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アノ子【1話完結】
しおりを挟むあの子、ずっと私のことを見てる。
ほら、今だって目が合った。
これが好きな男の子なら嬉しいことだけど……
「ねえ、あの子絶対私のこと見てるよね?」
前の席のトモコの背中をつついて、そう話しかける。
「ん?」
「よく見てよ!絶対そうだって!ずっと見てるもん!」
トモコは私の視線の先をじっと見つめると、
「……あー、まあ、……あんまり気にしない方がいいと思うよ」
と言うとスッと前を向いてしまった。
絶対そうなのに!
友達のそっけない態度にもまた胸がモヤモヤした。
それから授業が始まるけど、今日も一日中事あるごとにチラチラと目があって、気になって仕方がなかった。
あーあ、今日も嫌な日だった!!
それから家に帰っても、そのことがずっと頭の中をぐるぐるとして、なんだかパッとしない。
そうしているうちに次の日になって、
あーあ、今日も学校行かないといけない。
あの子がいるから嫌だな。
でも嫌だから休みたいだなんて親には言えないし……
そう思って我慢して今日も学校に向かう。
また今日も、ジロジロと見られたら嫌だなーとか思いながら……
あっ、トモコを発見!
思わず駆け寄る。
「おはよー」
「おはよう」
の挨拶の後に、やっぱり気になって仕方ない私はついつい聞いてしまう。
「ねえ、どうしてあの子ずっと私のこと見てくるんだと思う?」
「……うーん、アレはね、」
──見ちゃダメなヤツだよ──
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