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『ヒール69』
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『ヒール69』
ミヤマの言い方に不満があったのかジェンティルはガッチリとミヤマをにらみつけた。
「私もサリオスに話があります」
「なんだい猫人」
「あなたは騎士団幹部と領主を使い、金を支払い、竜の守りを潰そうとしてましたね」
「なんのことかな。全く身に覚えがないな」
明らかにとぼけた言い方だ。
「幹部のフォルコメンから直接に聞きました。サリオスから金を貰い受けたと。そして逆らえなかったから従ったと」
「知らない。おいおいやめてくれよ猫人。俺達は森の王なんだぜ。世界でも有数のパーティーなんだ。変な言いがかりはよしてくれ」
「そうよ、猫人。それに誰が信じるかしら。猫人の言う事と森の王の言う事と比べたら。たいていの人は森の王を信じるのよ。誰も猫人の言う事なんか信じないって覚えておきなさい。トレイルが森の王に戻りたいのかなと思ってきたの。昔みたいにまた一緒にどうかなて」
「断る」
俺は即答した。
何の迷いもない。
「あら、せっかくのチャンスなのに」
確かに森の王の言う事を信じる人が多数だろうな。
「勇者らしくないぴょん」
「なんだこの兎人は。また増えたのか。トレイルは獣人がお好きか、あはははははははは!」
ムジカが笑いを込めて言った。
シシリエンヌを見るのは初めてだからだが、この笑いには俺はムカつく。
「笑うなムジカ。あんたの笑いは聞きたくない」
「うるせえ、最弱回復術士が」
「違うわよ、最弱なんかじゃないわよトレイルは。とても強いのよ。殺し屋シャークウォーニンもトレイルが倒したんだから。体ばかり大きい誰かとは違うのバカ!」
「バカとは何だ、このエルフ。黙ってれば!」
「やめてムジカ。ここは料理店。お静かに」
「ああ、わかった」
ジェンティルに言われて静かに下がる。
ムジカを下がらせる女はジェンティルしか存在しない。
「あの殺し屋をトレイルが倒したと俺も聞いていた。シャークウォーニンは最低でもCランクはあるからな。Bでもいいがギルドが認めていない。FやEランクのトレイルには無理だ。どうやって倒した。理由を教えろ」
シャークウォーニンを倒したのを既に知っていたようだ。
その理由を知りたくて来たか?
話すのは簡単だが、全てを話すのは嫌だな。
別に教える必要もないし、教えたくもないが、サリオスの圧が半端ない。
「教える必要あるか?」
「森の王にいた時は、Fランク程度の冒険者だったのは確かだ。あれから月日はわずかしか経っていない。超短期間で成長したと考えられる。その秘密を知りたい。言え」
「言いたくない。俺は話もしたくないのであるし、森の王には戻らないからな。それだけは言っておく。聞くところによると、他にも冒険者を募集したらしいな。それでどうしたよ?」
「全員クビにした。超使えねえからな」
「一日でクビ。だって私のサポートするどころか、邪魔ばかりするもん。使えねえから、魔法で殺そうかと思ったけど、サリオスに止められたわ」
軽く話すジェンティルだが、俺もそうして殺しかけただろうが。
よくもぬけぬけと言えるものだ。
どんな性格してるんだ。
「今でも募集してる。アタッカーは必要ないのは3人居たら十分だ。俺とサリオスとジェンティルでいい。後は荷物持ちや、食事や、宿屋や、魔石の回収、解体やら雑用を担当してくれたらいい。しかし採用した奴らの出来の悪いこと。トレイルが懐かしくなったぜ。トレイルなら俺が苛立つことはなかったからな。今思えばパーティーで続けさせたらと思っているぜ」
こいつも口の減らない奴だ。
ムジカは平然と俺に誘いの言葉を言う。
「まぁそうだろうな。クビになるだろうし、自分からパーティーを辞めたいと思うだろう。これがあの森の王なのかと幻滅するさ」
「トレイルが今は戻りたくないのはわかった。そこはわかった。しかし殺し屋シャークウォーニンを倒したのは納得いかない。倒せるわけない相手だ。偶然にも倒せる相手じゃない。つまりは俺に隠している秘密があるてことだ」
