2 / 8
第1話
しおりを挟む
門を抜けると街の商店街が道沿いにまっすぐ
続いている。その商店街を抜けた先にある
教会、ラムリア教会がノアの家である。
「疲れた.....もう俺は動かないぞ.....」
ノアは祝福の書を本棚に向けて放り投げる。
本はバサバサと音を立てて落ちた。
「甲斐性が無いですねぇ。アメリダさん一人祝福しただけじゃないですか。」
そう言ってオリヴィアは祝福の書を拾い、
本棚にきっちりとしまった。
「祝福は思っている以上に疲れるんだよ。」
ノアがオリヴィアに愚痴をこぼしたその時、
玄関から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「こんちわー!アルド農場でーす!」
毎朝街に牛乳を届けている青年、テディの
声だ。ノアの教会もお世話になっている。
「はーい!今行きまーす!」
オリヴィアが元気よく答えて玄関を開ける。
「毎度ですオリヴィアちゃん!ところで
ノア牧師はおられますか?」
テディは教会の中を覗き込む。
「どうした、テディ?」
ノアは正装を脱ぎ捨てながら答えた。
「ビッグニュースですよ!実はこのラムリアの街を《勇者》が通るそうです!」
テディは興奮した様子で語る。
「........は?」
ノアは驚きのあまり声が出なかった。いつか来ると思って待ち続けた出来事が今日突然
来たのだ。
「オリヴィア!急いで準備だ!」
ノアは急いで正装を着直した。
「オリヴィア....準備はいいな?」
ノアはかつてないほどきっちりとした服に
身を包んでいる。
「はい、牧師様!」
オリヴィアも、いつもより綺麗な服を着て
いる。これでいつでも勇者を迎えられる
筈だ。
(多少のMPの疲れくらい大丈夫だ。)
その時、教会の扉が開いて、勇者が光の中
から現われる。
「ここがラムリア教会か。」
勇者は牧師を見据え、こちらに歩いて来る。
「初めまして、牧師殿。私はライアン。
王に仕える勇者です。どうか私に祝福を。」
勇者はノアの前に進み出す。
「分かりました。あなたに祝福を。」
ノアは書を取り出し、勇者の頭に手を当て、
祝福を開始した。
(少し疲れが出ているな。)
ノアは祝福中に目眩を感じた。だが、せっかく勇者に会えたこのチャンス、疲れくらい
では止めるわけにはいかなかった。
(.......ん?)
オリヴィアはノアの持っている本に違和感を感じた。
(あれは....《転換の書》!?)
オリヴィアは本の表紙の文字が違うことに
気付いた。
(牧師様、本を取り間違えてる!)
ノアが放り投げた本をオリヴィアが本棚に
入れた時、別の本と順番が入れ替わって
しまったようだ。
「牧師様!儀式を中断してください!」
ノアに向かって叫んだ。だが、ノアも勇者も既に意識がないようだ。
「ああ、嘘.......」
オリヴィアは感嘆の声を上げる。その時、
二人が同時に倒れこんだ。
続いている。その商店街を抜けた先にある
教会、ラムリア教会がノアの家である。
「疲れた.....もう俺は動かないぞ.....」
ノアは祝福の書を本棚に向けて放り投げる。
本はバサバサと音を立てて落ちた。
「甲斐性が無いですねぇ。アメリダさん一人祝福しただけじゃないですか。」
そう言ってオリヴィアは祝福の書を拾い、
本棚にきっちりとしまった。
「祝福は思っている以上に疲れるんだよ。」
ノアがオリヴィアに愚痴をこぼしたその時、
玄関から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「こんちわー!アルド農場でーす!」
毎朝街に牛乳を届けている青年、テディの
声だ。ノアの教会もお世話になっている。
「はーい!今行きまーす!」
オリヴィアが元気よく答えて玄関を開ける。
「毎度ですオリヴィアちゃん!ところで
ノア牧師はおられますか?」
テディは教会の中を覗き込む。
「どうした、テディ?」
ノアは正装を脱ぎ捨てながら答えた。
「ビッグニュースですよ!実はこのラムリアの街を《勇者》が通るそうです!」
テディは興奮した様子で語る。
「........は?」
ノアは驚きのあまり声が出なかった。いつか来ると思って待ち続けた出来事が今日突然
来たのだ。
「オリヴィア!急いで準備だ!」
ノアは急いで正装を着直した。
「オリヴィア....準備はいいな?」
ノアはかつてないほどきっちりとした服に
身を包んでいる。
「はい、牧師様!」
オリヴィアも、いつもより綺麗な服を着て
いる。これでいつでも勇者を迎えられる
筈だ。
(多少のMPの疲れくらい大丈夫だ。)
その時、教会の扉が開いて、勇者が光の中
から現われる。
「ここがラムリア教会か。」
勇者は牧師を見据え、こちらに歩いて来る。
「初めまして、牧師殿。私はライアン。
王に仕える勇者です。どうか私に祝福を。」
勇者はノアの前に進み出す。
「分かりました。あなたに祝福を。」
ノアは書を取り出し、勇者の頭に手を当て、
祝福を開始した。
(少し疲れが出ているな。)
ノアは祝福中に目眩を感じた。だが、せっかく勇者に会えたこのチャンス、疲れくらい
では止めるわけにはいかなかった。
(.......ん?)
オリヴィアはノアの持っている本に違和感を感じた。
(あれは....《転換の書》!?)
オリヴィアは本の表紙の文字が違うことに
気付いた。
(牧師様、本を取り間違えてる!)
ノアが放り投げた本をオリヴィアが本棚に
入れた時、別の本と順番が入れ替わって
しまったようだ。
「牧師様!儀式を中断してください!」
ノアに向かって叫んだ。だが、ノアも勇者も既に意識がないようだ。
「ああ、嘘.......」
オリヴィアは感嘆の声を上げる。その時、
二人が同時に倒れこんだ。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる