2 / 36
プロローグ
プロローグ2
しおりを挟むもともと、全てにおいて平凡だった自分が嫌いだった。どの集団でも、決して主人公にはなれない。
学校なんかではみんなの愚痴の捌け口だった。大体なんらかのトラブルに少しだけ巻き込まれて、当事者の愚痴を聞かされたり、相談を受けたり。僕だって当事者なんだよ。そんなことは言えるはずもなく。ただみんなの顔色を窺って生きるモブ。こう言うことは親に相談するだろって思うかもしれないけど、僕の親は、僕には無関心だった。
僕は3人兄弟の真ん中。1番上の兄は両親にとって初めての子だから可愛がられ、下の弟はいつまでも甘えん坊で可愛いからと溺愛され。僕はといえば、手のかからない子だということだけ。
それでも、少しでも親に関心を向けてもらいたかった、愛して欲しかった僕は、“手のかからない子”をいつまでも演じるようになった。
本当はもっと甘えたかったけど。
だから学校でも顔色を窺う癖が出て、ヘコヘコしているのが気持ち悪いって言われていた。
それは大学生になった今でも変わらない。ごく普通の大学に入った僕は、そこでもみんなの愚痴の捌け口となっていた。
もともと気弱だった僕だから、本当はすぐに心が壊れていたのかもしれない。でも、僕には、そんなことも忘れてしまえるくらい、ずっと大好きで大切なものがあった。
親に誕生日で初めて買ってもらったギター。
中学生になり、スマホが与えられて、よく音楽を聴くようになった。音楽を聴いてる時が一番幸せで、僕の生き甲斐だった。学校以外ではずっと音楽を聴いている程だった。
そこで、僕は誕生日に初めて親にプレゼントをねだってみることにした。いつも僕の誕生日はプレゼントがなく、兄と弟はもらっていたので、自分は嫌われていると思っていたが、親は僕をチラリと見て、
「いいわよー。」
と、案外すぐに了承してくれた。ただ本当に無関心なだけだったのかもしれないが、僕にとっては一生の思い出になるくらい、嬉しくて、自分の部屋で飛び跳ねていた。
それから僕はギターだけに向き合い、音楽にめり込んでいった。
今日僕は19歳になった。あれは6年前くらいのことだが、今でも鮮明に覚えている。あの時買ってもらったギターは、今でも愛用している。単純なもので、愛してくれない親から、ねだって買ってもらったものをいつまでも大切に使ってる自分がいる。まあ、物に罪はないわけだし。
音楽は、今でも聴いているし、自分で作ったりもしてる。公に出しはしないけど、その時だけ、本当の自分、理想の自分でいられる。誰かの愚痴の捌け口でもなく、“手のかからない子”でもなく。
今日は19歳の誕生日だから、自分で自分を祝うために新しいギターを買うつもりだ。最初に買ったのはアコースティックギターだけど、バイトを始めて、自分で買うようになってからは、エレクトリックギターにも手を出している。楽しみすぎて、大学の帰り道で鼻歌を歌ってしまった。周りの人に聞こえてないといいけど。
とりあえず、いまは楽器店に向かっている。本当に楽しみだ。最近はベースにも挑戦しようかと思ってる。今度の誕生日に買おうかな。なんて思っていたとき、
ガシャン
「!?」
なんだ、今の音は...?何かが落ちた...いや、ぶつかった音?
(路地裏から聞こえたような...)
気になって、音のした方に行ってみたが、そこにはゴミ箱くらいしかなかったし、誰も居なかった。
(猫...かな)
野良猫がゴミ箱でも漁っていたのだろう。
(それよりも、早く楽器屋に行かなきゃ。)
そう思って、表通りに戻ろうとした時、腹部に激痛が走った。
「っ....!!」
お腹が、焼けたように熱い。
急な衝撃と痛みですぐには分からなかったが、よく見ると目の前にガタイの良い男が僕の腹に刺さっているナイフを引き抜こうとしていた。
「ああっ...!!!」
ナイフが引き抜かれた瞬間、また激痛が走った。
そのまま男は逃げていき、路地裏には僕独り。
(通り魔...かな)
「はぁ...は...」
血が止まらない。多量の出血と、自分が刺されたと言う事実によるショックで、呼吸が難しくなっていた。ゴミ箱に手をつき、呼吸を整えようにも、荒くなるばかり。足はガクガクと震えている。
(このまま、死ぬのかな...)
