬢VSインキュバス!?
しおりを挟む
私とマーニャによる夢魔討伐大作戦の内容は簡単に言うとこう。
まず、夢魔に取り憑かれている(推定)私が眠りにつく。マーニャは私の部屋にて待機→眠っている私が夢を見ている様子が確認出来たら、マーニャが私に解除魔法を掛ける→夢に潜る魔法を解除された夢魔が夢から追い出され現実に姿を現す→マーニャは急いで私を起す→二人で夢魔をしばき倒す…と言う物だ。
まぁまぁ行き当たりばったりのざっくりした計画ではあるけれど、マーニャから聞いた限り、夢魔は自分のフィールドである夢の中でこそほぼ無敵だが、反面現実ではほとんどその力を発揮する事は出来ないのだという。
そして、私もマーニャも何を隠そうこの国では指折りの魔法の使い手だったりする。
そんな訳で、いくら魔物とは言えど、夢から引きずり出してしまえば、決して負けるような相手ではない。
さすがに魔物と戦うと考えれば緊張や不安がないと言えば嘘になる。…けれど、それ以上に自分の純情を弄ばれた怒りと、アリシアに手を出されたら許せないという思いが強かった。
「エリスレア様、そんなに息巻いていたら眠れないのではないですか?」
気がつけば、マーニャがやれやれ…と言った雰囲気の、ちょっと呆れた顔を私に向けていた。
「…あ、…つ、つい力が入ってしまいましたわね…オホホホ…」
気恥ずかしさを誤魔化そうとしたら、つい普段しないような笑い方をしてしまった。マーニャは苦笑していて、余計に恥ずかしくなってしまう…。
「…気合を入れるのは構いませんが…、私としてはやっぱり、こんな囮作戦みたいなことを貴女にやらせるのは気が向かないのですけれどね…」
「…マーニャ、もうここまで来たのだから覚悟を決めて頂戴。わたくしが一度言い出したら聞かないことは貴女も知っているでしょう?」
「そうですね…。最近は、周りに迷惑をかけるようなことをしなくなっただけマシになったと思っていたのですけど…」
「ひ、酷い言い草ですわねぇ…」
「…とにかく……やると決めたからには、ちゃんと解決しなくてはなりませんからね…。まずはしっかりと眠れるように、もっとリラックスして下さいね」
マーニャはそう言いながら、先ほどマリエッタが淹れてくれたお茶のカップを一つ、私の方に差し出してくれる。これは確かジェイドが分けてくれたお茶の香りだ。何処か柔らかいような優しい…春の木漏れ日の中にいるような気持ちになる。
そうこうしているうちに段々と眠気が襲ってきたので、私はマーニャに促されるままベッドに入り瞼を閉じた。
・
・
・
如何わしい夢を見続けた3日間。夢の始まりはいつも優しいキスや愛撫から始まっていた―…のだけど、この日は違った。
顔の見えない男は、唐突に私の服を掴んで乱暴に引き裂いてしまう。
夢の中の私は、それが夢の中であることを認識できなかったので、そのビリビリと絹が引き裂かれる鋭い音と、肌に感じる冷たい空気に、恐怖を覚えた。
体が動けば少しはマシだったかも知れないが、どれだけ動け動けと心の中で叫んでも、指先一つ動かないし、声も出ない。
『こんなに焦らされて、抵抗されるなんて思わなかったよ。まだ穢れも知らない乙女なのだから、優しくしてあげようと思っていたのに…残念だ』
耳元で、甘く囁くような優しい口調でとんでもないことを言う声が聞こえる。
『本当は乱暴なんてしたくないのに…。全部キミが悪いんだからね』
つまり私がこの3日間、行為に到る前に奇声を上げて逃げ続けてしまったせいで、夢魔も相当イラついているらしかった。今日は何がなんでも最後まで…ということのようである。
服を破られて露になってしまったレース生地の豪奢な下着とそれに守られた私の豊満な胸を、男は乱暴に鷲掴んで揉みしだき始める。
「…っ、痛……」
もうこんなのほぼほぼ強姦だ。乱暴されるのが好きな特殊な性癖の方なら、荒っぽい愛撫も気持ちが良いのかもしれないが、私はそんな趣味はない。気持ちが良いどころか普通に痛いし気持ちが悪い。身の毛もよだつと言うのはこういうことを言うのだろう。
ここまで来るともう私は「えっちなことをされちゃう!!!!助けて!!」という危機感より、「こいつ、絶対ぶっ殺してやりますわよ…????(ビキビキ)」と言う殺意のほうが沸いてきてしまう。いたいけなお嬢様であるエリスレアも恋愛ビギナーな大人の波佐間悠子も、いつからこんな逞しくなってしまったんだろう?
