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『ヒール45』

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『ヒール45』

 騎士団の支部に行き、必死に訴えを起こしたものの、退けられた。
 残念であるけど支部から離れる。

「あの門番の感じだとライゴッドの不正を知っているわ、ローズが必死に言ったときに顔色が変わった。隠していて、関係があるから、これ以上話せないから帰れって言ったんだよ」
「だとしたら、騎士団も酷い。国の機関なのに、領主の味方なんて」
「騎士団がこの感じだと、もう他に話せる人はいないのかな」
「騎士団支部が無理なら冒険者ギルドはどうかな。あそこは騎士団と違い、冒険者の集まりでしょ、ライゴッドの権力も及んでいないかも」

 冒険者には色んな人がいる。
 俺達に味方してくれる者もいておかしくないか。

「ギルドに行くのもありだな。行ってみようか。ライゴッドが嫌いな人も居ると思う。そしたら協力してくれるし、ライゴッドを町から追い出してやろう」
「ローズのことを気にしてくれると思うよ」
「ありがとう、冒険者が私を気にしてくれたら嬉しい」

 ローズの思いを伝えたくて騎士団支部から冒険者ギルドに足を運んだ。
 期待はずれの支部よりは期待したいところだ。
 ギルドはいつもと同じ。
 掲示板にならぶ冒険者が多くいた。

「すみません、話がある」
「トレイル、どうぞ相談でしたら受けますのでお話しして」

 受付嬢のところに行き相談へ。
 騎士団の門番に言ったのと同じ相談をした。
 領主ライゴッドの権力の件。
 商人ハルキストンも協力していた件。
 そしてローズが騎士団兵士に連れていかれそうだった件。
 話し終えたら受付嬢は見せたことない神妙しんみょうな顔に。

「ライゴッド氏ともめたのですか。それは厄介なことです。ライゴッドは領主です。誰でも知ってる有名人。権力者でもあるから、領主は町のために尽くす人でなくてはなりません」
「ライゴッドは違います、私と同じ猫人を家に集めて生活させていると言っていたの」
「ローズも家に連れて行こうとしたのですか……。その様な噂は聞いていますが、ギルドとしては何もできません。あくまでギルドは冒険者にクエストを紹介したり、報酬を出すのが目的。国の機関で、そういった取り締まりの機関は騎士団ですので……」

 受付嬢もローズの訴えに困り顔に。
 ギルドも国の組織だったか。
 受付嬢にこれ以上求めるのは酷かもな。

「商人ハルキストンは?」
「有能な商人として町では尊敬されています。裏の顔があるかはわかりませんね。それに、あまり領主の裏を探るのはおすすめしませんね、領主に目をつけられるし、町の中で圧力を受けるかも。トレイルはこの件と関わらない方がいい。もしローズが危険なら町から去るのがいいです……私からはあまりこれ以上は……」
「わかりました。どうも色々と教えていただきありがとう」

 受付嬢はこれ以上話したくない感じがにじみ出ていた。
 それを察して、俺達はギルドから去るのがいい。

「やっぱりギルドでも無理かな。みんなの顔を見て……見ない振りしているもん」
「……本当だ。俺達が領主とケンカしたのも知っている風だな」

 良くよくみると冒険者は、俺達の方を見ないようにしていた。
 関わりたくない感じが伝わる。

「ローズのことを考えと受付嬢の言うように町から出るしかない。けどローズは仲間の猫人のこともあるのよね、私が同じエルフ族が酷い目にあっていたら見逃せない。別の町に逃げるなんて嫌よ」
「館には、ドワーフ族がいるかもしれない。領主は私の体だけでなく、ドワーフ族の女を好きにしているかもだ。こうしていられない。今すぐに館に侵入したい!」
「慌てるなミヤマ。それにドワーフ族は居ないだろう」
「なぜ言い切れる?」
「難しいが、猫人とドワーフ族だと、趣味が違うと思う。なんというか、ドワーフにはドワーフの魅力があるというか……」

 俺はドワーフ族と猫人族の違いを説明しようとしたが、上手く説明できず困る。

「トレイルは理解できるの? 猫人の好きな男の趣味を」
「趣味を理解できないが、ローズが好かれるのはわかる。可愛いからだ」
「待って、ローズと比べて私が魅力が少ないと言うのか。そこまで言うならローズと私の体を比べよう。さぁ、ローズも服を脱いで!」
「ええっ、ここで脱ぐの……冒険者が見てるけど!」

 俺の考えにミヤマが納得しなくて、服を脱ぎ出すのでローズは慌てる。

「待て待てミヤマ!」
「止めるなパピアナ、これは私のプライドに関わることだ!」
「止めてくれパピアナ!」
「ダメだ。言ってもきかない!」
「ミヤマ、ミヤマ、脱ぐのはダメだ!」
「ローズは可愛いけど、私だって負けないのだ!」
「ちょっといいですか?」

 パピアナがミヤマの脱ぐのを止めに入っていた最中に、知らない女性が来た。
 ローズに話しかける。

「はい、なんでしょう」
「領主の件について……少し話を聞かせてください」
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