1 / 8
キミはダレ?【1話完結】
しおりを挟む
彼女は優しい子。でも少し自信のない子。しかし、彼女は変わったのだ。
ある男の子が彼女のクラスに転校してきたその日から。
彼の名は太一くん。
ハーフの彼は、白い陶器のような肌で、遠目から見ると黒に見える目の色は、近くで見ると焦茶色にみえた。
太一くんが現れた瞬間、教室は一気に華やいだ空気になる。ちょっとかっこいいと人気の担任の杉崎先生も太一くんの前では霞むほど。
それほどに太一くんの存在は特別だった。
♢♢
え?私はだれかって?私の事は気にしなくても大丈夫。
私はどこの学校にもいる。
きっとあなたの学校にもね。
だから私がだれかは気にしないで。
大事なのはそこじゃない。
大事なのは彼女と太一君について。彼女はその日から太一くんしか見えなくなった。
その日まで大好きだったぬいぐるみのポコちゃんも、アイドルの茉莉くんも、大好きなパパママ達すらもう彼女の世界には映らなくなった。
もしかしたら自分の事でさえもちゃんと見えてなかったのかなー。ぼんやりしてると危ないよーってレベルに見えた。
そして彼女のランドセルにつけられていた茉莉くんのハート型キーホルダはいつのまにか消え、新たにT & Sと書かれたキーホルダーが揺れていた。
♢♢
太一くんが転校してきてからの初めての春休み。
その間に彼女の家に何があったのか私は知らないけど、今度は彼女が転校したらしい。特に仲良い友達もいなかったし、彼女の家は校区ギリギリで遠かったから誰も詳しい事情は知らない。
春休み明けに杉崎先生がクラスのみんなに話してくれた。先生が暗い表情だったのがちょっと気になるけど。
でも元々目立たなかった彼女の転校は、クラスを半日騒がせたくらいで、緩やかに受け入れられていった。
♢♢
太一くんはそれからも常に注目の的。
バレンタインには机から溢れる程にチョコの山ができた。
そのせいで学校での食べ物の受け渡しが禁止される事態になる程。
そんなある日、学校一の美人と評判の高谷さんと太一くんは一緒に下校するようになった。
2人の間になにがあったのだろう。彼らの馴れ初めの推測や、いつもどこでデートしているかなど色んな噂が流れた。
その中に一つ奇妙なものがあった。
彼女が最近つけ始めたハート型のキーホルダ。刻まれた文字はT & S。
ん?高谷さんの名前ってSから始まるんだったっけ?
でもそれも沢山の噂と情報の海の中にすぐに消えて行った。
♢♢
それから、数日がたった。
教室の後ろで2人の女の子達が喋ってる。
──最近、高谷さん変わったよね。前はもっと明るかった気がするんだけどなー。なんか最近ちょっと怖いなって思う時があるのー。
──わかるー。太一くんに話しかける時とか、彼女にじっと見られてる気がして怖いもんねー
──それそれ。最近の彼女の薄気味悪い雰囲気。ちょっと思い出せないんだけど誰かに似てる気がするんだけどなー、だれだったかな…
──それ、私も思ってたー。でも、うーん…
ダレ、ダッタッケ?
覚えてないの?
そう、思わず聞きたくなるけど私は彼女達とは話せないから仕方ない。
ねぇ?あなたは、
オ ボ エ テ ル?
ある男の子が彼女のクラスに転校してきたその日から。
彼の名は太一くん。
ハーフの彼は、白い陶器のような肌で、遠目から見ると黒に見える目の色は、近くで見ると焦茶色にみえた。
太一くんが現れた瞬間、教室は一気に華やいだ空気になる。ちょっとかっこいいと人気の担任の杉崎先生も太一くんの前では霞むほど。
それほどに太一くんの存在は特別だった。
♢♢
え?私はだれかって?私の事は気にしなくても大丈夫。
私はどこの学校にもいる。
きっとあなたの学校にもね。
だから私がだれかは気にしないで。
大事なのはそこじゃない。
大事なのは彼女と太一君について。彼女はその日から太一くんしか見えなくなった。
その日まで大好きだったぬいぐるみのポコちゃんも、アイドルの茉莉くんも、大好きなパパママ達すらもう彼女の世界には映らなくなった。
もしかしたら自分の事でさえもちゃんと見えてなかったのかなー。ぼんやりしてると危ないよーってレベルに見えた。
そして彼女のランドセルにつけられていた茉莉くんのハート型キーホルダはいつのまにか消え、新たにT & Sと書かれたキーホルダーが揺れていた。
♢♢
太一くんが転校してきてからの初めての春休み。
その間に彼女の家に何があったのか私は知らないけど、今度は彼女が転校したらしい。特に仲良い友達もいなかったし、彼女の家は校区ギリギリで遠かったから誰も詳しい事情は知らない。
春休み明けに杉崎先生がクラスのみんなに話してくれた。先生が暗い表情だったのがちょっと気になるけど。
でも元々目立たなかった彼女の転校は、クラスを半日騒がせたくらいで、緩やかに受け入れられていった。
♢♢
太一くんはそれからも常に注目の的。
バレンタインには机から溢れる程にチョコの山ができた。
そのせいで学校での食べ物の受け渡しが禁止される事態になる程。
そんなある日、学校一の美人と評判の高谷さんと太一くんは一緒に下校するようになった。
2人の間になにがあったのだろう。彼らの馴れ初めの推測や、いつもどこでデートしているかなど色んな噂が流れた。
その中に一つ奇妙なものがあった。
彼女が最近つけ始めたハート型のキーホルダ。刻まれた文字はT & S。
ん?高谷さんの名前ってSから始まるんだったっけ?
でもそれも沢山の噂と情報の海の中にすぐに消えて行った。
♢♢
それから、数日がたった。
教室の後ろで2人の女の子達が喋ってる。
──最近、高谷さん変わったよね。前はもっと明るかった気がするんだけどなー。なんか最近ちょっと怖いなって思う時があるのー。
──わかるー。太一くんに話しかける時とか、彼女にじっと見られてる気がして怖いもんねー
──それそれ。最近の彼女の薄気味悪い雰囲気。ちょっと思い出せないんだけど誰かに似てる気がするんだけどなー、だれだったかな…
──それ、私も思ってたー。でも、うーん…
ダレ、ダッタッケ?
覚えてないの?
そう、思わず聞きたくなるけど私は彼女達とは話せないから仕方ない。
ねぇ?あなたは、
オ ボ エ テ ル?
応援ありがとうございます!
11
お気に入りに追加
2
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる