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私が彼氏とセックス出来ない理由
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久しぶりのデートにはしゃいでしまった私たちは、居酒屋でたくさんの美味しいおつまみを食べ、ビールや日本酒をガパガパと呑んで楽しんだ後、久々にちょっと雰囲気の良いbarになんて立ち寄って、小洒落たカクテルを2、3杯頂いたりした。
相当に酔っ払っていたし、少しばかり調子に乗ってしまっていたのは間違いない。
デートの日はいつも楽しくなってしまって、ついつい飲み過ぎたり食べ過ぎたりしてしまうのだ。
付き合って数年も経てば、付き合いたての時のような新鮮なドキドキはなくなっているが、いわゆる遠距離恋愛で、お互い仕事が忙しくてなかなか会えなかったということもあって、久しぶりのデートは大変に盛り上がった。
電話やSNSでのやりとりは勿論していたが、実際に会えるのはやはりそれとは違う。
良い歳して……と笑われてしまいそうだが、手を繋いだり、優しく髪を撫でられたりして、私も少しばかりのときめきと言うか、潤いみたいなものが満たされるのを感じていた。
そうなればもうここからは大人の時間だ。
足がふらふら覚束無くなるまで呑んで、彼に持たれかかり、支えられながら歩く。
密着した身体は互いの熱と感触を感じさせて、少しだけドキドキする。
明日は互いに休日だから今日は泊まって行けるねなんて話ながら、コンビニで明日の朝食と飲み物なんかを購入しつつ帰路につく。
そうしているうちに、自然とお互いにそう言う期待が高まっていくのである。
そうして、アパートに到着すれば、シャワーなんて浴びる間も惜しんで、抱き合って、キスをして、そのままベッドに倒れ混んで……となるのがセオリーなのだが、……ここのところの私たちは……いや、より正確に言うなら"私"が、そんな風にスムーズにベッドイン出来なくなっていた。
決して彼を嫌いになった訳ではない。
一緒にご飯やお酒を楽しむのも、イチャイチャするのも大好きで、だからデートだってお泊まりだってするのだ。
……けれど、キスやイチャイチャは出来ても、セックスをするのは躊躇ってしまう理由が出来てしまっていた。
彼はとても優しくて、私がやんわり今日はちょっと……と伝えれば、わかったよ、大丈夫だよ、気にしないで……と言ってくれる。
残念そうな顔はするし、時には拗ねてみたりもするけれど、文句を言ったりもしない。
そんな風にこちらの都合に理解を示してくれる彼には本当に感謝しているし、本当なら自分だって、彼に求められるまま愛されたいと思っている……思ってはいるのだ。
けれど、それが出来ない……。
「……俺とセックスするの嫌なの?……今日は生理じゃないよね?」
彼の中でも疑念が抑えられなくなってしまったのだろう。
とうとうそう問い詰められてしまうことになった。
ベッドサイドで良い雰囲気になった瞬間、やっぱり今日は無理……となってしまった私に、悲しそうに彼が問いかけてきたのだ。
「……え、えっと……、それは……」
つい口籠ってしまう。
大抵セックスを拒む口実は、今は生理中だからとか、もう眠くなっちゃったから……とか言ってきたけれど、それももう誤魔化しがきかないと悟ってしまった。
もうしばらくの間、日帰りデートがメインだったし、こうしてお泊りデートになってもセックスをしないと言うことが続いてた。
だから彼も、ずっとセックスできていないことを気にしていたらしい。
気にしない顔をしてくれてはいたけれど、やはり不満はあったんだろう。
今までになく真剣で、悲しそうな顔をされてしまったから、私も知らん顔で誤魔化すことが出来なくなってしまった……。
もうこうなれば正直に話すしかない……。
本当はこんなことを話したくはなかったのだけれど……。
「…………」
「…………」
「……あのね……」
「………うん」
何処か張りつめてしまった雰囲気の中、私は声を絞り出す。
「貴方とセックスするの凄く気持ち良いんだよ、これは本当」
「……う、うん?」
さすがに恥ずかしいけれど、これはまず伝えておかなければならない……。
私は躊躇いつつもはっきりとまずそう言った。
彼もさすがに面食らったように、間の抜けたような声を上げた。
「……でも、貴方のセックスって結構激しいじゃない?……いつも私が意識が飛んじゃいそうになると言うか……」
「……そ、そうかな……? ……そう言われると、そうかも……とは……」
「だからね……、沢山飲んだり食べたりしてお腹いっぱいだとね………」
「…………」
「……激しくえっちしてると気持ち悪くなっちゃうの……。……激しく突かれると、戻しそうになると言うか……」
「……!?」
そう……。よくよく考えればセックスと言うのは体内に異物を突っ込んでいる訳である。
そして、それを下から上へ激しく突き上げている訳だから、ナカに内容物が有れば、それも上に押し上げられる感覚になる。
久しぶりのデートで彼氏と美味しいものを食べたり飲んだりすると、ついつい食べ過ぎたり飲み過ぎたりしてしまうのだ。
それが良くないとわかっていても、楽しくなって食べ過ぎてしまう。
要するに満腹状態でセックスをすると、吐きそうになってしまうのである……。
「……だ、だから毎回食べ過ぎない様に気を付けようと思ってるんだけど、いつもうっかり食べ過ぎちゃって………」
しどろもどろになりながらも、恐る恐る彼に視線を向けると少しぽかんとしているような顔をしている……!
「だ、だって、セックスの途中に女がオエオエってえずいたり、吐いたりしちゃったら、男性側だってショックでしょ?」
「そ、そりゃあ……」
別に男性側が臭いとか気持ち悪い訳じゃないけれど、性行為をしている相手が突然吐いてしまったらショックだよね?
少なくとも私は、えっちしている相手が急に「オエッ」とか餌付いたり、吐瀉物を吐き出してしまったら、どうしたって気にしてしまうし、ショックを受けると思う……。
「……で、でも……、毎回毎回食べ過ぎちゃったから今日はえっち出来ない……とは言い出し難くて……」
「え、えぇー……」
はぁあああっと彼が心底呆れたみたいに深いため息をついたものだから、私は何だか慌ててしまう。
私の事を嫌いになってしまっただろうか?
長い付き合いの彼と、こんなことでお別れになってしまったらどうしよう……と恐くなってしまう。
ついオロオロと彼を見つめてしまっていると、少しだけ笑った顔で彼が顔を上げた。
「……俺が下手糞だからとか、しつこいからもうえっちしたくないのかって心配してたのに……そんな理由だったのかぁ……。……言ってくれたら良かったのに……」
「……ご、ごめん……。……なんか、言い出し難くて……」
彼は彼で、ここのところセックスを避ける様子の私に、嫌われてしまったんじゃないかと不安になってしまっていたらしく、私の思いを聞いて安心したような顔をしていた。
私は私で、凄く情けなくて恥ずかしい気持ちではあったのだけれど、誤解が解けたことにはちょっとだけ安堵していた。
「……でも、もう理由がわかったからえっちしても良いよね?」
「え?」
「本当に吐きそうになっちゃったら一旦休憩するから大丈夫だよ」
「え? あ、ちょ、ちょっと待って―――――――……あ!」
私は彼にそんな風に囁かれながら、流れるようにベッドへと押し倒されてしまった。
彼はニコニコしているが、何やら妙な迫力のある笑顔で、私は文句が言えなくなってしまう。
結果的に彼に随分とお預けをしてしまった私は、その後、これまでの分を取り返そうとするみたいに激しく抱かれてしまうことになったのは言うまでもない……!!
私はたっぷりと彼の愛を感じながら、次のデートこそは絶対に食べ過ぎたり飲み過ぎたりしないんだからーーーー!!!と決意したことは言うまでもない。
相当に酔っ払っていたし、少しばかり調子に乗ってしまっていたのは間違いない。
デートの日はいつも楽しくなってしまって、ついつい飲み過ぎたり食べ過ぎたりしてしまうのだ。
付き合って数年も経てば、付き合いたての時のような新鮮なドキドキはなくなっているが、いわゆる遠距離恋愛で、お互い仕事が忙しくてなかなか会えなかったということもあって、久しぶりのデートは大変に盛り上がった。
電話やSNSでのやりとりは勿論していたが、実際に会えるのはやはりそれとは違う。
良い歳して……と笑われてしまいそうだが、手を繋いだり、優しく髪を撫でられたりして、私も少しばかりのときめきと言うか、潤いみたいなものが満たされるのを感じていた。
そうなればもうここからは大人の時間だ。
足がふらふら覚束無くなるまで呑んで、彼に持たれかかり、支えられながら歩く。
密着した身体は互いの熱と感触を感じさせて、少しだけドキドキする。
明日は互いに休日だから今日は泊まって行けるねなんて話ながら、コンビニで明日の朝食と飲み物なんかを購入しつつ帰路につく。
そうしているうちに、自然とお互いにそう言う期待が高まっていくのである。
そうして、アパートに到着すれば、シャワーなんて浴びる間も惜しんで、抱き合って、キスをして、そのままベッドに倒れ混んで……となるのがセオリーなのだが、……ここのところの私たちは……いや、より正確に言うなら"私"が、そんな風にスムーズにベッドイン出来なくなっていた。
決して彼を嫌いになった訳ではない。
一緒にご飯やお酒を楽しむのも、イチャイチャするのも大好きで、だからデートだってお泊まりだってするのだ。
……けれど、キスやイチャイチャは出来ても、セックスをするのは躊躇ってしまう理由が出来てしまっていた。
彼はとても優しくて、私がやんわり今日はちょっと……と伝えれば、わかったよ、大丈夫だよ、気にしないで……と言ってくれる。
残念そうな顔はするし、時には拗ねてみたりもするけれど、文句を言ったりもしない。
そんな風にこちらの都合に理解を示してくれる彼には本当に感謝しているし、本当なら自分だって、彼に求められるまま愛されたいと思っている……思ってはいるのだ。
けれど、それが出来ない……。
「……俺とセックスするの嫌なの?……今日は生理じゃないよね?」
彼の中でも疑念が抑えられなくなってしまったのだろう。
とうとうそう問い詰められてしまうことになった。
ベッドサイドで良い雰囲気になった瞬間、やっぱり今日は無理……となってしまった私に、悲しそうに彼が問いかけてきたのだ。
