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第七話
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あらすじ
生活空間の優遇、ありがとうございます!
壁には四方に一つずつ、全部で4つの扉!
ひとつは入ってきたところだね!
扉は入ってきたとこ以外は術掛かってると思ったけど
一つ開いてるみたい!やったね!
でも奇妙なうめき声も聞こえるよ!
でもこれ完全にバイオハ(ry
その扉は遠目でも分かるほど凹んでいた。しかも凹みは最初見た時よりも
明らかに大きくなっていた。
「これ...調べないといけない感じか...?」
僕は完全にビビっている。というか普通そうだよね?
『まぁお主が調べたくなくとも、調べねばいかんじゃろうな...
ちなみにあの扉、神通力は掛かっておらんぞ』
もはやトドメの一言。ここしか行く道は無いらしい。
「じゃあ、やるか...」
『慎重にの』
扉まであと少しというところで、通信が来る。
「ルール、俺の方は調べ終わった。特に異常はないな」
テストマンは言う。
え?異常はない?ってことはこの扉、僕だけ?
今まで持っていた、同じような状況の人がいるという安心感が消え去る。
「テ、テストマン、そっちに異様な音を立てる扉は無いか?凹んだ扉は?
うめき声とか聞こえないか?」
僕は必死になった。僕は自分一人で考えて行動を起こすのが嫌いなタイプの
人間なのだ。
「悪いが、そんな扉は無いな...どの扉も変なことは起きていない」
テストマンは冷静に言った。嘘はついていないだろう。
『そのようじゃな...開けるの、止めておくかの?』
だが、こんな何時壊れてもおかしくない扉があるのは恐怖でしかない。
うめき声もヤバそうだし。
「行くよ。多分これも、試験なんだろ...?」
僕は念のため拡声器を腰に取り付け、両手で扉の取っ手を掴む。
震える足を無理に動かし、扉を押す。
ゴゴゴ...という音と共に扉が開く。やはり重い。
しかも開けてる途中なのに、扉に何かぶつかったような衝撃が走る。
それは僕が見て感じていた衝撃の数倍、力強かった。
この扉の向こうに何がいるにせよ、とんでもない筋力の持ち主なのだろう。
僕は意を決して、扉の空いた隙間に入り込む。
「はは...は....」
隙間から入って一番に目に入ってきた景色。僕はそれを目を丸くしながら見る。
扉を開けた先、目の前には僕の体の三倍はあろうかという巨人が、手首足首に鎖を
引き摺りながら、柱のような石膏の塊を持って立っていた。
それも、何十体も。
そのうちの一体が振りかぶる。天高く掲げられた石柱は太陽に届きそうなほど
上に向かって伸びていく。僕は、ただ見ていることしか出来ない。体が恐怖で
動けないのだ。
巨人。初めて見る生物。まぁ俗に言うSAN値減少だ。だが、本当に未知なる
生物に遭遇した時、人間は動く事さえ出来ないのだ。
その時、頭上後方、入ってきた扉の上あたりから声が聞こえる。
「第一射、放て!!」
その声と同時に頭上から轟音が鳴り響く。ドォン、ドォンと。
振りかぶっていた巨人は顔面が拉げ、振りかぶった格好のまま後ろにこける。
僕は訳の分からぬまま、それを眺めていた。
「第二射、用意!!」
また声が聞こえる。
『何をしておるお主!!さっさと逃げんか!!!』
煉の声が耳に入ってくる。ここでようやく僕は、自分の体が動くことに気付いた。
『お主の体はワシが動くようにした!!さっさと逃げろ!!』
僕は体を反転させ、扉に向かう。
扉のあった場所には、城門のような木製の扉があった。というか中世のそれである。
幸い、扉は僕が開けた時と同じくらいの隙間が開いており、するりと中に入る。
入った瞬間、扉はゴォン...という音と共に閉まった。
中に入ってみると、十数人、いや、二十数人はいるであろう兵士たちが
殺気立っていた。
「何をしている!さっさと持ち場に戻れ!!」
その中にいる鎧を着た上官らしき兵士が、僕の肩を掴み歩き出す。既に満身創痍な僕は
彼の腕に引かれるがままに奥へ連れて行かれる。
生活空間の優遇、ありがとうございます!