身体は動かないままだったけれど、無理やりにでも動かしてやるわー!!!!と、私に覆いかぶさるその男をぶん殴ろうと拳に力を込めた時だった。
「………リ… …ス… …エリス!!!!!」
聞き覚えのある声が、私を呼んでいるのが聞こえた。
間違いない。
これは私の大好きな、大切なあの子の声だ。
その声は何だか酷く焦っているような、慌てているような、怒っているような、そんな声――――……
そんなに慌ててどうしたの?何かあったの?と私は心配になって、重たい瞼を必死に開こうとする。
―――――そう、私はいつの間にか目を閉じていたようだった。
でも、どうして目を閉じていたんだっけ?
ここは何処で、私は何をしていたんだっけ…??????
「エリス!!!!!!!」
はっきり聞こえたその声に、咄嗟に目を開けた瞬間見えたのは自分自身の部屋。
そして、何故かそこには居るはずのないアリシアの姿があった。
まず、夢魔に取り憑かれている(推定)私が眠りにつく。マーニャは私の部屋にて待機→眠っている私が夢を見ている様子が確認出来たら、マーニャが私に解除魔法を掛ける→夢に潜る魔法を解除された夢魔が夢から追い出され現実に姿を現す→マーニャは急いで私を起す→二人で夢魔をしばき倒す…と言う物だ。
まぁまぁ行き当たりばったりのざっくりした計画ではあるけれど、マーニャから聞いた限り、夢魔は自分のフィールドである夢の中でこそほぼ無敵だが、反面現実ではほとんどその力を発揮する事は出来ないのだという。
そして、私もマーニャも何を隠そうこの国では指折りの魔法の使い手だったりする。
そんな訳で、いくら魔物とは言えど、夢から引きずり出してしまえば、決して負けるような相手ではない。
さすがに魔物と戦うと考えれば緊張や不安がないと言えば嘘になる。…けれど、それ以上に自分の純情を弄ばれた怒りと、アリシアに手を出されたら許せないという思いが強かった。
「エリスレア様、そんなに息巻いていたら眠れないのではないですか?」
気がつけば、マーニャがやれやれ…と言った雰囲気の、ちょっと呆れた顔を私に向けていた。
「…あ、…つ、つい力が入ってしまいましたわね…オホホホ…」
気恥ずかしさを誤魔化そうとしたら、つい普段しないような笑い方をしてしまった。マーニャは苦笑していて、余計に恥ずかしくなってしまう…。
「…気合を入れるのは構いませんが…、私としてはやっぱり、こんな囮作戦みたいなことを貴女にやらせるのは気が向かないのですけれどね…」
「…マーニャ、もうここまで来たのだから覚悟を決めて頂戴。わたくしが一度言い出したら聞かないことは貴女も知っているでしょう?」
「そうですね…。最近は、周りに迷惑をかけるようなことをしなくなっただけマシになったと思っていたのですけど…」
「ひ、酷い言い草ですわねぇ…」
「…とにかく……やると決めたからには、ちゃんと解決しなくてはなりませんからね…。まずはしっかりと眠れるように、もっとリラックスして下さいね」
マーニャはそう言いながら、先ほどマリエッタが淹れてくれたお茶のカップを一つ、私の方に差し出してくれる。これは確かジェイドが分けてくれたお茶の香りだ。何処か柔らかいような優しい…春の木漏れ日の中にいるような気持ちになる。
そうこうしているうちに段々と眠気が襲ってきたので、私はマーニャに促されるままベッドに入り瞼を閉じた。
・
・
・
如何わしい夢を見続けた3日間。夢の始まりはいつも優しいキスや愛撫から始まっていた―…のだけど、この日は違った。
顔の見えない男は、唐突に私の服を掴んで乱暴に引き裂いてしまう。
夢の中の私は、それが夢の中であることを認識できなかったので、そのビリビリと絹が引き裂かれる鋭い音と、肌に感じる冷たい空気に、恐怖を覚えた。
体が動けば少しはマシだったかも知れないが、どれだけ動け動けと心の中で叫んでも、指先一つ動かないし、声も出ない。
『こんなに焦らされて、抵抗されるなんて思わなかったよ。まだ穢れも知らない乙女なのだから、優しくしてあげようと思っていたのに…残念だ』
耳元で、甘く囁くような優しい口調でとんでもないことを言う声が聞こえる。
『本当は乱暴なんてしたくないのに…。全部キミが悪いんだからね』
つまり私がこの3日間、行為に到る前に奇声を上げて逃げ続けてしまったせいで、夢魔も相当イラついているらしかった。今日は何がなんでも最後まで…ということのようである。
服を破られて露になってしまったレース生地の豪奢な下着とそれに守られた私の豊満な胸を、男は乱暴に鷲掴んで揉みしだき始める。
「…っ、痛……」
もうこんなのほぼほぼ強姦だ。乱暴されるのが好きな特殊な性癖の方なら、荒っぽい愛撫も気持ちが良いのかもしれないが、私はそんな趣味はない。気持ちが良いどころか普通に痛いし気持ちが悪い。身の毛もよだつと言うのはこういうことを言うのだろう。
ここまで来るともう私は「えっちなことをされちゃう!!!!助けて!!」という危機感より、「こいつ、絶対ぶっ殺してやりますわよ…????(ビキビキ)」と言う殺意のほうが沸いてきてしまう。いたいけなお嬢様であるエリスレアも恋愛ビギナーな大人の波佐間悠子も、いつからこんな逞しくなってしまったんだろう?
