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『ヒール120』

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『ヒール120』



 それから数日か経過して俺はソロフレーズから魔力の使い方について学んだ。
 色々とわからないところもあったけど、くじけずに頑張ったと言えるかな。
 
「魔王竜ヒール」
「あ~~ら、良い成長っぷり。最初の頃よりも格段に魔力を使えるようになった。これで授業は終了だ」

 俺がヒールをしたら、ソロフレーズから授業の終わりと言い渡された。
 彼女から見ても成長したと言うことなので嬉しい。

「ありがとうございました。魔力の使い方も学べて実践でも役に立つと思うよ」
「当然だ。私が教えたのだからな」

 終わりになる。
 今使ったヒールが最後の授業のヒールてことか。
 
「やっと終わったのかトレイル。お疲れ様です」
「見学もご苦労さまだミヤマ」
「ふん、私が教えた方がもっと早く終われたのにっ」

 相変わらず言っているパピアナ。
 でも彼女も嬉しいのかな、俺が成長して。

「パピアナが教えたらトレイルは混乱してたよ」
「なぜだっ!」
「それよりもパピアナは、良い仲間を持ったな。今後はBランクパーティーを目指すのだろ」
「もちろんだ。ソロには負けないんだからっ」
「あ~~ら、私だって負けない!」

 せっかく授業が終わり本来なら良い雰囲気のはずが、この二人が言い合いになる最後。
 俺を完全に無視しているなこの二人は。





 平原から町に帰る。
 よく行く肉料理店に入った。
 お客も多くいる。
 ソロフレーズ達3人も一緒にご飯するとなった。
 俺はお腹も空いていたし料理に食らいつく。
 ローズは相変わらず肉料理には目がない。
 両手に肉を持ち食べまくる姿。
 他のお客から注目される。
 ソロフレーズとアモーレとアンダーロットにはお礼を言う。
 最初に会った時にはいきなり決闘になり、この3人を不信に思ったけど、今は大事なエルフ族のパーティーに。
 これも全てはパピアナと知り合った繋がりである。
 魔法の子猫パーティーには感謝していたら他のお客の会話が耳に入る。

「おい聞いたか、森の王パーティーが解散危機だってよ」
「なんだって!」
「噂ではジェンティルが原因らしいが、サリオスとムジカとケンカしたらしいぜ、そしてクエストには成功したが、もう少しで失敗だったらしい。こうなると森の王も解散か、またはSランク取り消しにもなり得る」
「本当か。あの森の王も落ちたものだな」

 サリオス達のパーティーの話だった。
 偶然にも聞こえたが、Sランクから降格されるらしいと。
 何があったかはわからないが、ゴタゴタしているのは確かだ。
 俺には関係ないとはいえ、聞き流すわけにもいかない内容。
 食べるのを止めて聞いてしまう。
 
「聞いた?トレイル」
「うん、聞いたよ。俺には関係ないけどな」

 俺の直ぐ横で聞いていたらしいローズ。
 猫だけに耳が良いからな。

「サリオスが困っている原因はトレイルにあると言っていた。原因がトレイルならばトレイルに又ちょっかい出してくるよ」
「いい迷惑だよ。放っておいて欲しい」
「今がどこにいるかわからないけど、近くにいるなら迷惑話じゃなくなる」
「いい加減にしてくれっての」

 ローズは心配しているが、俺は考えたくなかった。
 顔も見たくないからな。
 肉料理店での食事は美味かった。
 余計な話を聞かなければもっと最高に楽しめたのにな。
 ソロフレーズとはこの店でお別れとなる。

「ありがとうソロフレーズ。色々と魔力の勉強になったよ」
「あ~~ら私も勉強になったわ。こんだけ魔力切れしない素材に出会えたからね。エルフ族は未知の魔法には目がないのよ」
「となるとトレイルはエルフからしたら良い素材てことか」
「良い素材ぴょん」
「こらっ、俺を素材呼ばわりするな」
「痛いぴょん」

 シシリエンヌの頭を軽く叩く。
 エルフ族からしたら俺は未知の存在てことで興味深いらしい。

「それじゃ元気でな」
「お元気で」
「お元気でぴょん」
「もう会いに来るなっ」

 最後はパピアナらしく言ってお別れした。

「お別れして本当はパピアナは寂しいのと違う?」
「誰が寂しがるかよっ」
「それならいいけど」
「ローズに言っておく。私はあの3人とはめっちゃ仲悪いのだからなっ」
「そうかな、ソロフレーズとも仲良く見えますけど」
「そうそう、ケンカする程仲が良いと言うだろう」
「止めてくれ。あんなのと友達とか、絶対にない、ない」


 途中で冒険者ギルドがあった。
 そういえば久しぶりかなギルド。

「ちょっとギルドに寄ってみようよ」
「そうね、たまには受付嬢にも顔を出さないとどうしたのかなと思われるからな」

 そこでギルドに入ると受付嬢がいた。

「トレイルっ、ちょっと話があるの」

 顔を合わせるなり、呼び止められる。
 どうしたのかな?
 また何かあったのか。
 ギルドか慌てる時は何かあった時だ。

「トレイル、あの受付嬢からして、きっと緊急クエストかもよ」
「そうかもな」

 受付嬢の前に。

「お話があります。まずは冒険者から聞いた話があるの」
「なんです、またダンジョンとかでクエストとか」

 険しい顔をしている。
 決して明るい顔をしていないことから、楽しい話じゃないな。

「違います。違います。実は最近になってから苦情が多数寄せられてます」
「苦情? それと俺のどこかに繋がりでもあるとか」

 なんだろうか。
 俺は苦情受けることなどした覚えはないが。
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