おぼつかない意識で、そんなことを考える。走馬灯なんて出てこない。正直、まだ死にたくない。しかも今日に限って...僕の誕生日で、新しいギターを自分にプレゼントするつもりだったのに。
(音楽、まだやり残したこといっぱいあるのにな...)
まだ、音楽やりたかった。新しいギター買いたかった。
(...もっと、愛されたかった..なんてね..)
体力的に耐えられなくなり、そこで意識が途絶えた。
「...と.....っと!!」
「ちょっと!!!聞いてるの!?」
声がした気がして目を開くと、そこは路地裏ではなく、目の前には中世ヨーロッパの貴族が着ていたようなドレスを身にまとい、派手な化粧と髪、甘い香水の匂いを漂わせた女性がいて、鬼のような顔をして僕の肩を揺すっていた。
ーーーーーーーーーーーー
初めまして!ユパンキと申します!
今回、初めての小説ですので、色々と拙いところがありますが、温かい目で見てくださると嬉しいです!
自分自身、音楽が大好きというのもあり、少しだけ音楽要素が入った小説読みたい!!ということで、書き始めました。どうしても前提を細かく描きたくて、最初のほうは、自分が頭の中で描いている物語が全然出てこないのですが、どうぞ長くお付き合いお願いします!!文章構成など、未熟の者のため、至らない点があると思いますが(おそらく書き方がコロコロ変わります...)、保護者のような気持ちで読んでくださると嬉しいです!
ブクマやコメントは本当に励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!
誤字の報告もしてくださると嬉しいです!
よろしくお願いします!!!
32
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
異世界に召喚され生活してるのだが、仕事のたびに元カレと会うのツラい
だいず
BL
平凡な生活を送っていた主人公、宇久田冬晴は、ある日異世界に召喚される。「転移者」となった冬晴の仕事は、魔女の予言を授かることだった。慣れない生活に戸惑う冬晴だったが、そんな冬晴を支える人物が現れる。グレンノルト・シルヴェスター、国の騎士団で団長を務める彼は、何も知らない冬晴に、世界のこと、国のこと、様々なことを教えてくれた。そんなグレンノルトに冬晴は次第に惹かれていき___
1度は愛し合った2人が過去のしがらみを断ち切り、再び結ばれるまでの話。
※設定上2人が仲良くなるまで時間がかかります…でもちゃんとハッピーエンドです!
例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…
東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で……
だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?!
ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に?
攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!
完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、転生特典(執事)と旅に出たい
オオトリ
BL
とある教会で、今日一組の若い男女が結婚式を挙げようとしていた。
今、まさに新郎新婦が手を取り合おうとしたその時―――
「ちょっと待ったー!」
乱入者の声が響き渡った。
これは、とある事情で異世界転生した主人公が、結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、
白米を求めて 俺TUEEEEせずに、執事TUEEEEな旅に出たい
そんなお話
※主人公は当初女性と婚約しています(タイトルの通り)
※主人公ではない部分で、男女の恋愛がお話に絡んでくることがあります
※BLは読むことも初心者の作者の初作品なので、タグ付けなど必要があれば教えてください
※完結しておりますが、今後番外編及び小話、続編をいずれ追加して参りたいと思っています
※小説家になろうさんでも同時公開中
BLゲームの世界でモブになったが、主人公とキャラのイベントがおきないバグに見舞われている
青緑三月
BL
主人公は、BLが好きな腐男子
ただ自分は、関わらずに見ているのが好きなだけ
そんな主人公が、BLゲームの世界で
モブになり主人公とキャラのイベントが起こるのを
楽しみにしていた。
だが攻略キャラはいるのに、かんじんの主人公があらわれない……
そんな中、主人公があらわれるのを、まちながら日々を送っているはなし
BL要素は、軽めです。
嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる