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赤の誘惑【1話完結】
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それは白い封筒に入っていた。
昨日は散々な目にあってもうすべてがイヤになってアルコールを飲みまくった。
おでこの奥で鈍く疼きつづける症状が、忌々しくもなぜか少し誇らしげなまでに、前日の名残りとしてその存在を主張してくる。
あー、ダメだー。
いちいち頭の中で理屈っぽく考えてしまうのは悪いクセだ。
ただの二日酔い、その一言ですぐに解決がつく話のはずなのに。
すぐに脱線する思考をなんとか落ち着けると、ベッドの横、ローテーブルの上の白い封筒をぼんやりと眺める。
──やっぱりきた。
ベッドの上から封筒へと腕を伸ばす。
途中で自分の腕が重力に逆らえず落ちる。
ポスッ
くぐもった軽い音が響いた。
それだけで疲れる。
だけど、なんとか腕に力を入れて再度手を伸ばす。
封筒に指が触れる。
引き寄せて封をあけるとそこには予想通り真っ赤な錠剤があった。
──昔からだ。
23年生きてきて、この錠剤に出会ったのはこれで3度め。
その錠剤にはいつも手紙が添えられていた。
『貴方を永遠に健やかな世界へと導きます』
胡散臭いその文章は、PCで打たれたらしい。その文字には、手で書かれたようなクセや温かみはなく硬質だった。
──いつもタイミングが絶妙だよねー。
そう思いながら、テーブルに雑多に置かれた缶の一つを手に取り少し揺らすと、ちゃぷんと音がなった。
中身がまだ残ってる。
そして、
錠剤をつまみあげてから、軽やかに口に放り込むとビールで喉の奥へと流し込んだ。
昨日は散々な目にあってもうすべてがイヤになってアルコールを飲みまくった。
おでこの奥で鈍く疼きつづける症状が、忌々しくもなぜか少し誇らしげなまでに、前日の名残りとしてその存在を主張してくる。
あー、ダメだー。
いちいち頭の中で理屈っぽく考えてしまうのは悪いクセだ。
ただの二日酔い、その一言ですぐに解決がつく話のはずなのに。
すぐに脱線する思考をなんとか落ち着けると、ベッドの横、ローテーブルの上の白い封筒をぼんやりと眺める。
──やっぱりきた。
ベッドの上から封筒へと腕を伸ばす。
途中で自分の腕が重力に逆らえず落ちる。
ポスッ
くぐもった軽い音が響いた。
それだけで疲れる。
だけど、なんとか腕に力を入れて再度手を伸ばす。
封筒に指が触れる。
引き寄せて封をあけるとそこには予想通り真っ赤な錠剤があった。
──昔からだ。
23年生きてきて、この錠剤に出会ったのはこれで3度め。
その錠剤にはいつも手紙が添えられていた。
『貴方を永遠に健やかな世界へと導きます』
胡散臭いその文章は、PCで打たれたらしい。その文字には、手で書かれたようなクセや温かみはなく硬質だった。
──いつもタイミングが絶妙だよねー。
そう思いながら、テーブルに雑多に置かれた缶の一つを手に取り少し揺らすと、ちゃぷんと音がなった。
中身がまだ残ってる。
そして、
錠剤をつまみあげてから、軽やかに口に放り込むとビールで喉の奥へと流し込んだ。
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