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【三十三話】体の中の時間の流れ
しおりを挟む前世で毎日お世話になっていた電子レンジを思い出したんですけど。
いや……電子レンジと比べてくれるなって話だけども……。
水……というのは、生きとし生けるもの全てに含まれている……。
動物はもちろん、植物、魚、細胞。
人間はその体内の六十パーセントが水だと言われている。
魚は七十五パーセント。
細胞は六十パーセント。
例えば……。
電子レンジの原理は、マイクロウェーブの震動による摩擦熱。
このマイクロウェーブが一秒間に二十四億五千万回震動する。
まあ、想像の範疇を超える数字ではある。
万より更に零が四つ多い感じ。
色々振り切りすぎだよね……。
とにもかくにもマイクロウェーブという電波が水の分子と分子を震動させて、熱を作る訳だ。
そして……。
何が言いたいかというと……。
加熱し過ぎると何が起こるか?
爆発するよね……。
『精霊王ウンディーネ、水に語りかけてくれるかい?』
と第二王子様であるルーファスが言っていた訳だから、魔法の力、つまり精霊の力が体内の水に作用する。
電子レンジでいうところの、マイクロウェーブという力の役割が魔力。
そして促進を過剰倍速にし過ぎると、体内の水が干上がり……。
老衰。
いや……。
想像なんだけど。
私の勝手な想像。
そこまで説明された分けじゃないしね。
うん。
あまり、怖いところまで考えないのが、人生を楽しく生きるポイントだ。
結構、重要なのよねー。
考え過ぎって病むのよ。
だからそうね。
爽やかに考えよう。
浦島太郎ってどうだろう?
浦島太郎術。
精霊術の命名には余りにも雅さに欠けるけれど、大分明るくなったんじゃない?
彼らは亀を虐めて竜宮城に行ったのよ。
出だしから、いきなりストーリーが違うわね?
竜宮城では、毎日飲めや謳えの宴でもてなされる。
そうして良い気持ちにさせておいて、お土産に玉手箱を貰ったんだわ。
もちろん亀を虐めた憎々しい若者なので、お土産は酷い意趣返し。
怖いわねー。
乙姫様は。
竜宮城で過ごした三年は、地上では七百年だ。
若者はたった三年の体感時間で、老人になってしまうのだ。
亀は乙姫の仮の姿だとも言われているし、私が……亀……。
じゃなくて乙姫役ね。
玉手箱に入っていた煙は精霊術で
ウンディーネの力の結晶。
第二王子様は……。
王子役は出て来ないわね?
ジャパニーズお伽噺。
心の中での命名『浦島太郎術』。
人の体内というか細胞の水分に働きかけ、治癒力を自在に操る。
第二王子様は加減が難しいと言っていたものね。
上手く行けば回復魔法。
やり過ぎると浦島太郎。
こんな感じなのかしら?
しかし、回復魔法の臨機応変さは想像に余り有る。
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