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番外編

ヤンデレ化した男と、まんざらでもない女

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 柔らかい朝の光が風花の眠る部屋を照らす。心地よい朝の目覚め、新しい一日の始まりだ。

 ずいぶん深く眠っていたようで、体全体が心地よく痺れている。

 風花が目を開けると、目と鼻の先でエドワードが風花をガン見していた。


 「ひっ!」

 「おはよう、フーカ」

 「……おはようございます、エド様。毎朝、至近距離から見てくるのやめてください」

 「何故だ?それは俺が醜いからか?それとも俺が眠っている間に逃げる魂胆だからか?」


 そんなこと微塵も思っていない。しかしながら、ヤンデレ化してしまったエドワードには全く通じなかった。


 「そんなこと全く思っていませんよ。でも私、口を開けて寝るクセがあるから恥ずかしいんです」

 「どんな君も愛らしいよ。幸せそうに眠る君から目が離せないんだ。どうかこの気持ちをわかってほしい」


 議論するだけ無駄と判断した風花は、「わかりました」とにっこり笑って受け流した。

 朝の恒例行事と化しているやりとりをした後は、朝勃ちしている彼のモノを口で鎮めてやる。そうすることで、ようやく彼の病みぶりが落ち着いてくるのだ。


 「はあ、はあ、フーカ……今日も飲んでくれてありがとう。好きだ、大好きだ、愛してる」


 風花はグラスの水で口をすすぐと、彼をなだめてから朝食の準備に取りかかった。



 *



 昨晩のうちに仕込んでおいたパン生地をこねて丸めていく。
 こちらの世界に電子オーブンなどないので、焼くのは窯のオーブンだ。

 ところがこの窯のオーブン、使い勝手が悪くエドワードに根気よく教えてもらって、ようやく最近一人で使えるようになった。

 昨日市場で購入したバターとチーズを使って、朝とりたての卵でチーズオムレツを作る。ちなみに溶いた卵に牛乳を少し垂らすとふんわり仕上がってとても美味しい。
 添加物が入っていない食材はどれも新鮮で、今まで風花が味わったことのない美味しさがあった。

 今朝は少し贅沢に、庭で採れたプチトマトをプレートに添えてみた。これがびっくりするほど甘いのだ。風花は、フルーツ感覚で食べられる野菜があったことに感動した。



 *



 テーブルを挟んで向き合う形で朝食をとりながら、浮かない表情のエドワードをチラリと見た。
 しっかりお口でスッキリさせたはずなのに、この短時間に一体何があったのか。

 こういう場合、下手に声をかけると彼の病み具合に拍車をかけてしまう恐れがあるので、相手からアプローチがあるまで風花は黙っていることにした。


 「……フーカ。君に話しておかなければならないことがある」


 エドワードは、フォークをテーブルに置くと深刻な顔で風花を見た。


 「俺はオーランド家の長男だが、家督は弟が継いだんだ。つまり、今の俺は貴族から平民になった」


 何を今更言っているのか。執事も使用人もいないこぢんまりとした家で、質素な生活をしていて気づかないとでも思ったのだろうか。


 「そうなんですね。私はエド様と一緒に居られればそれで十分幸せです」

 「フーカ!!」


 感動に目を潤ませたエドワードが、椅子をひっくり返す勢いで立ち上がると風花の足元に片膝をついて手を取った。


 「フーカ、好きだ、愛してる。永遠に君だけを愛すると誓おう。だからどうか、俺と結婚してくれ!!」


 風花はとても驚いた。
 彼が貴族籍から抜けたであろうことは、この二ヶ月で当たりがついていた。
 結婚に至っては、元娼婦というレッテルを貼られた自分には一生ないであろうと思っていた。

 内縁の妻でも良いと、衣食住が足りていれば御の字と思っていた風花にとって、それはとても嬉しいサプライズだった。


 「こんな私でも良いのなら、エド様のお嫁さんにしてください♡」

 「フーカァァ!!」



 *



 「ひんっ!!」

 ガツンと奥を突かれて悲鳴のほうが先に出た。テーブルを支えに後ろから腰を抱かれ、容赦なく風花の弱いところを攻め立てられた。

 ズンッズンッズンッ!!!

 一突き一突きが重い。そのせいで、先ほどからぎしぎしとテーブルの軋む音が響く。

 エドワードは背後から風花の両腕を取ると、後方に引っ張ってこれでもかと言うくらいに突き上げた。


 「あぁああぁっ!」


 風花は胸を突き出し、背を弓なりにして嬌声を上げる。凄まじい快感が風花を襲い、絶頂へと続く階段を一気に駆け昇った。

 最奥で彼のモノが膨らんだかと思ったら、大量の白濁が飛沫をあげた。


 「うあぁ……フーカ、フーカ。俺のフーカ!!」


 射精したというのに、彼の猛りは衰えることなくガチガチのまま再び抽挿が始まった。

 外の世界から隔離された家で、この日二人は淫らな行為にふけることとなった。

 ダイニングだけでなく、リビングやキッチンでも、人目がないことを理由にしてエドワードは風花を抱き続ける。
 時には立ったまま繋がって、体液をこぼしながら乱れ続けた。
 
 一糸纏わぬ姿のまま、エドワードは風花をベッドに横たえると首から鎖骨に吐息混じりのキスを落としていった。
 風花がくすぐったさに思わず身をくねらせると、熱いキスは胸の膨らみに到達した。

 延々と続く舌の愛撫を受け続けた風花は、心ゆくまで甘やかな泥酔に浸った。


 「フーカ、明日は指輪を買いに行こう」

 「嬉しい!エド様、私、今すごく幸せです」


 ふふふ。と微笑む風花の薬指に、そっと口付けるエドワード。


 ヤンデレの片鱗を垣間見せる彼だったが、気づいているのかいないのか、まんざらでもない様子の風花も、かなり病んでいるのかも知れなかった。



 【完】


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