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クロス村編
【番外編】よいこのためのほけんたいいく
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いつものように早朝にアナに叩き起こされて飯を食う。今日は剣術の稽古もないし朝のこの時間帯は暇だ。
「ちょっとジータのところに顔出してくる」
「はい! あとで私も行きますね!」
アナが朝ご飯の食器を片付けながら笑顔で送り出す。一応、前は手伝おうとしたこともあったのだが、頑なに「私がやりますからヒロキ様は休んでてください」と断られるので最近はそのままやってもらっている。そりゃ申し訳ない気持ちはあるけどしょうがないだろ、手伝わせてくれないんだから。
それはさておき、なんだかんだ朝の村を歩くのは気分がいい。学生の頃は引きこもってたし、就職してからは会社と家の往復だけで休日は一日寝てるし。こうやって緑溢れるところをゆっくりあるけるようになったのなんか、この世界に飛ばされてきてからだ。
「あ、おにーさんだ」
「あれ、クララじゃないか。どうしたんだその格好」
道中でばったり会ったクララは黄色い丸い帽子を被っていて、背中には茶色い革のバッグを背負っていた。
「これからクララがっこーなんだー」
「なるほど、学校か……」
この黄色い帽子、日本の小学生がつけるやつだな? つくづくファンタジー世界に似合わないぞ。
「……そういえばよくよく考えれば、朝ジータの稽古を受けたり淫魔と戦ったりしてるけど、その間学校はどうしてたんだ」
稽古に関してはほぼ毎日やってたし戦闘なんかに行った日は丸一日俺らと一緒に行ったはずだ。まさか知らず知らずのうちに不登校に加担しちゃったか? それにしてはアナもジータも何も言ってなかったが……。
「だいじょーぶだよ! がっこーはいつ来ても自由ながっこだから」
いつ来ても自由……フリースクールみたいなもんか? まあこの世界は文化レベルも高くないし、義務教育とかそういう概念がないのかもしれない。
「あ! せっかくだからおにーさんもがっこーに行こうよ!」
「えっ」
俺が……学校に……? 行く目的が分からなすぎるだろ。保護者でもないし。
「おにーさん勇者だもん。先生もメイとターニャも喜ぶよ!」
そうは言われてもなあ。明らかに部外者だろうよ俺。いくら勇者って言っても。
「ほらほら、もう授業始まっちゃうよ!」
「でぇっ!? まてまて引っ張るなってコラッ!!」
こうして俺は半ば強制的に学校に連れて行かれることになったのだった。
※ ※ ※
「……というわけで、クララのパーティのヒロキです」
「まぁ~! 勇者さんに来ていただけるなんて光栄です~! 私、クララさんの担任のクリエラです。どうぞよろしく」
教室に入って早々、先生らしき若い女性に熱烈な歓迎を受けた。勇者ってだけでこんなにすごい扱いを受けるもんなのか。
「すっげー! 魔法とか出せるの!?やって見せてよー!!」
「こらっ! 勇者さんに無理言っちゃいけません! ……ごめんなさいね騒がしくて」
「いやいや、元気があるのはいいことですよ」
何校長みたいなこと言ってんだ俺。
「それじゃ、僕は静かに見学してますんで……」
これ以上俺がいると授業が始まりそうにないし、さっさと後ろの方に言って静かにしてるか……。そう思ったのに先生はそこでまさかの発言をした。
「せっかく勇者さんに来ていただいたんですから、勇者さんにも授業に参加していただきましょう! ヒロキさん……大丈夫ですよね?」
先生の言葉に子供たち(と言ってもクララ含めて三人だけだが)は大盛り上がりだ。こんな状況断れるわけないじゃないですかぁ……。仕方ないので渋々頭を前に倒した。
「それでは! せっかく勇者さんがいることですし、勇者さんに関係ある授業をしましょう! 教科書の53ページを開いてください!」
先生に従って子供たちが教科書を開く。教科書は現代日本風なんだなぁ……つくづく時代設定が分からない。
