最強の回復魔法で、レベルアップ無双！ 異常な速度でレベルアップで自由に冒険者をして、勇者よりも強くなります

『ヒール44』

『ヒール44』



「町の人が見ている。相手が領主と知っているからかな……」

　良く見ると領主と戦ったことで、町の人が不安な目で見ている。

「ねえ、大丈夫かい。領主と争っていたろ。領主は町の最大の権力者だぜ……」

　心配した人がパピアナに話してくれる。

「領主が悪いのです。仲間のローズを無理やり連れ去ろうとしたの。酷いでしょ？」
「……それはどうかな。領主は騎士団も逆らわないぜ。騎士団の兵士と戦ったのだからわかるだろ。町に居られなくなる。ライゴッドに逆らったらダメダメ。良いことないよ。誰も逆らわないんだよ」
「……そんな、騎士団が敵になるてこと……」

　町の人はパピアナに領主に逆らい町から出ていくことになると注意してくれた。
　あまり人が見ているところで話すのはやめて、宿屋に戻るとした。
　宿屋ならまだ安全だろう。

「確かに変だ、騎士団てのは町を守るのが仕事。冒険者との違いがある。今の騎士団兵士は商人の命令に従っていた。普通なら従うのでなく、逆に注意するはずでしょ」
「俺も変な気がした。この町の騎士団は領主が上の立場なのかもしれないな。そうなるとローズを無理やりさらうのもわかる」
「領主を取り締まる人がいないとなっちゃう。私はトレイルしか頼れないとなる。町の人も関わりたくない感じしてたもん」

　ローズはより不安に顔に。

「トレイルの名前もパーティー名も知られてしまった以上は、領主が追い込んで来るのは明らかね。ローズを守るのなら、絶対に安全な場所を探さないとまずい。宿屋で大丈夫か不安よ」
「ミヤマが言うように宿屋を変えるか……」
「いや、今までの宿屋でいい。どうせどこに移っても同じに思う。直ぐにバレるさ」

　領主は1番偉い立場だから、どこに居ても同じに思った。

「トレイル、どうする気？」
「ローズは守る」
「そうなると騎士団と戦うんだね」
「戦うしかないよな」
「他の町の騎士団に応援を出したらどう。領主ライゴッドが不正な権力で騎士団を利用していると」
「つまりは密告するわけか」
「動いてくれるかわからないよ」
「俺たちから動くしかなくなる。ライゴッドが動く前に。騎士団は国や町を守る義務がある。よって町には必ず支部があり、支部で治安維持にあたっている。まずは支部に行ってみて、相談をしてみたい。本当に領主ライゴッドの命令通りに動いているのかを確かめたい」

　支部に行けば俺の主張が通るかもだ。
　
「ライゴッドが不正なことをしている、ライゴッドが権力を乱用していると認めてもらえるてことよね、支部に行って相談してみる価値はありそう。ローズは仲間だし、ライゴッドになんか渡さなくてよ」
「ありがとうパピアナ。ライゴッドは許せない。同じ猫人が今も館にいて嫌な生活をさせられている。そんなの我慢ならないよ」

　同じ猫人の気持ちを察したローズ。
　苦しい想いが俺にも伝わった。

「みんなで支部に行こう」
「行こう！」

　宿屋から出る時に宿屋の店主と会った。

「……なあトレイルよ、今日は外に出るな…………」
「どうしたの？」
「さっき噂を聞いた。ライゴッドとトラブルしたのだろ。ライゴッドは恐ろしい男だ。ものすごく金持ちだし、土地も持っている。そして自分の思い通りにならないと気がすまないと言う。自分勝手な男だ。金で何でも解決する。逆らった者は今までもいて、みんな町から追い出されていた」
「らしい……ですね。俺も厄介な相手だなと思います。しかしローズは守るので、ライゴッドと戦うことも避けられない場合もある。その時は宿屋に迷惑をおかけするかも」
「迷惑なんていいさ。それよりもトレイル達の身の安全を心配しているんだ」
「ありがとう店主。それと騎士団の支部の場所を教えて欲しい」

　店主は俺たちの心配をしてくれた。
　ライゴッドとトラブルするなと。
　宿屋を出ると、教えてもらった町にある騎士団の支部を探した。
　支部は町の中央にあった。
　立派な建物。
　周囲には兵士が並んでいる。

「騎士団が立っている。支部を守っているのだろう」
「中に入れれば話せるでしょう」

　建物に寄ったら兵士が来た。

「ここは騎士団支部です。この先には入れません。どのような要件か？」
「騎士団のことで相談したくて来た」
「相談？」
「はい、騎士団が領主のライゴッドと不正をしている疑いがあるのです。どうか話が通じる人を紹介してください」

　門番兵士に目的を直接言ってみる。
　はたしてどうなるかな……。

「ライゴッド……問題ない。騎士団とライゴッドは何も関係ないし、不正はないと思う」
「そんなことないの、ライゴッドは騎士団を自分の為に使っているの！」
「嘘だ。ライゴッドはとても尊敬されている人物だ。騎士団とは関係ない、帰りなさい」

　ミヤマの訴えを軽々と退ける。

「現に私は拐われそうになったのに！」
「猫人……知らない……帰りなさい！」

　ローズが訴えても無駄だった。

「商人ハルキストンについても。ハルキストンもライゴッドと関係していたのです」
「ハルキストン氏は町でも有力な商人です。素晴らしい人物と聞いている。帰れ」

　商人ハルキストンについても同じ傾向だった。

「ダメだトレイル。いくら言っても門番は話を聞いてくれそうにない」
「想像以上にライゴッドの権力は強いのかもな。いったん帰ろう……」