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メイランの古い洋館
古いお屋敷
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「大変でしたねぇ……主にフーリさんが」
教会の椅子に横になっているフーリを見ながらアナはそう振り返る。まあ、フーリが一番大変だったのは言うまでもない。
「ただ収穫はあったな」
「私たち全然ダメージ食らってなかったですもんね!」
スピカの言う通り、フーリが居さえすればボスの壊滅的な攻撃でもない限りは粘り勝てそうだということが分かった。フーリ本人をどう守るかが課題だが、かなり大きい収穫だ。
「勝てる見込みがついた上で……だ。ずばり聞くんだが、淫魔石のありかは検討ついているのか?」
俺が気にしているのはそこだった。いくら防衛戦に勝てても敵の本陣を潰さなければ無限に淫魔は湧き出てくる。
結界の中に淫魔が出現するのも、そもそも結界の中に淫魔石があるからなのでは……と考えている節もあった。俺の質問に、横になっているフーリが口を開いた。
「正確に分かっているわけではないのですが……」
「ああ、構わない」
「……街のはずれに大きな屋敷がありまして……長らく空き家なんですけど……最初に淫魔が現れたのがその辺りだったのです」
空き家になっている屋敷か……いかにもという感じだな。あれだけギラギラしているものが人目につくところにあったらすぐにバレるだろうし。
「ただ腑に落ちないのは、なんでそんなところにあるかもしれないんだ?前回は当然そんなところになかったわけだろ?」
クロス村で聞いた話では、リスポーン場所を潰したら変なところにリスポーンしてしまうのであえて空間を作って出現した時に破壊しやすくしたと言っていた。砂漠の遺跡の方も構造的にそんな感じだろう。
だったらばこのメイランだってそういった機構があって然るべきじゃないのか? フーリもその疑問は想定していたようで、特に間を空けることなく説明をはじめた。
「それが、元々淫魔石があった洞窟が崩れて埋まってしまったのです。教会から少し北に行ったところに井戸があり、その井戸の横穴がその場所だったのですが……」
なるほど、人為的にではなく自然発生的にリスポーン場所がなくなってしまったわけだ。井戸の横穴となると改めて穴を開けるのも難しいだろうしな。
「じゃあ明日、その空き家に行ってみよう。あわよくばその場で淫魔石を破壊できりゃ御の字だ」
「ですね!」
アナも拳を握って「やってやりましょう!」と意気込む。しかし、どうにもフーリは乗り気じゃなさそうだ。
「何かあったか?」
「いえ……実はあの空き家、少々曰く付きでして……」
「曰く?」
「神職者の身でこんなことを言うのもどうかとは思うのですが、どうやらあそこには出るらしいのです」
「出るというのはつまり……」
「死者、つまり亡霊が」
寝ながらではあるが、フーリはまことしやかにそう話す。このゲームの中にも幽霊なんてものが存在するのか……それってもともと幽霊設定のキャラなのか?? それともゲームを超えた本物の幽霊なのか??
「だから当初淫魔騒ぎも亡霊のせいではないかと囁かれていたのです……」
「なるほどな。とはいえそこが怪しいのはそうなんだし、怖がってばかりもいられないだろ?」
「そ、それはもちろんです」
フーリも心配させまいとしているのか、少し語気を強めた。この世界では幽霊と淫魔、どっちが怖がられてるんだろう。
「と、いうわけだから今日は早めに休んで明日に備えよう」
「はーい!」
スピカは話を聞いてたのか聞いてないんだか、きのみパイを頬張りながらいい返事をした。ふと目をやると、フーリはさすがに体がこたえていたのか瞼を閉じて寝息を立て始めていた。
教会の椅子に横になっているフーリを見ながらアナはそう振り返る。まあ、フーリが一番大変だったのは言うまでもない。
「ただ収穫はあったな」
「私たち全然ダメージ食らってなかったですもんね!」
スピカの言う通り、フーリが居さえすればボスの壊滅的な攻撃でもない限りは粘り勝てそうだということが分かった。フーリ本人をどう守るかが課題だが、かなり大きい収穫だ。
「勝てる見込みがついた上で……だ。ずばり聞くんだが、淫魔石のありかは検討ついているのか?」
俺が気にしているのはそこだった。いくら防衛戦に勝てても敵の本陣を潰さなければ無限に淫魔は湧き出てくる。
結界の中に淫魔が出現するのも、そもそも結界の中に淫魔石があるからなのでは……と考えている節もあった。俺の質問に、横になっているフーリが口を開いた。
「正確に分かっているわけではないのですが……」
「ああ、構わない」
「……街のはずれに大きな屋敷がありまして……長らく空き家なんですけど……最初に淫魔が現れたのがその辺りだったのです」
空き家になっている屋敷か……いかにもという感じだな。あれだけギラギラしているものが人目につくところにあったらすぐにバレるだろうし。
「ただ腑に落ちないのは、なんでそんなところにあるかもしれないんだ?前回は当然そんなところになかったわけだろ?」
クロス村で聞いた話では、リスポーン場所を潰したら変なところにリスポーンしてしまうのであえて空間を作って出現した時に破壊しやすくしたと言っていた。砂漠の遺跡の方も構造的にそんな感じだろう。
だったらばこのメイランだってそういった機構があって然るべきじゃないのか? フーリもその疑問は想定していたようで、特に間を空けることなく説明をはじめた。
「それが、元々淫魔石があった洞窟が崩れて埋まってしまったのです。教会から少し北に行ったところに井戸があり、その井戸の横穴がその場所だったのですが……」
なるほど、人為的にではなく自然発生的にリスポーン場所がなくなってしまったわけだ。井戸の横穴となると改めて穴を開けるのも難しいだろうしな。
「じゃあ明日、その空き家に行ってみよう。あわよくばその場で淫魔石を破壊できりゃ御の字だ」
「ですね!」
アナも拳を握って「やってやりましょう!」と意気込む。しかし、どうにもフーリは乗り気じゃなさそうだ。
「何かあったか?」
「いえ……実はあの空き家、少々曰く付きでして……」
「曰く?」
「神職者の身でこんなことを言うのもどうかとは思うのですが、どうやらあそこには出るらしいのです」
「出るというのはつまり……」
「死者、つまり亡霊が」
寝ながらではあるが、フーリはまことしやかにそう話す。このゲームの中にも幽霊なんてものが存在するのか……それってもともと幽霊設定のキャラなのか?? それともゲームを超えた本物の幽霊なのか??
「だから当初淫魔騒ぎも亡霊のせいではないかと囁かれていたのです……」
「なるほどな。とはいえそこが怪しいのはそうなんだし、怖がってばかりもいられないだろ?」
「そ、それはもちろんです」
フーリも心配させまいとしているのか、少し語気を強めた。この世界では幽霊と淫魔、どっちが怖がられてるんだろう。
「と、いうわけだから今日は早めに休んで明日に備えよう」
「はーい!」
スピカは話を聞いてたのか聞いてないんだか、きのみパイを頬張りながらいい返事をした。ふと目をやると、フーリはさすがに体がこたえていたのか瞼を閉じて寝息を立て始めていた。
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