身体は動かないままだったけれど、無理やりにでも動かしてやるわー!!!!と、私に覆いかぶさるその男をぶん殴ろうと拳に力を込めた時だった。
「………リ… …ス… …エリス!!!!!」
聞き覚えのある声が、私を呼んでいるのが聞こえた。
間違いない。
これは私の大好きな、大切なあの子の声だ。
その声は何だか酷く焦っているような、慌てているような、怒っているような、そんな声――――……
そんなに慌ててどうしたの?何かあったの?と私は心配になって、重たい瞼を必死に開こうとする。
―――――そう、私はいつの間にか目を閉じていたようだった。
でも、どうして目を閉じていたんだっけ?
ここは何処で、私は何をしていたんだっけ…??????
「エリス!!!!!!!」
はっきり聞こえたその声に、咄嗟に目を開けた瞬間見えたのは自分自身の部屋。
そして、何故かそこには居るはずのないアリシアの姿があった。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄された悪役令嬢は王子様に溺愛される
白雪みなと
恋愛
「彼女ができたから婚約破棄させてくれ」正式な結婚まであと二年というある日、婚約破棄から告げられたのは婚約破棄だった。だけど、なぜか数時間後に王子から溺愛されて!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
淡泊早漏王子と嫁き遅れ姫
梅乃なごみ
恋愛
小国の姫・リリィは婚約者の王子が超淡泊で早漏であることに悩んでいた。
それは好きでもない自分を義務感から抱いているからだと気付いたリリィは『超強力な精力剤』を王子に飲ませることに。
飲ませることには成功したものの、思っていたより効果がでてしまって……!?
※この作品は『すなもり共通プロット企画』参加作品であり、提供されたプロットで創作した作品です。
★他サイトからの転載てす★
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
えっ、これってバッドエンドですか!?
黄昏くれの
恋愛
ここはプラッツェン王立学園。
卒業パーティというめでたい日に突然王子による婚約破棄が宣言される。
あれ、なんだかこれ見覚えがあるような。もしかしてオレ、乙女ゲームの攻略対象の一人になってる!?
しかし悪役令嬢も後ろで庇われている少女もなんだが様子がおかしくて・・・?
よくある転生、婚約破棄モノ、単発です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
断罪された挙句に執着系騎士様と支配系教皇様に目をつけられて人生諸々詰んでる悪役令嬢とは私の事です。
甘寧
恋愛
断罪の最中に前世の記憶が蘇ったベルベット。
ここは乙女ゲームの世界で自分がまさに悪役令嬢の立場で、ヒロインは王子ルートを攻略し、無事に断罪まで来た所だと分かった。ベルベットは大人しく断罪を受け入れ国外追放に。
──……だが、追放先で攻略対象者である教皇のロジェを拾い、更にはもう一人の対象者である騎士団長のジェフリーまでがことある事にベルベットの元を訪れてくるようになる。
ゲームからは完全に外れたはずなのに、悪役令嬢と言うフラグが今だに存在している気がして仕方がないベルベットは、平穏な第二の人生の為に何とかロジェとジェフリーと関わりを持たないように逃げまくるベルベット。
しかし、その行動が裏目に出てロジェとジェフリーの執着が増していく。
そんな折、何者かがヒロインである聖女を使いベルベットの命を狙っていることが分かる。そして、このゲームには隠された裏設定がある事も分かり……
独占欲の強い二人に振り回されるベルベットの結末はいかに?
※完全に作者の趣味です。
乙女ゲームの断罪シーンの夢を見たのでとりあえず王子を平手打ちしたら夢じゃなかった
月
恋愛
気が付くとそこは知らないパーティー会場だった。
そこへ入場してきたのは"ビッターバター"王国の王子と、エスコートされた男爵令嬢。
ビッターバターという変な国名を聞いてここがゲームと同じ世界の夢だと気付く。
夢ならいいんじゃない?と王子の顔を平手打ちしようと思った令嬢のお話。
四話構成です。
※ラテ令嬢の独り言がかなり多いです!
お気に入り登録していただけると嬉しいです。
暇つぶしにでもなれば……!
思いつきと勢いで書いたものなので名前が適当&名無しなのでご了承下さい。
一度でもふっと笑ってもらえたら嬉しいです。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる