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焼失、あるいは滑落の兆し

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もし、魔女を止めることが出来たのなら、それは神の奇跡に他ならない。





結局、誰も認めたくなかったのだと今なら分かる、私含めて。私はみんなが何かしら自分より優れていることを求めていたし、彼らは自分がそうだと思っていた。しかし、現実は物語とは異なった。いや、自惚れかもしれないけど私は誰よりも優れていた。かつてと異なり、人間関係に対する運がなかっただけだと思う。

私の音を、彩を愛してくれる人の元へ旅立つこと。それが次の生の目標だなんて行ったら鬼に笑われるかしら?

グラシアと溶け合い始めたことによって私は学園時代を思い出し始めていた。私が一番で彼女が二番だ。
私は彼女という衣を着て彼女の人生を歩みいずれ彼女と一体になる。

邪険に掃除したいと囀るのは口先だけのハイエナどもにも美点があったことを私は知っている。もはや私が彼らを裁くことは無い。実際に払われたら非常に困っていたのは見なかったことにしよう。多分もう二度と会わないから。

取り留めのない感情を適当な理論でくるんでラッピングしていつか捨てるものの箱に追いやる作業をしていた私の目下の悩みは意図しない体の動きだ。

何も無いところで足がつって転んだり。手に持った縫い針を取り落としたり、

ほら、今みたいに、突然皿を放り投げそうになったり。

今のところなんともないけれど心配をかけてい待っているのがどうにも申し訳なかった。彼らは私が堕ちたら間違いなく巻き添えになる生贄である。そう考えると意味合いが変わる、昔なら苛立ってナイフを振り回すくらいしたかもしれない。

(私にはいらないの?)

でも、そんな私はもう居ない。

手紙は様々な物を運ぶ、愛情、友情、打算、陰謀、欲望、命令。
大抵送り主から内容の当たりを付けることが出来るものの、開いてみたら大ハズレというのも日常茶飯事。両親からの手紙に愛情を期待していた過去の私を懐かしく、可哀想に思う。

そんな私の手元にろくでもない内容が想像に難くない手紙が一つ。ちなみに差出人は元父。察するまでもなくろくでもない。ちな内容は帰ってこないかだって、草。。。草。。。草。。。

笑い飛ばせねえ。

初夏のこの季節に未だ現役の暖炉に投げ込んだ。当然返事は書かない。代わりに庭先で詰んだセントジョンズワートのドライフラワーを箱詰めにしてもらった。表向き森の綺麗な花として。

(甘い!そんなんじゃ甘い!)

その右手には布を裁断するための大きな鋭いハサミが、、、、

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