壁には四方に一つずつ、全部で4つの扉!
ひとつは入ってきたところだね!
扉は入ってきたとこ以外は術掛かってると思ったけど
一つ開いてるみたい!やったね!
でも奇妙なうめき声も聞こえるよ!
でもこれ完全にバイオハ(ry
その扉は遠目でも分かるほど凹んでいた。しかも凹みは最初見た時よりも
明らかに大きくなっていた。
「これ...調べないといけない感じか...?」
僕は完全にビビっている。というか普通そうだよね?
『まぁお主が調べたくなくとも、調べねばいかんじゃろうな...
ちなみにあの扉、神通力は掛かっておらんぞ』
もはやトドメの一言。ここしか行く道は無いらしい。
「じゃあ、やるか...」
『慎重にの』
扉まであと少しというところで、通信が来る。
「ルール、俺の方は調べ終わった。特に異常はないな」
テストマンは言う。
え?異常はない?ってことはこの扉、僕だけ?
今まで持っていた、同じような状況の人がいるという安心感が消え去る。
「テ、テストマン、そっちに異様な音を立てる扉は無いか?凹んだ扉は?
うめき声とか聞こえないか?」
僕は必死になった。僕は自分一人で考えて行動を起こすのが嫌いなタイプの
人間なのだ。
「悪いが、そんな扉は無いな...どの扉も変なことは起きていない」
テストマンは冷静に言った。嘘はついていないだろう。
『そのようじゃな...開けるの、止めておくかの?』
だが、こんな何時壊れてもおかしくない扉があるのは恐怖でしかない。
うめき声もヤバそうだし。
「行くよ。多分これも、試験なんだろ...?」
僕は念のため拡声器を腰に取り付け、両手で扉の取っ手を掴む。
震える足を無理に動かし、扉を押す。
ゴゴゴ...という音と共に扉が開く。やはり重い。
しかも開けてる途中なのに、扉に何かぶつかったような衝撃が走る。
それは僕が見て感じていた衝撃の数倍、力強かった。
この扉の向こうに何がいるにせよ、とんでもない筋力の持ち主なのだろう。
僕は意を決して、扉の空いた隙間に入り込む。
「はは...は....」
隙間から入って一番に目に入ってきた景色。僕はそれを目を丸くしながら見る。
扉を開けた先、目の前には僕の体の三倍はあろうかという巨人が、手首足首に鎖を
引き摺りながら、柱のような石膏の塊を持って立っていた。
それも、何十体も。
そのうちの一体が振りかぶる。天高く掲げられた石柱は太陽に届きそうなほど
上に向かって伸びていく。僕は、ただ見ていることしか出来ない。体が恐怖で
動けないのだ。
巨人。初めて見る生物。まぁ俗に言うSAN値減少だ。だが、本当に未知なる
生物に遭遇した時、人間は動く事さえ出来ないのだ。
その時、頭上後方、入ってきた扉の上あたりから声が聞こえる。
「第一射、放て!!」
その声と同時に頭上から轟音が鳴り響く。ドォン、ドォンと。
振りかぶっていた巨人は顔面が拉げ、振りかぶった格好のまま後ろにこける。
僕は訳の分からぬまま、それを眺めていた。
「第二射、用意!!」
また声が聞こえる。
『何をしておるお主!!さっさと逃げんか!!!』
煉の声が耳に入ってくる。ここでようやく僕は、自分の体が動くことに気付いた。
『お主の体はワシが動くようにした!!さっさと逃げろ!!』
僕は体を反転させ、扉に向かう。
扉のあった場所には、城門のような木製の扉があった。というか中世のそれである。
幸い、扉は僕が開けた時と同じくらいの隙間が開いており、するりと中に入る。
入った瞬間、扉はゴォン...という音と共に閉まった。
中に入ってみると、十数人、いや、二十数人はいるであろう兵士たちが
殺気立っていた。
「何をしている!さっさと持ち場に戻れ!!」
その中にいる鎧を着た上官らしき兵士が、僕の肩を掴み歩き出す。既に満身創痍な僕は
彼の腕に引かれるがままに奥へ連れて行かれる。
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