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メイランの古い洋館
フーリの能力
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「というわけで正式にフーリを仲間にしたんだが」
「ひとまず何の能力か見極めるために戦いに出たい、ということですね?」
さすがアナ、話が早くて助かる。ゲームだとパッシブスキル一覧みたいなやつですぐ確認できるんだろうが、具現化するとどうもやりにくい。
「とはいえここのモンスターはただでさえ強いからな……フーリ、大丈夫そうか?」
「私は回復役ですので、皆様の支援に徹します」
フーリは胸元の十字架を握り締めて、目を瞑ったままそう言った。神に祈っている姿はまさにシスターという感じだ。
「俺ら三人でフーリの元へモンスターが行かないように立ち回るぞ」
「分かりました!」
スピカはともかく、アナはある程度持ちこたえてくれるだろう。昨日の様子だと、全く歯が立たないというわけではないはずだ。
武器の手入れもそこそこに、俺たちは安全地帯である教会の外に踏み出した。
※ ※ ※
「……どうやら出待ちされていたらしいな」
教会から出た段階で、前と横の三方向からフタアナレーパーがにじりよってきた。安全地帯に近いところで戦えるのはこちらにとっても好都合だ。
「いくぞ!」
俺は剣を振り翳し、魔導士二人は杖から火の玉を発射する。がやはりレベルが足りてないのかフタアナレーパーたちは怯まない。
かと思えばすぐに間合いを詰めてきて、フタアナレーパーの爪が俺たち三人の身体に突き立てられた。
「ぐあっ!!」
鈍く響く攻撃のダメージ。これはすぐに二人の服が剥がされるパターンだな……と思ったのだが、横を見ると二人の服は消滅するどころか、傷一つついていない。
「神よ我々の傷をお癒しください……ヒール!」
すかさずフーリが回復魔法を唱える。身体に力がみなぎる感覚……これが体力回復のサインか。
「回復があるから強気に攻めるぞ!」
この人数だと二匹三匹をまとめて相手することになるが、常に回復してくれればなんとかなるだろう。少なくとも昨日のようにズタボロになることはなさそうだ。
「おらぁ!!」
大剣が何度かレーパーにヒットし、一体を消滅まで追い込んだ。やはり回復の後ろ盾があるのは大きい。
そうしてイケイケで押し切ろうとしていた時だった。急に足が地面から離れなくなりつんのめる。
「なんだぁ!?」
「ヒロキ様! スライムです!」
見ると足元をがっちりとゼリー状の物体に押さえられている。こうなったらこいつから倒して……。
ガキンッ
「は?? このスライム固い!?」
剣がスライムに当たると、金属音がして思い切り跳ね返された。そういえば色合いも今まで見てきたものとは違ってグレーがかっているような……。
「ヒロキ様! ハイスライムです!」
こいつも上位種ってことか……おしっこが弱点であることに変わりはないといいが……。そうこうしている内に周りのフタアナレーパーが攻撃を仕掛けてくる。
「ぐぅ……!」
その場から動けないため全ての攻撃を前から受けることになる。これは流石に厳しいか……。
……と思ったが、同じ状況に置かれたスピカとアナの服は未だに破ける気配がない。攻撃は何回もまともに食らっているはず。フーリも回復を挟んでくれているがそれでここまでの攻撃を受け流せるのか……?