「……え、えっと……、それは……」
つい口籠ってしまう。
大抵セックスを拒む口実は、今は生理中だからとか、もう眠くなっちゃったから……とか言ってきたけれど、それももう誤魔化しがきかないと悟ってしまった。
もうしばらくの間、日帰りデートがメインだったし、こうしてお泊りデートになってもセックスをしないと言うことが続いてた。
だから彼も、ずっとセックスできていないことを気にしていたらしい。
気にしない顔をしてくれてはいたけれど、やはり不満はあったんだろう。
今までになく真剣で、悲しそうな顔をされてしまったから、私も知らん顔で誤魔化すことが出来なくなってしまった……。
もうこうなれば正直に話すしかない……。
本当はこんなことを話したくはなかったのだけれど……。
「…………」
「…………」
「……あのね……」
「………うん」
何処か張りつめてしまった雰囲気の中、私は声を絞り出す。
「貴方とセックスするの凄く気持ち良いんだよ、これは本当」
「……う、うん?」
さすがに恥ずかしいけれど、これはまず伝えておかなければならない……。
私は躊躇いつつもはっきりとまずそう言った。
彼もさすがに面食らったように、間の抜けたような声を上げた。
「……でも、貴方のセックスって結構激しいじゃない?……いつも私が意識が飛んじゃいそうになると言うか……」
「……そ、そうかな……? ……そう言われると、そうかも……とは……」
「だからね……、沢山飲んだり食べたりしてお腹いっぱいだとね………」
「…………」
「……激しくえっちしてると気持ち悪くなっちゃうの……。……激しく突かれると、戻しそうになると言うか……」
「……!?」
そう……。よくよく考えればセックスと言うのは体内に異物を突っ込んでいる訳である。
そして、それを下から上へ激しく突き上げている訳だから、ナカに内容物が有れば、それも上に押し上げられる感覚になる。
久しぶりのデートで彼氏と美味しいものを食べたり飲んだりすると、ついつい食べ過ぎたり飲み過ぎたりしてしまうのだ。
それが良くないとわかっていても、楽しくなって食べ過ぎてしまう。
要するに満腹状態でセックスをすると、吐きそうになってしまうのである……。
「……だ、だから毎回食べ過ぎない様に気を付けようと思ってるんだけど、いつもうっかり食べ過ぎちゃって………」
しどろもどろになりながらも、恐る恐る彼に視線を向けると少しぽかんとしているような顔をしている……!
「だ、だって、セックスの途中に女がオエオエってえずいたり、吐いたりしちゃったら、男性側だってショックでしょ?」
「そ、そりゃあ……」
別に男性側が臭いとか気持ち悪い訳じゃないけれど、性行為をしている相手が突然吐いてしまったらショックだよね?
少なくとも私は、えっちしている相手が急に「オエッ」とか餌付いたり、吐瀉物を吐き出してしまったら、どうしたって気にしてしまうし、ショックを受けると思う……。
「……で、でも……、毎回毎回食べ過ぎちゃったから今日はえっち出来ない……とは言い出し難くて……」
「え、えぇー……」
はぁあああっと彼が心底呆れたみたいに深いため息をついたものだから、私は何だか慌ててしまう。
私の事を嫌いになってしまっただろうか?
長い付き合いの彼と、こんなことでお別れになってしまったらどうしよう……と恐くなってしまう。
ついオロオロと彼を見つめてしまっていると、少しだけ笑った顔で彼が顔を上げた。
「……俺が下手糞だからとか、しつこいからもうえっちしたくないのかって心配してたのに……そんな理由だったのかぁ……。……言ってくれたら良かったのに……」
「……ご、ごめん……。……なんか、言い出し難くて……」
彼は彼で、ここのところセックスを避ける様子の私に、嫌われてしまったんじゃないかと不安になってしまっていたらしく、私の思いを聞いて安心したような顔をしていた。
私は私で、凄く情けなくて恥ずかしい気持ちではあったのだけれど、誤解が解けたことにはちょっとだけ安堵していた。
「……でも、もう理由がわかったからえっちしても良いよね?」
「え?」
「本当に吐きそうになっちゃったら一旦休憩するから大丈夫だよ」
「え? あ、ちょ、ちょっと待って―――――――……あ!」
私は彼にそんな風に囁かれながら、流れるようにベッドへと押し倒されてしまった。
彼はニコニコしているが、何やら妙な迫力のある笑顔で、私は文句が言えなくなってしまう。
結果的に彼に随分とお預けをしてしまった私は、その後、これまでの分を取り返そうとするみたいに激しく抱かれてしまうことになったのは言うまでもない……!!
私はたっぷりと彼の愛を感じながら、次のデートこそは絶対に食べ過ぎたり飲み過ぎたりしないんだからーーーー!!!と決意したことは言うまでもない。
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