そして先生は授業を始めたのだが……その最初の一声で俺はしばらく固まった。
「今日の授業は『契りについて』です!」
「ちょっとジータのところに顔出してくる」
「はい! あとで私も行きますね!」
アナが朝ご飯の食器を片付けながら笑顔で送り出す。一応、前は手伝おうとしたこともあったのだが、頑なに「私がやりますからヒロキ様は休んでてください」と断られるので最近はそのままやってもらっている。そりゃ申し訳ない気持ちはあるけどしょうがないだろ、手伝わせてくれないんだから。
それはさておき、なんだかんだ朝の村を歩くのは気分がいい。学生の頃は引きこもってたし、就職してからは会社と家の往復だけで休日は一日寝てるし。こうやって緑溢れるところをゆっくりあるけるようになったのなんか、この世界に飛ばされてきてからだ。
「あ、おにーさんだ」
「あれ、クララじゃないか。どうしたんだその格好」
道中でばったり会ったクララは黄色い丸い帽子を被っていて、背中には茶色い革のバッグを背負っていた。
「これからクララがっこーなんだー」
「なるほど、学校か……」
この黄色い帽子、日本の小学生がつけるやつだな? つくづくファンタジー世界に似合わないぞ。
「……そういえばよくよく考えれば、朝ジータの稽古を受けたり淫魔と戦ったりしてるけど、その間学校はどうしてたんだ」
稽古に関してはほぼ毎日やってたし戦闘なんかに行った日は丸一日俺らと一緒に行ったはずだ。まさか知らず知らずのうちに不登校に加担しちゃったか? それにしてはアナもジータも何も言ってなかったが……。
「だいじょーぶだよ! がっこーはいつ来ても自由ながっこだから」
いつ来ても自由……フリースクールみたいなもんか? まあこの世界は文化レベルも高くないし、義務教育とかそういう概念がないのかもしれない。
「あ! せっかくだからおにーさんもがっこーに行こうよ!」
「えっ」
俺が……学校に……? 行く目的が分からなすぎるだろ。保護者でもないし。
「おにーさん勇者だもん。先生もメイとターニャも喜ぶよ!」
そうは言われてもなあ。明らかに部外者だろうよ俺。いくら勇者って言っても。
「ほらほら、もう授業始まっちゃうよ!」
「でぇっ!? まてまて引っ張るなってコラッ!!」
こうして俺は半ば強制的に学校に連れて行かれることになったのだった。
※ ※ ※
「……というわけで、クララのパーティのヒロキです」
「まぁ~! 勇者さんに来ていただけるなんて光栄です~! 私、クララさんの担任のクリエラです。どうぞよろしく」
教室に入って早々、先生らしき若い女性に熱烈な歓迎を受けた。勇者ってだけでこんなにすごい扱いを受けるもんなのか。
「すっげー! 魔法とか出せるの!?やって見せてよー!!」
「こらっ! 勇者さんに無理言っちゃいけません! ……ごめんなさいね騒がしくて」
「いやいや、元気があるのはいいことですよ」
何校長みたいなこと言ってんだ俺。
「それじゃ、僕は静かに見学してますんで……」
これ以上俺がいると授業が始まりそうにないし、さっさと後ろの方に言って静かにしてるか……。そう思ったのに先生はそこでまさかの発言をした。
「せっかく勇者さんに来ていただいたんですから、勇者さんにも授業に参加していただきましょう! ヒロキさん……大丈夫ですよね?」
先生の言葉に子供たち(と言ってもクララ含めて三人だけだが)は大盛り上がりだ。こんな状況断れるわけないじゃないですかぁ……。仕方ないので渋々頭を前に倒した。
「それでは! せっかく勇者さんがいることですし、勇者さんに関係ある授業をしましょう! 教科書の53ページを開いてください!」
先生に従って子供たちが教科書を開く。教科書は現代日本風なんだなぁ……つくづく時代設定が分からない。
そして先生は授業を始めたのだが……その最初の一声で俺はしばらく固まった。
「今日の授業は『契りについて』です!」
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