サリオスの言い方では、魔王竜の加護が俺にはあるのを知らないようだ。
まぁ気づくはずもないか。
あの時、殺されかかった時に魔王竜が俺に加護をくれた。
わかるはずもない。
俺がどんな気持ちであの時居たかを。
一緒のパーティーメンバーだとばかり思っていたら、必要ないからと殺されかけた瞬間を、お前たちは理解できないだろう。
俺がどれだけ絶望したか。
「トレイルは強くなったのよ。今にサリオスやジェンティルよりも強くなるわよ、このバカ男」
「トレイル、お前らのところのエルフは口が悪いみたいだぜ」
「そうらしいな。でも嘘じゃない。竜の守りは今日でDランクに上がったんだ」
「ほお~Dにか。ずいぶんと短期間で上がったな。ますます秘密があるな。いずれにせよ竜の守りは森の王には遠く及ばない。そのへんのところは理解しておくことだな。じゃあなトレイル」
「じゃあね私のトレイル!」
ウインクしてくるジェンティル。
色気があるから余計に怖かった。
「次に会うのが楽しみだ。ランクが上がっているかな」
ムジカは俺に向けて言った。
それは期待があって言ったのか。
それとも上がるはずもないと意味で言ったのか、どちらにも聞こえた。
椅子から立ち上がり、店を出ていったサリオス。
歩くたびにお客は反応する。
サリオスとジェンティルに握手を求める。
サリオスはお客の握手にも面倒くさがらずに握手した。
ジェンティルは男客から熱い。
握手してくれと求めれる。
断ることなくジェンティルも握手していた。
やはり人気はあった。
竜の守りの人気とは違う。
「凄い人気ぶりぴょん」
「森の王とわかれば、みんな握手したいらしいな」
「国の英雄ですもん。中身はみんな知らんけど」
「バカっじゃないの。あんな女に握手したくなるって。私の方が人気あるわよ」
「ジェンティルよりもパピアナが人気あるかな。どう考えても負けるわよ」
「うるさい猫。魔法だって負けない」
「大魔道士に魔法で勝ち負けするとはパピアナは大胆だな」
俺はパピアナの怖い物知らずには呆れるのを通り過ぎて尊敬すら感じた。
ミヤマの言い方に不満があったのかジェンティルはガッチリとミヤマをにらみつけた。
「私もサリオスに話があります」
「なんだい猫人」
「あなたは騎士団幹部と領主を使い、金を支払い、竜の守りを潰そうとしてましたね」
「なんのことかな。全く身に覚えがないな」
明らかにとぼけた言い方だ。
「幹部のフォルコメンから直接に聞きました。サリオスから金を貰い受けたと。そして逆らえなかったから従ったと」
「知らない。おいおいやめてくれよ猫人。俺達は森の王なんだぜ。世界でも有数のパーティーなんだ。変な言いがかりはよしてくれ」
「そうよ、猫人。それに誰が信じるかしら。猫人の言う事と森の王の言う事と比べたら。たいていの人は森の王を信じるのよ。誰も猫人の言う事なんか信じないって覚えておきなさい。トレイルが森の王に戻りたいのかなと思ってきたの。昔みたいにまた一緒にどうかなて」
「断る」
俺は即答した。
何の迷いもない。
「あら、せっかくのチャンスなのに」
確かに森の王の言う事を信じる人が多数だろうな。
「勇者らしくないぴょん」
「なんだこの兎人は。また増えたのか。トレイルは獣人がお好きか、あはははははははは!」
ムジカが笑いを込めて言った。
シシリエンヌを見るのは初めてだからだが、この笑いには俺はムカつく。
「笑うなムジカ。あんたの笑いは聞きたくない」
「うるせえ、最弱回復術士が」
「違うわよ、最弱なんかじゃないわよトレイルは。とても強いのよ。殺し屋シャークウォーニンもトレイルが倒したんだから。体ばかり大きい誰かとは違うのバカ!」
「バカとは何だ、このエルフ。黙ってれば!」
「やめてムジカ。ここは料理店。お静かに」
「ああ、わかった」
ジェンティルに言われて静かに下がる。
ムジカを下がらせる女はジェンティルしか存在しない。
「あの殺し屋をトレイルが倒したと俺も聞いていた。シャークウォーニンは最低でもCランクはあるからな。Bでもいいがギルドが認めていない。FやEランクのトレイルには無理だ。どうやって倒した。理由を教えろ」
シャークウォーニンを倒したのを既に知っていたようだ。
その理由を知りたくて来たか?
話すのは簡単だが、全てを話すのは嫌だな。
別に教える必要もないし、教えたくもないが、サリオスの圧が半端ない。
「教える必要あるか?」
「森の王にいた時は、Fランク程度の冒険者だったのは確かだ。あれから月日はわずかしか経っていない。超短期間で成長したと考えられる。その秘密を知りたい。言え」
「言いたくない。俺は話もしたくないのであるし、森の王には戻らないからな。それだけは言っておく。聞くところによると、他にも冒険者を募集したらしいな。それでどうしたよ?」
「全員クビにした。超使えねえからな」
「一日でクビ。だって私のサポートするどころか、邪魔ばかりするもん。使えねえから、魔法で殺そうかと思ったけど、サリオスに止められたわ」
軽く話すジェンティルだが、俺もそうして殺しかけただろうが。
よくもぬけぬけと言えるものだ。
どんな性格してるんだ。
「今でも募集してる。アタッカーは必要ないのは3人居たら十分だ。俺とサリオスとジェンティルでいい。後は荷物持ちや、食事や、宿屋や、魔石の回収、解体やら雑用を担当してくれたらいい。しかし採用した奴らの出来の悪いこと。トレイルが懐かしくなったぜ。トレイルなら俺が苛立つことはなかったからな。今思えばパーティーで続けさせたらと思っているぜ」
こいつも口の減らない奴だ。
ムジカは平然と俺に誘いの言葉を言う。
「まぁそうだろうな。クビになるだろうし、自分からパーティーを辞めたいと思うだろう。これがあの森の王なのかと幻滅するさ」
「トレイルが今は戻りたくないのはわかった。そこはわかった。しかし殺し屋シャークウォーニンを倒したのは納得いかない。倒せるわけない相手だ。偶然にも倒せる相手じゃない。つまりは俺に隠している秘密があるてことだ」
サリオスの言い方では、魔王竜の加護が俺にはあるのを知らないようだ。
まぁ気づくはずもないか。
あの時、殺されかかった時に魔王竜が俺に加護をくれた。
わかるはずもない。
俺がどんな気持ちであの時居たかを。
一緒のパーティーメンバーだとばかり思っていたら、必要ないからと殺されかけた瞬間を、お前たちは理解できないだろう。
俺がどれだけ絶望したか。
「トレイルは強くなったのよ。今にサリオスやジェンティルよりも強くなるわよ、このバカ男」
「トレイル、お前らのところのエルフは口が悪いみたいだぜ」
「そうらしいな。でも嘘じゃない。竜の守りは今日でDランクに上がったんだ」
「ほお~Dにか。ずいぶんと短期間で上がったな。ますます秘密があるな。いずれにせよ竜の守りは森の王には遠く及ばない。そのへんのところは理解しておくことだな。じゃあなトレイル」
「じゃあね私のトレイル!」
ウインクしてくるジェンティル。
色気があるから余計に怖かった。
「次に会うのが楽しみだ。ランクが上がっているかな」
ムジカは俺に向けて言った。
それは期待があって言ったのか。
それとも上がるはずもないと意味で言ったのか、どちらにも聞こえた。
椅子から立ち上がり、店を出ていったサリオス。
歩くたびにお客は反応する。
サリオスとジェンティルに握手を求める。
サリオスはお客の握手にも面倒くさがらずに握手した。
ジェンティルは男客から熱い。
握手してくれと求めれる。
断ることなくジェンティルも握手していた。
やはり人気はあった。
竜の守りの人気とは違う。
「凄い人気ぶりぴょん」
「森の王とわかれば、みんな握手したいらしいな」
「国の英雄ですもん。中身はみんな知らんけど」
「バカっじゃないの。あんな女に握手したくなるって。私の方が人気あるわよ」
「ジェンティルよりもパピアナが人気あるかな。どう考えても負けるわよ」
「うるさい猫。魔法だって負けない」
「大魔道士に魔法で勝ち負けするとはパピアナは大胆だな」
俺はパピアナの怖い物知らずには呆れるのを通り過ぎて尊敬すら感じた。
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