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【三十九話】魔術執行者
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魔法を操り、それを執行せし者。
より正確にはその身の内に、精霊の血を引きし者?
どちらにしろ、一般人よりは、遙かに大きな力を手にしている。
が、しかし。
もちろん無敵ではないのだろう。
古今東西、魔法使いは剣士に弱い。
もっと言えば前衛に弱い?
だろうか。
ということは魔法剣士、つまり魔法も使えて剣も使いこなすハイブリッドは最強という事になる。
しかし、大概最強にはならないんだよねー。
剣は純粋な剣士の方が強く。
魔法は専門の魔法使いの方が強い。
あちらを立てればこちらが立たずよねー。
私の首筋にそっと手を当てた第二王子様は、私の瞳を覗き込む。
何かの了承の合図かしら?
ずっと傷を見ていたから、何かするのかな?
とは思っていたが。
回復魔法だろうか?
こういう生死に関わらない傷にも使うのだろうか?
でも……。
記憶の中の少年は、自分の右頬を治してなかったわよね。
軽傷には使わないイメージなのですが。
だって、やっぱり……。
先程、右目を貫いた紅い魔法陣を思い出す。
精霊術とは言っても、見た目は黒魔法だし。
ちょっと大がかりよね?
「あまり見ない方が良くない? 気持ち悪いし、何より恥ずかしいわ」
そう言いながら、私はダンスパーティーで着るドレスの事を考えていた。
ヤバイよ。
首元が出るデザインだよ。
どうする?
お直しする?
それとも太めのチョーカーみたいなの付ける?
ドレスと同じ生地で作るか?
もしくはレース編み?
さくさくっと決めないと時間がないよ。
だって後、十三日でダンスパーティーなのよ。
結構、最近の私って波瀾万丈なのに、ちゃんとダンスパーティに出る気でいるところが凄いわ。精神頑強よね。大きな長所だわー。
その色のドレスに硝子の靴なんて、びっくりするくらい合わないから、今日こそはシンデレラの部屋に届けるわよ!
迷ってられないんだから。
時間はじゃんじゃか過ぎて行くし。
私ったら生死が危ういし。
「ミシェール?」
「何ですか? ルーファス様」
「結婚してくれる?」
ここでプロポーズ!?
しかも溜めなし。
折角の薔薇園なのに、気の利いた花すら持っていないんですけど?
何その、お昼これで良い? みたいなお手軽さ。
さすがのミシェールも吃驚ですわ……。
「イヤなんて言える選択肢はないけどね」
更に余計な一言を足す王子様。
事実でも口に出さなければセーフなのに。
「……確かに言えませんよね。立場的にも」
ええ。
私も言っちゃいました。
答え一択じゃね?
「……あの、せっかくその辺に薔薇とか咲いてますし、こうね……差し出すとかしてみません?」
私がおずおずとお願いすると、本当にその辺の薔薇をポキリと折った。
私の一番好きな薄ローズ色のオフェリアだわ。
偶然過ぎて微妙に悔しいわ(怒)
「君の瞳と同じ色の薔薇に誓うよ。きっと幸せにする、僕と結婚してくれるかい?」
棒読み!?
一番近くに有った薔薇を適当に折って誓ったよ、この王子様。
しかし、しっかり膝を折って、ザ・プロポーズの体勢になっている。
薔薇園で、このシチュエーションスゴイ。
遠くから見れば絵になってます。
あくまで遠くからですよ。
私なんて、ハイカラーの襟が開いているし、めっちゃ普段着だし。
しかも、首に絞殺の痕!?
より正確にはその身の内に、精霊の血を引きし者?
どちらにしろ、一般人よりは、遙かに大きな力を手にしている。
が、しかし。
もちろん無敵ではないのだろう。
古今東西、魔法使いは剣士に弱い。
もっと言えば前衛に弱い?
だろうか。
ということは魔法剣士、つまり魔法も使えて剣も使いこなすハイブリッドは最強という事になる。
しかし、大概最強にはならないんだよねー。
剣は純粋な剣士の方が強く。
魔法は専門の魔法使いの方が強い。
あちらを立てればこちらが立たずよねー。
私の首筋にそっと手を当てた第二王子様は、私の瞳を覗き込む。
何かの了承の合図かしら?
ずっと傷を見ていたから、何かするのかな?
とは思っていたが。
回復魔法だろうか?
こういう生死に関わらない傷にも使うのだろうか?
でも……。
記憶の中の少年は、自分の右頬を治してなかったわよね。
軽傷には使わないイメージなのですが。
だって、やっぱり……。
先程、右目を貫いた紅い魔法陣を思い出す。
精霊術とは言っても、見た目は黒魔法だし。
ちょっと大がかりよね?
「あまり見ない方が良くない? 気持ち悪いし、何より恥ずかしいわ」
そう言いながら、私はダンスパーティーで着るドレスの事を考えていた。
ヤバイよ。
首元が出るデザインだよ。
どうする?
お直しする?
それとも太めのチョーカーみたいなの付ける?
ドレスと同じ生地で作るか?
もしくはレース編み?
さくさくっと決めないと時間がないよ。
だって後、十三日でダンスパーティーなのよ。
結構、最近の私って波瀾万丈なのに、ちゃんとダンスパーティに出る気でいるところが凄いわ。精神頑強よね。大きな長所だわー。
その色のドレスに硝子の靴なんて、びっくりするくらい合わないから、今日こそはシンデレラの部屋に届けるわよ!
迷ってられないんだから。
時間はじゃんじゃか過ぎて行くし。
私ったら生死が危ういし。
「ミシェール?」
「何ですか? ルーファス様」
「結婚してくれる?」
ここでプロポーズ!?
しかも溜めなし。
折角の薔薇園なのに、気の利いた花すら持っていないんですけど?
何その、お昼これで良い? みたいなお手軽さ。
さすがのミシェールも吃驚ですわ……。
「イヤなんて言える選択肢はないけどね」
更に余計な一言を足す王子様。
事実でも口に出さなければセーフなのに。
「……確かに言えませんよね。立場的にも」
ええ。
私も言っちゃいました。
答え一択じゃね?
「……あの、せっかくその辺に薔薇とか咲いてますし、こうね……差し出すとかしてみません?」
私がおずおずとお願いすると、本当にその辺の薔薇をポキリと折った。
私の一番好きな薄ローズ色のオフェリアだわ。
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「君の瞳と同じ色の薔薇に誓うよ。きっと幸せにする、僕と結婚してくれるかい?」
棒読み!?
一番近くに有った薔薇を適当に折って誓ったよ、この王子様。
しかし、しっかり膝を折って、ザ・プロポーズの体勢になっている。
薔薇園で、このシチュエーションスゴイ。
遠くから見れば絵になってます。
あくまで遠くからですよ。
私なんて、ハイカラーの襟が開いているし、めっちゃ普段着だし。
しかも、首に絞殺の痕!?
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