アイアンメイデンは酒に弱い

その女、強盗を追う。

恐怖

アリス「どういうことだ！？」

ーわ、分かりませんよ！ー

住人と衛兵は普段通りに生活しているようだが、かつてあれ程の数がいた商人が一人もいない。

アリス「まさか.....！」

何かに気付いたアリスは、商人が置いていったであろう荷馬車に駆け寄り、中を覗きこむ。

アリス「まさか.....！これは！」

アリスは驚愕し、こちらに大声で叫んだ。

アリス「全員逃げろ！！！」

ーえ？ー

アリスは俺の腕を掴み、人を掻き分けて街の外へ向かって走っていく。

走ってきたアリスに尋常ではないと感じた住人達も、やがて逃げ始めた。

ーいったいどういうことだ！？ー

アリス「あの馬車には、爆薬が積まれていた！それも貿易に使う量じゃない！それがこの辺り全ての荷馬車にあるとしたら....！」

ー.....！街ごと吹っ飛ぶ！！ー

アリス「それも意図的にだ！！」

ようやく事態の深刻さが分かった。

ー急いで逃げなきゃ...！ー

幸い、街の出口はもう目の前だ。あとは外まで走り抜ける！

だが、逃げ惑う住人達が邪魔で思うように動けない

アリス「お、おい！？どこにいる！？」

ーくそ！アリス！？ー

アリスも人の波にのまれていなくなってしまった。お互いを呼ぶ声も、住人達の悲鳴にかき消された。

そして、馬車の中で一つの火花が、散った。

ーうわぁぁぁぁぁ！！ー

大きな光を見た直後、俺は意識を失ってしまった。

そして、帝国の街が一つ、地図から消えた。


「ヒーッヒヒィ！綺麗なもんだなぁ！」

少し離れた崖に立った男が、独特なかすれ声で笑っていた。


次回、「待ち合わせ」   2月11日(木)公開予定