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平原の遺跡編

スーパードジっ子スピカ

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「綺麗になりましたよ~」

 朝飯を食い終わってぼーっとしているとアナがスピカを連れて風呂場から出てきた。服はまだ洗っているから仮にアナのブラウスワンピースを着ている。胸元が少しだぼだぼなのは言わないでおいてあげよう。

「ありがとうございます……感無量です!」

 スピカは元気な声で感謝の言葉を口にした。基本的にはいい子なんだよな。アホっぽいけど。

「それで、私は仲間にしていただけるんですよね……?」

「……」

「えっ!? 今のはしてくれる流れじゃなかったんですか!?!?」

「うーん……」

 別にスピカが嫌いだからとか、アホだからとかいう理由で渋っているわけじゃない。ただひたすらに「魔法使いは二人もいらない」というところが引っかかる。

 昨日アナと夫婦の契りを交わした通り、アナは当然俺のパーティに常に入っていることになる。そしてパーティメンバーは俺とアナ除き三人。その枠を同じ属性で圧迫したくはない。

「お、お願いします! 後生です!! なんでもしますから!! 私にはこれ以外生きる道がないんです!! どうか!!」

「そんなことないと思うけどなあ」

 現実世界だと社会からドロップアウトした人の受け皿として水商売がある、とか聞いたことあるけど。少なくともスピカは社会からドロップアウトしているかというとそんなことはない気がする。

「私バカだから……他の仕事ができないんです……幼い頃色んなお店に働きに出されましたが、最初のお店ではお皿を全部割ってしまい、次のお店では大きいガラスを粉々に粉砕してしまい、その次のお店では倉庫にあった材料を全部道にぶちまけてしまい、その次のお店ではかまどを爆発させてお店を吹き飛ばしてしまい、その次のお店では……」

「わかったわかった! もういい! わかったから」

 なるほど、どうやらドジっ子の域を超えているらしいことは分かった。それでも優しい店主なら許してくれそうな気も……いや店吹っ飛ばしたらさすがに無理か。

「本当に! お願いします!! なんでもしますからぁ!! この通り!!」

 ザッッ!

 スピカはそう言いながら勢いよくパンツを下までおろした。そしてバッとスカートをめくって俺に恥部を見せつけた。

「や、やめろってそういうのは。分かった、分かったよ。そこまで言うなら仲間にするさ」

「ほんとですか!?」

「ヒロキ様もこう言ってることですし、こんなことはやめましょうね」

 アナがスピカのスカートを直し、パンツも定位置へと穿かせ直した。

「もちろん仲間にする。が、一つだけ条件がある」

「じょ、条件ですかぁ? ……な、なんでも聞きます!! 大丈夫です!!」

「その条件ってのは、『自分を卑下しないこと』だ」

「ヒゲ……?」

「つまり、自分のことをあまり悪く言うなってことだ」

 多分スピカは色んな人に「お前はダメだ」「お前はバカだ」と言われてきたに違いない。事実、それだけ迷惑をかけてるんだろうとは思う。

 でもそのまま「自分はバカだ」と思って他人にも自分を安売りしてたのではあまりにも可哀想だ。クララほど幼くはないが精神的には同じかそれ以下。少しは親心を持って接してやらにゃ。

「で、でも……」

「でもじゃない。条件だ」

「は……はい!!」

「もし万が一何かやらかしても俺とアナでなんとかできるように頑張るから。な?」

「はい、もちろんです」

 アナも快く承諾してくれているし、夫婦で意見一致だ。二重魔法使い問題もおいおい考えればいいことだろう。

「そ、それでは早速契りを結びますか……?」

「いや、一応そういうことは夜にしよう。ここは鍵も何もついてないからな」

 訪ねてくる人は少ないとはいえいないわけじゃない。この世界ではそこまで恥ずかしいことではないんだろうが、俺は単純に気まずいのでごめんだ。

 そういうわけでスピカの身体をじっくり拝むのはこの日の夜というわけになったのだった。
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