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平原の遺跡編
確かなる成長
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「な……淫魔を召喚しやがった……!」
フードの女の手から放たれた三つの球体からはそれぞれ一体ずつタチバックウルフが飛び出してきた。まさかポ〇モンみたいに淫魔を従えてるのか!?
あるいはこいつも上級淫魔なのか……!
「とにかくまずはタチバックウルフを倒しましょう!」
アナが言うが早いか、タチバックウルフたちはサン方向に分かれて俺たち三人に突っ込んできた。アナの言う通りまずはこいつらを片付けねえと……!
「二人はできるだけ離れて戦え!」
指示を出しつつ俺は目の前のタチバックウルフに突っ込んでいく。魔法使いは遠距離攻撃、剣士は前衛、どんなRPGでも常識だ。
「おぉるるぁあああ!!」
太刀を振り上げてウルフの脳天めがけて一気に振り下ろす。だがダメージは入っても物理的な傷にはならないのは最初の戦闘で分かってい
「きゃうんっ」
……見ると剣はウルフの頭にしっかりと食い込んでいて、ウルフはなす術もなくぴくぴくと痙攣して霧散した。あれ!?? 最初の戦闘では何度切り付けても傷一つつかなくなかったっけ!?
あっ、それよりアナたちは……。
「はぁぁあああ!!」
アナの杖の先から放たれた火球はウルフに到達するまでに大きさを増していき、そのままウルフを容赦なく飲み込み焦がした。……明らかに強くなってないか? メ〇がメ〇ミになるってこういう感じなのか?
「ひ、ひぃぃいいん!!」
「ジータ!」
一方のジータの攻撃は最初のアナと同じくらい。案の定ウルフの毛に弾かれて物理的な傷は与えられず、そのまま間合いを詰められる。
「させるかぁ!!」
「ジータちゃん!!」
俺がウルフの後ろから剣を振り下ろし、アナはジータの後方から火球を打ち込んだ。同時に攻撃を受けたウルフはひとたまりもなく……アオーンと苦しそうに遠吠えをして影となって消え失せた。
「あっつい!!!! あっっっつい!!!!!!」
「す、すみませんヒロキ様……突っ込んでくるとは思わず……」
直撃こそしてないが背丈ほどもある火の玉が目の前まで来たらそりゃ熱いわ!! アナとの連携ももう少し考えなきゃならないな……。
「それにしてもヒロキ様……」
「ああ、俺も感じてるぞ」
俺たち……明らかに最初より強くなってる。ウルフに剣がめり込んだ時は不思議に思ったが、恐らく相手のレベルに釣り合わないと物理的な傷は負わせられないんだろう。最初の戦闘はジータにも驚かれるくらいのボロ装備だったわけだしな。
イルナのおかげとはいえボス戦も経験して、ゲームでいう経験値も貯まっていることだろう。ゲームみたいにステータスを見れたりはしないが、もしかしたらそのうちスキルなども解放されるかもしれない。
「……問題はあの人ですね」
アナの言葉でフードの女の存在を思い出し、もう一度剣を構えなおす。最悪の場合こいつも上級淫魔かもしれないからだ。
「おやおやぁ、そんな怖い顔しちゃっていいのかぃ? 私がいなくちゃこの馬は動かないよ」
「お前は……いったい何者だ」
剣を向けられても女は動揺するどころか不気味にフッフッフと笑みをこぼした。
「残念だけどね、私はあんたたちが思ってるようなやつじゃないよ。さっきのだって『仕入れたもの』の中に入ってただけさ」
「仕入れたもの……?」
「私はバプラス。しがない商人さ」
それだけ言うと女……バプラスは何事もなかったかのように御者台へと上る。
「お、おい待て!」
「待たないね。乗るなら乗りな。乗らないなら置いていくよ」
「は……?」
「わーい!! 乗せてくれるってことですよね!! お邪魔しまーす!!」
「あ、こらスピカ……」
制止する暇もなくスピカは後ろから馬車に飛び乗ってしまった。……本当にこいつを信用してしまっていいのか……?
「ヒロキ様……ひとまずここは乗せてもらいませんか」
……まあここで乗らなかったら結局平原を彷徨い歩くことになるわけか……。賭けではあるがとりあえずは素直に受け入れよう。
俺たちが乗り込むと待ちくたびれたというように馬車はぐんと加速して走り始めた。平原の終点は全然見えない。
フードの女の手から放たれた三つの球体からはそれぞれ一体ずつタチバックウルフが飛び出してきた。まさかポ〇モンみたいに淫魔を従えてるのか!?