「……これがフーリの能力か!」
状況から察するにフーリの能力は味方全員の防御力上昇。大量の敵を相手するのにこれはでかい。
三人は動きを封じられたままでもレーパーたちに反撃し続けている。これなら余裕を持って戦えそうだ。
「いやぁ!!」
完勝ムードが漂っていた中で突如悲鳴が聞こえる。振り返ると、フーリの元に二体のフタアナレーパーが群がっていた。
そうだった……俺ら三人が動けないということはフーリの前はガラ空きだ。レーパーたちはフーリが攻撃手段を持たないのをいいことに、悠々とフーリに襲いかかった……。
「ひとまず何の能力か見極めるために戦いに出たい、ということですね?」
さすがアナ、話が早くて助かる。ゲームだとパッシブスキル一覧みたいなやつですぐ確認できるんだろうが、具現化するとどうもやりにくい。
「とはいえここのモンスターはただでさえ強いからな……フーリ、大丈夫そうか?」
「私は回復役ですので、皆様の支援に徹します」
フーリは胸元の十字架を握り締めて、目を瞑ったままそう言った。神に祈っている姿はまさにシスターという感じだ。
「俺ら三人でフーリの元へモンスターが行かないように立ち回るぞ」
「分かりました!」
スピカはともかく、アナはある程度持ちこたえてくれるだろう。昨日の様子だと、全く歯が立たないというわけではないはずだ。
武器の手入れもそこそこに、俺たちは安全地帯である教会の外に踏み出した。
※ ※ ※
「……どうやら出待ちされていたらしいな」
教会から出た段階で、前と横の三方向からフタアナレーパーがにじりよってきた。安全地帯に近いところで戦えるのはこちらにとっても好都合だ。
「いくぞ!」
俺は剣を振り翳し、魔導士二人は杖から火の玉を発射する。がやはりレベルが足りてないのかフタアナレーパーたちは怯まない。
かと思えばすぐに間合いを詰めてきて、フタアナレーパーの爪が俺たち三人の身体に突き立てられた。
「ぐあっ!!」
鈍く響く攻撃のダメージ。これはすぐに二人の服が剥がされるパターンだな……と思ったのだが、横を見ると二人の服は消滅するどころか、傷一つついていない。
「神よ我々の傷をお癒しください……ヒール!」
すかさずフーリが回復魔法を唱える。身体に力がみなぎる感覚……これが体力回復のサインか。
「回復があるから強気に攻めるぞ!」
この人数だと二匹三匹をまとめて相手することになるが、常に回復してくれればなんとかなるだろう。少なくとも昨日のようにズタボロになることはなさそうだ。
「おらぁ!!」
大剣が何度かレーパーにヒットし、一体を消滅まで追い込んだ。やはり回復の後ろ盾があるのは大きい。
そうしてイケイケで押し切ろうとしていた時だった。急に足が地面から離れなくなりつんのめる。
「なんだぁ!?」
「ヒロキ様! スライムです!」
見ると足元をがっちりとゼリー状の物体に押さえられている。こうなったらこいつから倒して……。
ガキンッ
「は?? このスライム固い!?」
剣がスライムに当たると、金属音がして思い切り跳ね返された。そういえば色合いも今まで見てきたものとは違ってグレーがかっているような……。
「ヒロキ様! ハイスライムです!」
こいつも上位種ってことか……おしっこが弱点であることに変わりはないといいが……。そうこうしている内に周りのフタアナレーパーが攻撃を仕掛けてくる。
「ぐぅ……!」
その場から動けないため全ての攻撃を前から受けることになる。これは流石に厳しいか……。
……と思ったが、同じ状況に置かれたスピカとアナの服は未だに破ける気配がない。攻撃は何回もまともに食らっているはず。フーリも回復を挟んでくれているがそれでここまでの攻撃を受け流せるのか……?
「……これがフーリの能力か!」
状況から察するにフーリの能力は味方全員の防御力上昇。大量の敵を相手するのにこれはでかい。
三人は動きを封じられたままでもレーパーたちに反撃し続けている。これなら余裕を持って戦えそうだ。
「いやぁ!!」
完勝ムードが漂っていた中で突如悲鳴が聞こえる。振り返ると、フーリの元に二体のフタアナレーパーが群がっていた。
そうだった……俺ら三人が動けないということはフーリの前はガラ空きだ。レーパーたちはフーリが攻撃手段を持たないのをいいことに、悠々とフーリに襲いかかった……。
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