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第2章
調査再開...のはずが
しおりを挟む数日後、僕たちは中間報告のために一旦ウィール王国に戻っていた。
「...これで以上だ。今後の計画としては、イストリア教会についてだが...」
グランが調査結果をイルとバトラに伝えてくれた。それを聞いたグランは少し考え込んでこう言った。
「少しの収穫はあったようだな。おそらく、イストリア教会は黒で間違いない。」
「なぜなら...俺たちの収穫もイストリア教会だからだ」
バトラの話によると、2人がニアマライア教会に調査しに行ったとき、メニルも教会にいたそうで、彼からも話を聞くことができたらしい。相変わらず彼はバトラにべったりくっつこうとして迷惑だったらしいが、バトラと会えたことにより気が大きくなってしまったのか、大事な情報をいとも簡単に洩らしてくれたそうだ。
「その時に話していたのが、イストリア教会についてだったというわけだ」
メニルはイストリア教会に頻繁に通っているだとか、そこのお偉いさんと繋がっているだとか、明らかに言わない方がよいだろうことを自慢げに話していたそうだ。他にも、重要そうなことをいくつか言っていたらしく、バトラは最終証拠収集に取り掛かるそうだ。時期が訪れたら、ニアマライア教会とイストリア教会を同時に包囲するそうだ。
今後の方針を話し合い、今日はお開きとなった。僕とグランは、明日からまたマリーノ王国で調査を続ける予定だ。
ということで、僕たちはすぐに馬車に乗り、マリーノ王国に向かった。
マリーノ王国に着いてから、僕たちは前回とは違う平民街へと向かった。こちらもウィール王国の街に比べて賑わっているが、暗い雰囲気が少しあるように感じる。特に路地裏などの暗所は、近づいたら引き摺り込まれそうだ。
ーーーーー
湿気がこもった薄暗い部屋の中で溜め息を吐く。僕は自分でフラグを立てていたみたいです。
あれは15分前のこと。グランと一緒に街を歩いていたのだが、どんどんと人が多くなってきて、人混みにもみくちゃにされたせいで彼と離れてしまった。グランは背が高いので、すぐに見つけることができたが、僕は背が低い方なので彼からは見つけられなかったのか、違う方面を探しに行ってしまった。
そのまま集団に流されて行き着いたのが路地裏だった。表通りがにぎわいで溢れかえっているのが嘘のようにシーンとしていて、自分の呼吸が聞こえるほど静かだった。とりあえず、グランを探すために表通りに出る道がないか探すために歩き出した。
歩き始めて何分経った頃だろうか、いつまで経っても表に出られやしない。そろそろやばいのではと焦り出したタイミングで、後頭部に衝撃が走り、気を失ってしまった。
...そして目が覚めた時にはこの状況だった。口は布で縛られ、両手は部屋に不自然に建っている柱に固定されていた。前世に読んでいた極道漫画にもこういうシーンがあった。それによると、捕まったあとは拷問が待ち受けているが、僕も同じような目に遭ってしまうのだろうか。その様子を想像してしまい、恐怖で身震いする。
目が覚めてから体感30分ほど経ったころ、奥の扉が開いた音がした。柱に固定されているので、振り向けことができない。足音が近づいてくるのをただ聞くのみ。
とうとう僕の目の前に姿を現したその人は、誰も予想することが出来ないであろう者だった。
「....」
無論、その人を何と呼べばよいのかわからないほどの者だった。どう呼べば、機嫌を損ねないか。いや、どう呼んでもこの人はなにかと理由をつけて罵ってくるはずだ。そのような者が、何故か僕の目の前にいた。
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