あるいはこいつも上級淫魔なのか……!
「とにかくまずはタチバックウルフを倒しましょう!」
アナが言うが早いか、タチバックウルフたちはサン方向に分かれて俺たち三人に突っ込んできた。アナの言う通りまずはこいつらを片付けねえと……!
「二人はできるだけ離れて戦え!」
指示を出しつつ俺は目の前のタチバックウルフに突っ込んでいく。魔法使いは遠距離攻撃、剣士は前衛、どんなRPGでも常識だ。
「おぉるるぁあああ!!」
太刀を振り上げてウルフの脳天めがけて一気に振り下ろす。だがダメージは入っても物理的な傷にはならないのは最初の戦闘で分かってい
「きゃうんっ」
……見ると剣はウルフの頭にしっかりと食い込んでいて、ウルフはなす術もなくぴくぴくと痙攣して霧散した。あれ!?? 最初の戦闘では何度切り付けても傷一つつかなくなかったっけ!?
あっ、それよりアナたちは……。
「はぁぁあああ!!」
アナの杖の先から放たれた火球はウルフに到達するまでに大きさを増していき、そのままウルフを容赦なく飲み込み焦がした。……明らかに強くなってないか? メ〇がメ〇ミになるってこういう感じなのか?
「ひ、ひぃぃいいん!!」
「ジータ!」
一方のジータの攻撃は最初のアナと同じくらい。案の定ウルフの毛に弾かれて物理的な傷は与えられず、そのまま間合いを詰められる。
「させるかぁ!!」
「ジータちゃん!!」
俺がウルフの後ろから剣を振り下ろし、アナはジータの後方から火球を打ち込んだ。同時に攻撃を受けたウルフはひとたまりもなく……アオーンと苦しそうに遠吠えをして影となって消え失せた。
「あっつい!!!! あっっっつい!!!!!!」
「す、すみませんヒロキ様……突っ込んでくるとは思わず……」
直撃こそしてないが背丈ほどもある火の玉が目の前まで来たらそりゃ熱いわ!! アナとの連携ももう少し考えなきゃならないな……。
「それにしてもヒロキ様……」
「ああ、俺も感じてるぞ」
俺たち……明らかに最初より強くなってる。ウルフに剣がめり込んだ時は不思議に思ったが、恐らく相手のレベルに釣り合わないと物理的な傷は負わせられないんだろう。最初の戦闘はジータにも驚かれるくらいのボロ装備だったわけだしな。
イルナのおかげとはいえボス戦も経験して、ゲームでいう経験値も貯まっていることだろう。ゲームみたいにステータスを見れたりはしないが、もしかしたらそのうちスキルなども解放されるかもしれない。
「……問題はあの人ですね」
アナの言葉でフードの女の存在を思い出し、もう一度剣を構えなおす。最悪の場合こいつも上級淫魔かもしれないからだ。
「おやおやぁ、そんな怖い顔しちゃっていいのかぃ? 私がいなくちゃこの馬は動かないよ」
「お前は……いったい何者だ」
剣を向けられても女は動揺するどころか不気味にフッフッフと笑みをこぼした。
「残念だけどね、私はあんたたちが思ってるようなやつじゃないよ。さっきのだって『仕入れたもの』の中に入ってただけさ」
「仕入れたもの……?」
「私はバプラス。しがない商人さ」
それだけ言うと女……バプラスは何事もなかったかのように御者台へと上る。
「お、おい待て!」
「待たないね。乗るなら乗りな。乗らないなら置いていくよ」
「は……?」
「わーい!! 乗せてくれるってことですよね!! お邪魔しまーす!!」
「あ、こらスピカ……」
制止する暇もなくスピカは後ろから馬車に飛び乗ってしまった。……本当にこいつを信用してしまっていいのか……?
「ヒロキ様……ひとまずここは乗せてもらいませんか」
……まあここで乗らなかったら結局平原を彷徨い歩くことになるわけか……。賭けではあるがとりあえずは素直に受け入れよう。
俺たちが乗り込むと待ちくたびれたというように馬車はぐんと加速して走り始めた。平原の終点は全然見えない。
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