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クロス村編

復活したはいいものの

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「……っ」

「あ、目覚めましたか?」

 目を覚ますと眼前には白い梁の印象的な高い天井があって、横からは女の子が一人俺の顔を覗き込んでいた。

「いっつ……」

 頭痛が襲ってくるから、こめかみのあたりを押さえながらゆっくりと起き上がる。建物の奥の方にある十字架と祭壇を見て、ここが教会なんだと認識した。そして心配そうに見ているこの子はシスター見習いってところか。

「勇者様が復活するところ、初めて見ちゃいました~! お掃除してたらいきなりくるんですもの~」

 シスターは手に持った箒を見せて嬉々として言った。復活……つまり俺は一回死んだというわけか。

「あんまり無理して戦っちゃダメですよ? いくら復活できるとはいえ、心身ともに負担はでかいですからね」

「だな……」

 頭がズキズキと痛むたびに自分の頭が潰される瞬間が思い出される。メリメリっという音が耳に残っていて、怖いというより気持ち悪いという感情の方が勝っていた。

「淫魔石の目の前にとんでもねぇヤツがいたんだよ。油断してた」

「淫魔石の目の前まで行ったんですか! スゴイじゃないですかぁ」

 確かに見方によっちゃ「あと少し」だったかもしれないが、正直あのラスボスみたいなヤツに勝てるビジョンは俺の中には今のところ存在しなかった。

「何はともあれ敵は分かったことだし、作戦を練り直すしかないかぁ。……そういえば他のヤツらはどこだ?」

 俺が復活してからもう何分か経っているが、一向に誰も戻ってくる気配がない。まさかあいつらだけで善戦してるわけではなかろうし。

「お仲間さんですか?」

「ああ。早いとこ仕切り直して考えたいんだけどな……俺より先に復活してとっとと帰ったのか?」

「お仲間さんは復活しませんよ」

 ……

 ……?

「復活しない……? それってどういう……」

「そのままですよ。復活できるのは神のご加護を受けた勇者様だけで、そのお仲間はご加護による復活は受けられません」

「そ、それってつまり……あいつらはあのまま死ぬってことか……?」

「淫魔が性のエネルギーを搾り取ろうとしているならば、その相手が殺されることはないです。……が、そのまま放っておけばイき狂い、体力の限界を迎えて死んでしまうでしょうね……」

 そんなことチュートリアルで教えてくれなかったろうが!! 後出しで新しい設定出してんじゃねえ!!

「こうしちゃいらねえじゃねえかっ!! 早く助けに行かないと……」

「お待ちください! たった今やられてきたばかりなのに勇者様お一人で助けに行けるのですか?」

「んなこたぁ分かってるよ!! でも放っとくわけにはいかねえだろ!!」

 まさかエロゲでキャラクターが死ぬとかいう話になるとは思っていなかった。ゲーム難易度が途端に跳ね上がってやがる……!

「とにかく、お仲間を助けたいのであればもっと強いお仲間を連れていくしかないですよ」

「もっと強い仲間って誰だよ……!! とりあえずシスター、お前を無理矢理仲間にして……」

「あ、ちょっ!! ダメですよ!! 私はこれでも聖職者でっ……! やぁっ! 無理矢理おっぱい揉まないで!」

 と危うくシスターをレ◯プしかけていたその時、俺はふとある人物を思い出した。……あいつに頼るのは俺のプライドが許さないんだがな……しかしプライドより守りたいものくらい俺にもあるさ。

「悪い。また復活した時は看病頼む」

「え、ええっ? は、はぁ」

 シスターが物足りないみたいな顔をするな。こっちはこれでも理性で戻ってきたんだぞ。

 それはさておき早速俺は教会を飛び出して「そいつ」の元へと一直線に走るのだった。
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