β大学総合病院～雲、スピンオフpartⅠ

sideC~秋月春斗編~

探り

　どうしたら、相沢ナースと接触する事が出来るだろうか？



　姉の葬儀には、婦長さんが来てくれたが、病院関係者は、少なかった。β大学病院に行った処で相沢ナースは、辞めている。病院の関係者での知り合いは冬馬夏翔位しかいないから、夏翔と二人で逢うことにした。



　   ｢春斗君、ひさしぶり。｣



　年下の夏翔に君扱いされても、嫌な気分にはならない。そう思わせる男だった。


　｢悪いね。急に呼び出して、聞きたい事があるんだよね。｣




　例の『喫茶やすらぎ』に夏翔一人を呼び出した。




｢お姉さんの事だよね。明日夏から聞いたよ。春斗君は、他殺を疑ってるんだってね。確かに、ビールとは言え、お酒を呑んでお風呂入るのは、冷静な秋風さんには考えられないよね。そもそも、お酒飲めないしね。｣




｢そうなんだ、夏翔。夏翔はどう思う？他殺の線ある？｣




｢そうだなあ。秋風さんを恨んでる人間は、首になった相沢ナース、それと浮気されたから、うちの明日夏か。看護助手仲間の話じゃあ、相沢ナースは、もう千葉にはいないよ。何か実家の東北に帰ったって、わざわざ、秋風さんを殺しに、細工しに来るとは、考えられないなあ。後は、うちの明日夏か。｣
　

　　夏翔はしばらく、考え込んで



｢明日夏、秋風さんの家に怒鳴り込みに行ったからね。相当、怒ってたよ。｣



　そうなんのか、どんな様子だったのだろうか？