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『ヒール216』

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『ヒール216』


 王都の国王から呼ばれるのは予想してなかったから、戸惑った。
 パピアナとかからも褒められるのだから、行くべきとなり、王都に向かう馬車に乗った。

 馬車は王都に到着した。
 長旅となったが、みんなと仲良く過ごしたから、時間の経過は早かった。

「ここが王都だ!」

「大きな町、やはり王都って感じ。何でもあるし、国で一番大きな町、食べ物も美味しいはず!」

「ローズ、食べものは後だぞ」

「はい、先に城に行くのよね。国王がお待ちですからね」

 ローズが食べものに興味あるので、うろうろしているから注意した。

「町が大きいから迷うぴょん」

「城にいくのも大変だ」

 城は王都を見下ろすようにして、建っていた。
 俺のイメージよりも遥かに大きな町だった。

「トレイルはサリオスと冒険していたから、王都にも行ったのかと」

「ダンジョンには行ったさ。何度も難易度ダンジョンにはね。王都には来てなかったんだ」

 城に到着した。
 門番の兵士が複数人いて、がっちりとした体格だ。
 国王がいるので警備は厳しい、話しかけてきて、

「お前らは誰だ?」

「竜の守りのトレイル」

「トレイル?」

 門番は怪しむ目で俺を見てくる。

「はい、国王から招かれました」

「えっ、国王から、竜の守りでしたか、どうぞ門を開けます」

 門番は竜の守りと聞いて、直ぐに門を開けてくれた。

 良かった、面倒は嫌だったからな。

「門を開けます」

 中は、またも兵士で守られていた。
 城の内部は豪華で、いかにも国王がいる城て感じした。

「まあ凄いぴょん!」

「シシリエンヌ、あんまり跳ねるな、怒られるぞ」

「はい、嬉しくて飛び回ったぴょん」

 兵士に案内されて国王のもとへ。
 あまりに広くて兵士がいないと困る広さ。
 階段を上がると、国王の間へつき、兵士と一緒に入った。
 部屋はこれまた大きな部屋だった。

 前方には国王らしい椅子に座り横には兵士が並んでいる。

「トレイル見て、サリオスがいる!」

「本当だ、ムジカにジェンティルもいる」

「3人ともいる。逃げれないよう拘束されて」

 サリオスもいた。
 3人とも拘束されていることから国王にも許されることはないのがわかる。

「竜の守りだな、こちらに」

「はい、バカラスカイ国王」

 俺は国王から呼ばれると、みんなと国王の近くに。
 威厳があるので緊張する。
 国王の名前はバカラスカイ国王だ。

「名前は?」

「トレイルです」

「トレイルよ、よくぞゲオルギウスの町において領主ライゴッド、商人ハルキストン、騎士団幹部フォルコメンの不正をあばいてくれたことを感謝する。素晴らしい功績だ。さらに森の王がそれらの全てに関わり、後ろで操っていたのも暴露された。さらにサリオスらは国内外のBランク冒険者50人を犠牲にしてもいた。こららの不正な行為は許されるものではない。大変に感謝する」

「はい、嬉しい言葉です」

「そこでサリオスとムジカもジェンティルに関してだが、国王である私が判断する」

「はい」

「森の王はFランクに降格」

「なっ!」

 思わずサリオスが言った。
 かなりショックだったろう。
 最強パーティーを誇っていたからだ。

「サリオスは勇者の資格を与えていたのは私だ。これは私の責任でもあり、よって勇者の資格は剥奪する」

「まさかっ!」 

「サリオス、国王に失礼だ」

「うう…………」

 Fランクに落ちたら、次は勇者資格も剥奪。
 残念としか言いようがないなサリオス。
 自分が悪いのだよ、反省しな。

「さらに、サリオスとムジカとジェンティルの3人は、ランクはFに降格。さらに王都にある牢獄刑とする。期間はなし。終身刑だとおもえ」

「うう………」

「国王……」

「………」

 3人とも牢獄行きが言い渡された。
 それも期間は終身らしい。
 終身てことは、死ぬまでおそらくは出れないだろう。
 残念だな、サリオス。
 もう会うことはない。

 本当に嬉しいし、竜の守りを結成して良かったと思えた瞬間だった。
 ムジカは、悲しい顔をしていて、大柄な体格が小さく見えた。
 ジェンティルは国王ではなくて俺を見ている。
 いかにも俺に憎しみを持っている風だな。

 ジェンティルには色々と可愛がられた分、牢獄に行くのは、ありがたい。
 あの嫌な時間は思い出したくもない。

「森の王は、国内最強のSランクパーティーだった。今はFランクにした。そこで今回は竜の守りパーティーをAランクパーティーにしたい」

「えっ、いいのですか?」

「凄いAランクになる!」

 思わずみんなもわきたつ。

「国王の私が認める。本来はCランクの現在をBランクにするのが普通だ。飛び級でAランクにするのを認める」

「ありがとうございます、国王」

「なぜ、Aランクに……」

「静かにサリオス」

「うう……」

 森の王を追い越してAランクにと言われ、サリオスはがく然とする。
 俺の下になったのが許せないのだろうが、国王には逆らえない。
 しかもBランクを通り越しての絵ランクだから、嬉しい。
 みんなで苦労した結果だ。

 これで国王からの報告は終わりかなと思ったら、またも国王から、

「さらに加えて、トレイルの冒険者ランクはCであるな。これをSランクとする」

「ええっ、俺のランクがSランクに」

「凄いよトレイル、Sだよ!」

「やったぴょん!」

「なぜ、トレイルがSに……」

「黙れサリオス」

「うう……」

「トレイルはレベルが7131あると聞いた。これは国内の冒険者でも最高のレベルだ。しかも聞いたことない高さの異常なレベルだ。もはやBランクを通り越してAランクを通り越してSランクにするのが妥当だ。トレイルよ、我が国のために頑張ってくれ」

「はい、頑張ります。ありがとうございます」

 俺は頭を国王に下げた。
 これで国王からの報告は終わりだった。
 サリオスは兵士に連れて行かれるときに、俺ににらみをきかせた。
 深い憎しみの目で。

「トレイル、許さねえぞ」

「無理でしょ、終身刑なんだから」

「……」

 俺はサリオスに行った。
 もうお別れのつもりで言ったら、サリオスは答えなかった。
 はらわたが煮えくり返っているだろうな。
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